1908年2月に録音された音楽
1908年2月は、王政の危機と国際協調、そして新技術の大衆化が同時進行した月でした。2月1日、ポルトガル王国でカルロス1世(Carlos I, 1863–1908)と王太子ルイス・フィリペ(Luís Filipe, 1887–1908)がリスボンで暗殺され、王位はマヌエル2世(Manuel II, 1889–1932)へ移り、政治不安が一段と強まりました。2月10日にはアメリカ合衆国とフランス共和国が紛争の仲裁による解決を定めた条約に署名し、2月19日にアメリカ合衆国上院が批准に同意するなど、国際法の枠組み整備も進みました。技術と娯楽の側面では、2月12日にニューヨークからパリを目指す長距離自動車レースがニューヨーク市タイムズスクエアで出発し、道路事情の悪い世界を横断する挑戦が自動車技術の宣伝と結びつきました。軍事・外交では、アメリカ合衆国海軍(United States Navy)のグレート・ホワイト・フリート(Great White Fleet)が2月20日–2月29日にペルー共和国のカヤオへ寄港し、海軍力の誇示と親善訪問が国際政治の一部として機能していました。東アジア・北米間では、1908年2月18日付の覚書を含む一連の文書が示すとおり、日本国とアメリカ合衆国の間で移民をめぐる行政上の取り決めが整理され、社会問題が外交実務と直結していたことも確認できます。
この月の確認されている録音:0曲
1908年2月の録音に関する情報のまとめ
1908年2月の録音産業の動きは、ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)の業界誌『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)』1908年2月号(第6巻第2号)に、販売と流通の具体的な運用としてまとまっています。とくに、特定アーティストの販促強化、新譜の事前案内と店頭解禁時刻の指定など、「録音物の供給」を「販売現場の統制」に接続する記述が確認でき、当月ページに配置できる一次情報になります。
ハリー・ローダー関連レコードの出荷と販促(1908年2月上旬)
『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)』1908年2月号は、ハリー・ローダー(Harry Lauder, 1870–1950)のレコードがジョバー向けに2月上旬に出荷されること、事前注文が多く追加注文も増える見込みであること、在庫を持たないと機会損失になり得ることを述べています。これは1908年2月の販売現場で、特定スター歌手の需要を見込んだ在庫形成と販促が強調されていたことを示します。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Audio/Edison-Phonograph/Edison-Phonograph-Monthly-1908-Vol-6.pdf
- https://archive.org/download/edisonphonograph06moor/edisonphonograph06moor.pdf
- https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Edison_Phonograph_Monthly_1908_(d4def728-c57e-44f7-a47f-46fe8b2375b6).pdf
1908年4月新譜(ゴールド・モウルデッド・レコード)の事前案内と店頭解禁時刻
『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)』1908年2月号は、1908年4月分のエジソン・ゴールド・モウルデッド・レコード(Edison Gold Moulded Records)の事前リストを掲載し、出荷と販売解禁の運用を具体的に指定しています。ジョバーへの到着は1908年3月25日以前を目標とし、ジョバーからディーラーへの再出荷は1908年3月24日14時以降、店頭での展示・実演・販売は1908年3月25日8時以前は禁止とされています。これは当時の新譜が「いつ売ってよいか」まで含めて統制されていたことを示す一次記述です。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Audio/Edison-Phonograph/Edison-Phonograph-Monthly-1908-Vol-6.pdf
- https://archive.org/download/edisonphonograph06moor/edisonphonograph06moor.pdf
年初の棚卸しと販売計画(1908年2月号掲載)
『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)』1908年2月号の巻頭論説は、1月を棚卸し・決算・利益確定の月として位置づけ、そこから新年の販売計画を組み立てる必要を説いています。内容は一般論の形を取りますが、1908年2月時点で業界誌が「販売管理」「在庫管理」「年次計画」を前面に出していたこと自体が、録音産業が単発の新譜供給ではなく、継続的な流通運営として組織化されていたことを裏づけます。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Audio/Edison-Phonograph/Edison-Phonograph-Monthly-1908-Vol-6.pdf
- https://archive.org/download/edisonphonograph06moor/edisonphonograph06moor.pdf
