1925年3月に録音された音楽
1925年3月は、政治・社会・放送史の各面で転機が重なった月です。3月3日にはアメリカ合衆国連邦政府がハーニー国有林での巨大彫刻事業を承認し、後のラシュモア山国立記念碑(Mount Rushmore National Memorial)の出発点となりました。4日にはカルヴィン・クーリッジ(Calvin Coolidge, 1872–1933)が大統領就任演説を行い、その就任式は全米向けラジオ放送でも伝えられました。12日には孫文(Sun Yat-sen, 1866–1925)が北京で死去し、18日にはトライステート竜巻(Tri-State Tornado)がアメリカ合衆国中西部に甚大な被害を与えました。21日にはアメリカ合衆国テネシー州で進化論教育を禁じるバトラー法(Butler Act)が成立し、22日には社団法人東京放送局が仮放送を開始しました。
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1925年3月の録音に関する情報のまとめ
1925年3月の録音業界では、電気録音への移行が具体化する一方で、販売面ではレコード、蓄音機、ラジオ放送を組み合わせた宣伝が進んでいました。資料上、当月の動きを比較的明確に確認できるのは、コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Co., Inc.)、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)、ブランズウィック=バルケ=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)です。コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Co., Inc.)では経営権の移動と月末の電気録音が確認でき、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)では3月中旬以降の電気録音が後の発売盤に結びつきました。ブランズウィック=バルケ=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)は、放送番組を通じて自社の演奏家とレコードを継続的に訴求していました。
コロムビア
1925年3月15日付の『ザ・トーキング・マシン・ワールド』は、ルイス・スターリング(Louis Sterling, 1879–1958)らによるコロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Co., Inc.)の支配権取得を報じています。後年の社史研究と録音データベースでは、同社が1925年3月31日にニューヨークのメトロポリタン歌劇場でアメリカ・グリー・クラブ連合(Associated Glee Clubs of America)の録音を行い、その成果が Columbia 50013-D に結び付くことが確認できます。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1925-03.pdf
- https://timbrooks.net/PDFs/colhist02.pdf
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/matrix/detail/2000144586
ヴィクター
ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)については、後年の技術史研究が、1925年3月18日にウェスタン・エレクトリック社(Western Electric Company)との契約が確定し、3月16日、20日、21日の電気録音が後の発売盤に結び付いたことを示しています。1925年3月は、同社が電気録音を試験段階から実用段階へ移していった月として位置付けられます。
ブランズウィック
ブランズウィック=バルケ=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)は、1925年3月の新聞・業界資料で、毎週火曜日夜の放送番組「Brunswick Hour of Music」を継続していたことが確認できます。同番組は複数局を通じて送出され、同社が自社の演奏家とレコードを放送宣伝に結びつけていたことを示しています。1925年3月の同社は、レコード販売とラジオ放送を一体で運用する販促を継続していました。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=IPT19250305.1.18
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=IPT19250312.1.22
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Radio-Retailing/20s/Radio-Retailing-1925-03.pdf
