1904年4月に録音された音楽
1904年4月は、列強外交と都市の近代化、そして戦争と災害が同時進行した月でした。4月8日、グレートブリテン及びアイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Ireland)とフランス共和国(French Republic)は英仏協商(Entente Cordiale)を締結し、植民地問題の対立整理を通じて関係改善へ舵を切りました。同日、アメリカ合衆国(United States of America)のニューヨーク市ではロングエーカー・スクエア(Longacre Square)がタイムズ・スクエア(Times Square)に改称され、電気広告と交通結節点を核にした都市空間の再編が進みます。4月30日にはセントルイスでルイジアナ購入博覧会(Louisiana Purchase Exposition)が開幕し、技術と帝国の「見せ場」を世界へ提示しました。一方、4月4日にはブルガリア王国(Kingdom of Bulgaria)で1904年クレスナ地震(1904 Kresna earthquakes)が発生し大被害を生み、4月19日にはカナダ自治領(Dominion of Canada)のトロントで1904年トロント大火(Great Fire of Toronto (1904))が商工業地区を焼きました。さらに露日戦争(Russo-Japanese War)の渦中、ロシア帝国(Russian Empire)の海軍軍人ステパン・オシポヴィチ・マカロフ(Stepan Osipovich Makarov, 1849–1904)が4月13日に戦艦ペトロパブロフスク(Petropavlovsk)の沈没で戦死し、戦局と世論に大きな影響を与えました。
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1904年4月の録音に関する情報のまとめ
1904年4月の録音関連トピックスは、録音拠点の拡張、通信(電話)と再生音の結合、欧州側の供給拠点整備、そして競合企業の工場火災が示す「記録資産(原盤)リスク」に集約できます。一次資料として、ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)が業界向けに発行したエジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)1904年(第2巻)の掲載記事が、当時の実務(マスター制作体制、遠隔試聴、海外拠点)を具体的に伝えています。
マスター制作拠点の拡張(ニューヨークでの原盤制作)
エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)1904年4月号(第2巻第2号)には、「ニューヨークでもマスターを制作する」旨の記事が掲載されており、原盤制作をウェストオレンジ(West Orange)周辺だけに依存せず、音楽・演劇界に近い都市部へ制作拠点を持つ方針が読み取れます。
電話回線によるレコード試聴と大量受注(イングランドの事例)
同誌には、イングランドで電話回線を介して遠隔地がレコードを試聴し、その結果として受注に至った事例が掲載されています。通信網を使って再生音を確認し、商談を成立させる運用が同時代資料として確認できます。
欧州での録音・供給体制(ベルリン/パリ/ブリュッセルの言及)
同誌には、ベルリン(Berlin)、パリ(Paris)、ブリュッセル(Brussels)といった欧州主要都市における録音・供給体制に関する言及が掲載されています。
ビクター社工場火災(カムデン)と記録資産の喪失リスク
1904年4月、ニュージャージー州カムデン(Camden)のビクター・トーキング・マシーン・カンパニー(Victor Talking Machine Company)で火災が報じられており、設備だけでなく原盤や在庫が失われうるリスクを示します。
- https://dvrbs.camdenhistory.com/fire/camdennj-1904victorfire.htm
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=IJ19040425.1.5
