Music recorded in August 1917
1917年8月は、第一次世界大戦(World War I)の長期化が外交、内政、都市生活の各面に強く表れた月でした。ベネディクトゥス十五世(Benedict XV, 1854–1922)は8月1日に交戦諸国へ和平提案を示しましたが、戦争終結には至りませんでした。中華民国(Republic of China)は8月14日にドイツ帝国(German Empire)とオーストリア=ハンガリー帝国(Austria-Hungary)に宣戦し、戦争の世界化がさらに進みます。アメリカ合衆国(United States of America)では8月10日に食糧・燃料統制法(Food and Fuel Control Act)が成立し、戦時統制経済が強まりました。ギリシア王国(Kingdom of Greece)のテッサロニキでは8月18日にテッサロニキ大火(Great Fire of Thessaloniki)が発生し、市街地と住民生活に大きな被害が及びました。テキサス州ヒューストンでは8月23日にヒューストン暴動(Houston Riot of 1917)が起こり、ロシア共和国(Russian Republic)では8月末のコルニーロフ事件(Kornilov affair)が臨時政府の不安定さを露呈させました。
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1917年8月の録音に関する情報のまとめ
1917年8月の録音業界では、月次新譜の告知、店頭実演、機械の互換性や音質を前面に出した広告活動が同時代資料上で明確に確認できます。シリンダー系商品を維持する系統とディスク中心の各社が併存し、家庭で既に所有しているレコードをどこまで再生できるか、またどのような音で鳴るかが主要な販売訴求になっていました。以下は、1917年8月の資料上で当月の活動を確認できた企業を整理したものです。
Edison
トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)では、1917年8月の広告でブルー・アンベロール・レコード(Blue Amberol Records)の当月新譜が告知され、旧来のエジソンシリンダーレコードにはサファイア再生器が必要であることも併記されていました。したがって当月の販売実務では、シリンダー新譜の供給と機械適合の説明が一体で継続していたことが確認できます。
- https://trove.nla.gov.au/newspaper/article/191321977
- https://paperspast.natlib.govt.nz/newspapers/EP19170824.2.31.1
Victor
ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)は、1917年8月の広告で新しいヴィクター・レコード(Victor Records)を月初に販売店で実演する慣行を続けていました。8月の広告では、来客の希望する曲をその場で再生して聴かせることや、ヴィクトローラ(Victrola)の価格帯が広く用意されていることも示されており、実演販売が当月の中心施策だったと分かります。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=RPD19170806.1.3
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=SBNT19170801.1.3
- https://www.loc.gov/collections/national-jukebox/articles-and-essays/phonograph-advertising/
Columbia
コロンビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Company)は、1917年8月の広告でコロンビア・グラフォノラ(Columbia Grafonola)の再現性を強く訴求していました。月内の広告は、機械そのものの音質を前面に出しながら販売店展示へ誘導する構成になっており、当月の販売活動が明瞭です。
- https://gahistoricnewspapers.galileo.usg.edu/lccn/sn89053972/1917-08-21/ed-1/seq-5/
- https://trove.nla.gov.au/newspaper/article/155146694
Aeolian Vocalion
エオリアン社(Aeolian Company)のエオリアン=ヴォカリオン(Aeolian-Vocalion)は、1917年8月の広告でグラデュオーラ(Graduola)を中核機能として売り出し、実演会も告知していました。したがって当月の販促は、音量と音色の細かな制御を特色として、店頭体験を重視する形で進められていたことが分かります。
- https://trove.nla.gov.au/newspaper/article/20143652
- https://trove.nla.gov.au/newspaper/article/242474803
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19170822-01.1.8
Brunswick
ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)は、1917年8月の広告で他社製レコードも再生できる点を明確に訴求していました。互換性を前面に出した文言からは、当月の販売戦略が専用盤の囲い込みではなく、家庭の既存レコード資産を取り込む方向にあったことが確認できます。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=DT19170801.1.6
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=NAN19170807.1.4
Sonora
ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Company)は、1917年8月の広告で音の明晰さを主要な訴求点にしていました。確認できる8月広告では、販売店が同社製品の地域代理店として営業しており、地域販売網を通じた拡販が進んでいたことが分かります。
- https://idnc.library.illinois.edu/?a=d&d=DJO19170808-01.1.6
- https://newspapers.swco.ttu.edu/bitstream/handle/20.500.12255/304295/Wichita_Daily_Times_1917_08_07.pdf?isAllowed=y&sequence=1
putty
パテ・フレール・フォノグラフ社(Pathé Frères Phonograph Co.)のパテフォン(Pathéphone)は、1917年8月の広告で各種レコードを再生できることと、針の代わりにパテ・サファイア・ボール(Pathé Sapphire Ball)を用いることを繰り返し訴求していました。したがって当月の販売では、互換性とレコード摩耗の少なさが主要な差別化要素になっていました。
- https://gahistoricnewspapers.galileo.usg.edu/lccn/sn89053008/1917-08-09/ed-1/seq-3/
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/10s/Talking-Machine-1917-08.pdf
star
スター・ピアノ社(Starr Piano Company)は、1917年8月の広告でスター・レコード(Starr Records)を両面盤、長時間再生、任意の蓄音機で再生可能な製品として売り出していました。同月の別広告ではスター蓄音機も全レコード再生を訴えており、レコードと機械の両面で互換性を武器にしていたことが確認できます。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=RPD19170815.1.8
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=DT19170807.1.10
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=RPD19170830.1.8
