Music recorded in October 1900
1900年10月は、各地で「帝国」と「市場」をめぐる動きが同時進行した月です。ヨーロッパでは、イギリスで総選挙(投票期間:1900年9月26日–10月24日)が行われ、ウィンストン・チャーチル(Winston Churchill, 1874–1965)が庶民院議員に初当選しました。中国をめぐっては、イギリス王国政府とドイツ帝国政府が1900年10月16日に中国に関する協定を交わし、中国領土の分割に反対する立場を確認しました。ドイツ帝国では1900年10月17日にベルンハルト・フォン・ビューロー(Bernhard von Bülow, 1849–1929)が帝国宰相に就任しています。フランスでは、パリ万国博覧会(1900年)が開催中で、同じ会期と結びついたパリオリンピック(1900年)も1900年10月28日まで競技が続きました。南部アフリカでは、南アフリカ戦争(South African War, 1899–1902)が継続し、複数の小規模戦闘や輸送隊襲撃などが報じられるなど、戦争の長期化が現実味を帯びていました。
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1900年10月の録音に関する情報のまとめ
1900年10月について、当月に限定して一次資料で「録音・レコード制作の動き」を特定できる情報は多くありません。一方で、蓄音機(トーキングマシン)の周辺技術は特許として具体的な日付で追跡でき、1900年10月にはサウンドボックス(音響箱)に関する米国特許が成立しています。ここでは、1900年10月に日付が確定できる技術史トピックとして、その特許を取り上げます。
サウンドボックス(音響箱)の米国特許(1900年10月23日)
1900年10月23日、フレデリック・マイヤーズ(Frederick Myers, 生没年不明)名義で「Phonograph sound-box(蓄音機サウンドボックス)」の米国特許(US660275A)が成立しています。サウンドボックスは、レコード溝の振動を音として取り出す再生系の中核部品であり、当時のトーキングマシンの性能・互換性・量産性に直結する領域でした。この特許は、少なくとも1900年10月の時点で、再生機構の改良が継続的に特許出願・成立していたことを、日付つきで裏づけます。
