Music recorded in May 1912

This article can be read in about 4 minutes.
Sponsored Links

Music recorded in May 1912

1912年5月は、海難・戦争・王位継承・航空・文化の各分野で、20世紀初頭の世界の動きを象徴する出来事が重なった月でした。イギリスでは、4月に沈没したタイタニック号の事故を受けた公式調査が5月2日に始まり、海上安全制度の見直しが本格化しました。地中海では、イタリア王国(Kingdom of Italy)が伊土戦争(Italo-Turkish War)の過程でロードス島やドデカネス諸島を占領し、東地中海の緊張が高まりました。デンマークでは、フレゼリク8世(Frederik VIII, 1843–1912)の死去を受けて、クリスチャン10世(Christian X, 1870–1947)が5月15日に即位し、北欧政治に新たな時代が始まりました。イギリスでは王立航空隊(Royal Flying Corps)が5月に実働段階へ入り、軍事航空の制度化が一歩進みました。キューバでは独立有色人種党(Partido Independiente de Color)を中心とする蜂起が拡大し、社会と政治の緊張が表面化しました。文化面では、スウェーデンの作家アウグスト・ストリンドベリ(August Strindberg, 1849–1912)が5月14日に死去し、アメリカ合衆国では航空史の先駆者ウィルバー・ライト(Wilbur Wright, 1867–1912)が5月30日に死去しました。

Confirmed recordings this month: 0

1912年5月の録音に関する情報のまとめ

1912年5月の録音関連では、トーマス・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)の円筒レコード事業が、単なる大衆向け新譜供給だけでなく、高級なコンサート録音の強化、店頭実演の重視、さらに外国語録音を含む在庫整備へと広がっていたことが確認できます。1912年5月号の『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)』には、新譜案内に加えて、全エジソン録音の在庫化、実演販売、店頭コンサート、多言語録音の流通に関する記事が並んでおり、この時期の録音ビジネスが録音内容と販売方法の両面で整備されていたことを示しています。

1912年5月掲載のエジソン・アンバーソル・コンサート新譜

1912年5月の資料上確認できるエジソン・アンバーソル・コンサート録音には、クリスティン・ミラー(Christine Miller, 生没年不明)の「アニー・ローリー」、チャールズ・ハケット(Charles Hackett, 生没年不明)の「ア・ソング・オブ・サンクスギヴィング」、アルマン・ヴェーチー(Armand Vecsey, 生没年不明)率いるハンガリー管弦楽団による「シンプリキウス・ワルツ」がありました。いずれも1912年5月掲載のコンサート録音として記録されており、民謡・英語歌曲・ヨハン・シュトラウス作品という幅を持つ構成でした。

高級録音路線の拡張

1912年5月向けの案内では、パウロ・グルッペ(Paulo Gruppe, 生没年不明)によるチェロ独奏「ヴィト」、アルマン・ヴェーチー(Armand Vecsey, 生没年不明)率いるハンガリー管弦楽団の「コッペリア」、マーガレット・キーズ(Margaret Keyes, 生没年不明)の「オールド・フォークス・アット・ホーム」が「蓄音機に新しい芸術家を紹介する録音」として提示されていました。これにより、1912年5月時点のエジソン陣営が、流行歌だけでなく、器楽独奏や準クラシック作品を含む高級録音路線を明確に押し出していたことが分かります。

実演販売と多言語録音の整備

1912年5月号の『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)』では、「すべてのエジソン録音を在庫すること」「エジソンの効果的な実演方法」「店頭コンサートとメニュー」といった項目が並び、録音を売るための実演重視の方針が明確に示されていました。同じ号の在庫・交換案内には、国内盤に加えて、イギリス盤、フランス盤、ドイツ盤、イタリア盤、ヘブライ語盤、スペイン語盤、フィリピン盤、メキシコ盤、ポルトガル語盤、アルゼンチン盤などが列挙されており、1912年5月時点で録音流通が多言語市場へ広く対応していたことも確認できます。