Music recorded in January 1916
1916年1月は、第一次世界大戦の長期化にともなう軍事・政治・社会制度の再編が各地でいっそう鮮明になった月でした。1月8日–9日にはガリポリ戦役(Gallipoli campaign)の最後の連合軍撤収がヘレス岬で完了し、オスマン帝国(Ottoman Empire)側の防衛勝利が確定しました。バルカンではロヴチェン山の陥落とツェティニェの占領を経て、モンテネグロ王国(Kingdom of Montenegro)の抗戦は1月中に終息へ向かいました。イギリスでは1月27日に軍事勤務法1916(Military Service Act 1916)が裁可され、志願制中心だった兵員動員は徴兵制へと大きく転換しました。北米では1月28日にマニトバ州(Manitoba)が女性に州選挙権を認め、同日にはウッドロウ・ウィルソン(Woodrow Wilson, 1856–1924)がルイス・デンビッツ・ブランダイス(Louis Dembitz Brandeis, 1856–1941)をアメリカ合衆国最高裁判所(Supreme Court of the United States)判事に指名しました。戦場の終結と拡大、国家統制の強化、市民権の拡張が同時に進んだ月として位置づけられます。
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1916年1月の録音に関する情報のまとめ
1916年1月の録音産業では、トーマス・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)のシリンダー販売強化、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)の1月新譜告知、コロンビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)の工場運営体制の整備が同時代資料で確認できます。いずれも販売網・供給体制・商品告知に関わる動きであり、月ページの趣旨に即して企業活動を中心に整理できます。資料上で1916年1月の活動を直接確認できない企業は、ここでは無理に立てていません。
Edison
トーマス・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)では、『Edison Phonograph Monthly』1916年1月号の巻頭で、1月のブルー・アンベロール・レコード(Blue Amberol Records)が音質面で新しい到達点に達したと強調されていました。同号は単なる新譜告知にとどまらず、年初の販売戦略も具体的に示しており、新規シリンダー取扱店向けに最初から持つべき100点の推奨在庫を掲げ、国際エジソン蓄音機販売業者協会(International Edison Phonograph Dealers’ Association)への参加を呼びかけ、工場町や移民コミュニティーへの実演販売も勧めています。さらに1月用のダイヤモンド・アンベローラ(Diamond Amberola)店頭展示案も掲載されており、同社が1916年初頭にシリンダー部門の販売網維持と拡張をなお重視していたことが分かります。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Audio/Edison-Phonograph/Edison-Phonograph-Monthly-1916-Vol-14.pdf
- https://archive.org/stream/edisonphonograph14moor/edisonphonograph14moor_djvu.txt
Victor
ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)については、『The Talking Machine World』1915年12月15日号に「RECORD BULLETINS FOR JANUARY, 1916」が掲載されており、1916年1月販売分のレコードを卸・小売へ向けて準備し、月初の市場投入を前提に商品告知を進めていたことが確認できます。1916年1月の企業活動として確実に言えるのは、この時点で同社が1月新譜の供給と販売促進を業界誌上で明示していたことです。少なくとも資料上では、ヴィクター・トーキング・マシン社が新年最初の商戦に向けて商品展開を整えていたことは明白です。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/10s/Talking-Machine-1915-12.pdf
- https://archive.org/stream/talkingmachinewo12bill/talkingmachinewo12bill_djvu.txt
Columbia
コロンビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)については、『The Talking Machine World』1916年1月15日号で、ブリッジポート工場の管理体制に新しい責任者が置かれたことが報じられており、同月に製造部門の運営強化が進められていたことが確認できます。月ページの観点から見ると、これは単なる人事ではなく、レコードと機械の安定供給を支える企業活動そのものです。1916年1月の資料上で安全に確認できるコロンビア・グラフォフォン社の動きとしては、この工場運営面の整備がもっとも確実です。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/10s/Talking-Machine-1916-01.pdf
- https://archive.org/stream/talkingmachinewo12bill/talkingmachinewo12bill_djvu.txt
