35000 series

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35000 series

Edison Amberola 75(カタログ図版)

画像出典:Wikimedia Commons, Public Domain

35000 seriesは、Edison系のCylinder:4-minute wax=Amberol Seriesにおいて、「Amberol Concert and Grand Opera Series」のうち「Amberol Grand Opera Records($1.50 series)」として編成された番号帯です。UCSBのディスコグラフィでは、Edison Amberol 28000/30000/35000/40000 seriesの体系の一部として扱われ、35000–35021が本系列に相当します。

本系列は、1909年末以降に運用されたAmberol “B” Series(Amb B番号)の一部を、1910年前後の価格帯別整理に合わせて再番号化(reissue/renumber)したものとして記載されます。したがって、同一録音がB番号と35000番台の双方で参照できる場合があり、Grand Operaラインの体系化を具体的に示す系列です。

シリーズの概要

35000 seriesは、カタログ掲載(Listed)上は1910年5月から1911年3月までにわたって提示されます。各項目にはAmb B番号からの再発である旨が付記される例が多く、1909–1910頃に録音されたGrand Opera系レパートリーを、$1.50帯として集約した番号帯であることが確認できます。

そのため35000 seriesは、特定時期の新録音だけで構成されたシリーズというよりも、既存録音資産の再番号化と販売体系の整理によって成立したサブシリーズとして位置づけられます。

シリーズの特徴

第一に、35000 seriesはGrand Opera Amberolの価格帯別区分の中核として、$1.00(30000)と$2.00(40000)の間に位置づけられます。価格帯の設定は、同一のGrand Opera枠を一律に扱うのではなく、複数レンジで提示するカタログ運用を示しています。

第二に、収録内容はオペラ・アリア等の声楽を中心とし、管弦楽伴奏付きの録音が多い点が挙げられます。さらに、同一歌手の複数面をまとまりとして配置する傾向も見られ、演者名を軸にレパートリーを編成したシリーズであることがうかがえます。

番号体系と価格帯

Edisonの4分Amberol(ワックス)では、初期にAmb B番号で運用されたGrand Opera系の一部が、1910年前後にConcert(75セント)とGrand Opera($1.00/$1.50/$2.00)へ整理されます。この価格帯別ブロックとして、30000($1.00)、35000($1.50)、40000($2.00)が整備され、35000 seriesは$1.50帯のGrand Operaとして位置づけられました。

この区分は、番号体系の変更にとどまらず、同一ジャンル(Grand Opera)を価格帯で分節し、カタログ上の提示単位として運用する仕組みを示します。

収録レパートリーと演者傾向

35000 seriesは、声楽(オペラ・アリア)を中心に、特定歌手の複数面をまとめて配置する傾向が見られます。例として、ブランシュ・アラル(Blanche Arral, 1864–1945)、ゼルマ・クルツ(Selma Kurz, 1874–1933)、マリア・ガルヴァニー(Maria Galvany, 1878?–1927)、マリア・ラビア(Maria Labia, 1880–1953)などが複数の項目で確認できます。

また、二重唱としてアリストデモ・ジョルジーニ(Aristodemo Giorgini, 1877–1937)とオレステ・ベネデッティ(Oreste Benedetti, 1873–1945)が並ぶ例も含まれ、声楽中心でありつつ編成に一定の幅があることも特徴です。

録音拠点と供給形態

35000 seriesにはニューヨーク録音とロンドン録音が併存し、米国拠点の録音に加えて欧州拠点の録音をシリーズに組み込んでいる点が特徴です。UCSBのディスコグラフィでも各項目にNY/Londonの録音地が付されており、Grand Operaラインが複数拠点の録音供給を前提として編成されたことが確認できます。

この性格は、同時期のEdisonが4分AmberolのGrand Opera枠を「価格帯別のまとまり」として成立させる上で、録音拠点の多元化を取り込んでいたことを示します。

商品設計とパッケージング

Grand Opera Amberolは、同時代資料において通常のAmberolとは別枠で示され、価格帯を明示した高価格帯ラインとして提示されます。35000 seriesは、そのうち$1.50帯として番号帯がまとまり、価格区分と番号体系が連動した「販売上の単位」を形成しました。

この点で35000 seriesは、録音内容の分類というよりも、カタログ上の区分(Grand Opera/価格帯/番号帯)によって成立した系列として理解できます。

再発売と後継媒体への引き継ぎ

35000 seriesの一部は、のちにBlue Amberol(セルロイド)で再発売されたことがディスコグラフィ上で確認できます。これにより、ワックスAmberol期のGrand Operaレパートリーが、1912年末以降に展開するBlue Amberolのコンサート/グランド・オペラ枠へ引き継がれた経路を具体的に追跡できます。

シリンダー(セルロイド系を含む)の外観例

画像出典:Wikimedia Commons, CC0

この「媒体の交代に合わせてレパートリーを移植する」動きは、Edisonが円筒事業を延命させるための合理的な戦略であり、35000 seriesはその“移植される側”としても重要です。

シリーズの歴史的意義

35000 seriesは、4分ワックスAmberol期におけるGrand Operaラインの体系化を示す番号帯であり、Amb B番号から価格帯別ブロック(30000/35000/40000)へ移行する過程を具体的に示します。再番号化(reissue/renumber)の痕跡が残る点は、Edisonのカタログ運用が「録音資産の再配置」を通じて更新されていくことを確認できる要素です。

また、後継媒体であるBlue Amberolへの再発売例が確認できるため、同一レパートリーが媒体更新を越えて流通した事実を追跡でき、シリーズ史・媒体史の接続点としても資料的価値を持ちます。

関連項目

35000 seriesは、Cylinder:4-minute wax=Amberol Seriesの中で、Grand Opera(高価格帯)区分に属するサブシリーズです。同系統のGrand Opera枠には、価格帯の異なる30000($1.00)および40000($2.00)が併存し、35000 seriesはその中間に置かれた$1.50帯として整理できます。

また本系列は、再番号化以前のAmberol “B” Seriesで形成されたGrand Opera系ラインと連続する位置にあり、さらに一部がBlue Amberolへ再発売されるため、ワックス製Amberol期からセルロイド期への接続点としても位置づけられます。