1919年7月に録音された音楽
1919年7月は、第一次世界大戦後の秩序再編と新しい交通・社会問題が同時に進んだ月です。7月1日にはハウンズロー・ヒース空港(Hounslow Heath Aerodrome)が開業し、7月2日–6日と9日–13日には飛行船R34(R34)が大西洋の往復横断を成し遂げました。7月10日にはヴェルサイユ条約(Treaty of Versailles)がアメリカ合衆国上院(United States Senate)へ送付され、7月17日にはカール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム(Carl Gustaf Emil Mannerheim, 1867–1951)がフィンランド憲法法(Suomen Hallitusmuoto)を裁可しました。7月19日にはイギリスで平和祝賀日(Peace Day)が行われましたが、同日にはワシントン人種暴動(Washington race riot of 1919)が始まり、7月27日にはシカゴ人種暴動(Chicago race riot of 1919)が発生しました。月末の7月31日にはドイツ国憲法(Verfassung des Deutschen Reichs)が採択され、戦後ヨーロッパの新しい政治秩序が具体化しました。
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1919年7月の録音に関する情報のまとめ
1919年7月の録音市場では、戦時色の強い宣伝から、夏の余暇、家庭娯楽、分割払い、室内装飾性、そしてダンス需要へと重心が移っていたことが読み取れます。コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Company)は独立記念日と結び付いた愛国的意匠を継続し、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)は7月の新譜と家庭ダンスを押し出しました。トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)は「ザ・ニュー・エジソン」を家庭導入の対象として売り込み、エオリアン社(The Aeolian Company)のエオリアン=ヴォカリオン(Aeolian-Vocalion)は新しい楽器性と夏の室内娯楽を訴えています。さらに、ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)やソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)の広告からは、店頭実演、比較聴取、屋外看板など、販売現場の競争が7月にも活発だったことが確認できます。
コロムビア
コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Company)は、1919年7月の補足カタログ表紙で赤・白・青の戦後的な愛国意匠を前面に出し、独立記念日と結び付いた販売訴求を続けていました。地方紙の7月中旬広告でも、新しいコロムビア・レコードの入荷と週末販売が告知されており、月内の新譜供給と店頭販売の回転が確認できます。
- https://blogs.loc.gov/now-see-hear/2018/11/how-to-sell-war-and-peace/
- https://www.loc.gov/resource/sn84020558/1919-07-22/ed-1/?sp=3&st=text
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=DT19190717.1.11
ヴィクター
ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)は、1919年7月の新聞広告で「7月の新譜」を前面に出し、店頭で小冊子を配布しながら新作の回転を促していました。同月の広告では、ヴィクトローラを「いつでも踊れる」家庭用楽器として示しており、夏の余暇と家庭ダンスを結び付けた販促が明瞭です。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=RPD19190701.1.3
- https://idnc.library.illinois.edu/?a=d&d=TUC19190704.1.5
- https://trinitywatkinson.libraryhost.com/repositories/3/archival_objects/4121
エジソン
トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)は、1919年7月の地方紙広告で「ザ・ニュー・エジソン」を「フォノグラフ・ウィズ・ア・ソウル」として売り込み、家庭への導入を分割払いや一定額のレコード購入と結び付けていました。7月の別広告では、他社盤を含むレコード再生能力まで訴求しており、機械そのものの音質と実用性の両方を前面に出していたことが分かります。
- https://www.loc.gov/resource/sn84022835/1919-07-03/ed-1/?st=text
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19190705-01.1.13
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=TSYLWWJ19190717.1.5
エオリアン=ヴォカリオン
エオリアン社(The Aeolian Company)のエオリアン=ヴォカリオン(Aeolian-Vocalion)は、1919年7月の広告で「ほかのどのフォノグラフとも異なる新しい楽器」として売り出されていました。7月の別広告では、新しいヴォカリオン・レコード、夏の夕べの音楽、手頃な価格帯が強調されており、楽器としての格付けと家庭向け娯楽商品の両面から販促していたことが確認できます。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=RPD19190704.1.4
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=RPD19190711.1.4
- https://www.nyshistoricnewspapers.org/?a=d&d=suna19190720-01.1.3
ブランズウィック
ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)のブランズウィックは、1919年7月の広告で「オール・フォノグラフズ・イン・ワン」を強く打ち出し、他方式のレコード再生や構造上の優位を訴えていました。7月上旬の地方紙では、実際に聴いて比較することを促す文言が繰り返されており、店頭実演と比較試聴が販売の中心手法だったことが分かります。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=DT19190706.1.4
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=DT19190710.1.12
ソノラ
ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)は、1919年7月の地方紙広告で最新型を前面に出しており、店頭での現物訴求を進めていました。同月の業界誌図版ではソノラの大型屋外看板も確認でき、新聞広告だけでなく街頭広告を組み合わせた販促を行っていたことが分かります。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=TSYLWWJ19190710.1.10
- https://phonographia.com/PhonoSign/Phonosign.htm
