Music recorded in October 1920
1920年10月は、第一次世界大戦後の国境再編と社会制度の変化が各地で同時に進んだ月でした。10月10日にはケルンテン住民投票(Carinthian plebiscite)が行われ、係争地の帰属をめぐって住民多数がオーストリア側を支持しました。10月12日にはポーランド・ソビエト戦争の休戦がリガで調印され、戦線の停止が具体化しました。10月14日にはフィンランドとロシア社会主義連邦ソビエト共和国(Russian Soviet Federative Socialist Republic)の間でタルト平和条約(Treaty of Tartu)が結ばれ、北東ヨーロッパの境界が整理されました。同じ10月14日にはオックスフォード大学(University of Oxford)が女性に初めて学位を授与し、高等教育史の節目となりました。10月23日にはシンクレア・ルイス(Sinclair Lewis, 1885–1951)の『メイン・ストリート』(Main Street)が初刷発行月の作品として現れ、10月25日にはギリシャ王アレクサンドロス(Alexander of Greece, 1893–1920)が死去しました。さらに10月28日にはジュール・ボルデ(Jules Bordet, 1870–1961)へのノーベル生理学・医学賞(Nobel Prize in Physiology or Medicine)の公表が行われ、医学研究の分野でも大きな節目が記録されました。
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1920年10月の録音に関する情報のまとめ
1920年10月の録音業界では、秋から年末に向かう家庭需要を見込み、各社が蓄音機本体とレコードの両面で販促を強めていました。10月の新聞広告では、分割払い、即納、公開実演、他社盤再生、保証条件といった要素が繰り返し打ち出されており、単なる新譜訴求だけでなく、家庭に蓄音機を導入させる販売競争が前面に出ていました。
Victor
ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)は、1920年10月上旬にヴィクター・レコード(Victor Records)の再生用付属品を広告し、10月14日にはジェラルディン・ファーラー(Geraldine Farrar, 1882–1967)のヴィクター・レコードを通じてヴィクトローラ(Victrola)の再現性を訴えました。10月下旬にはレコード付きのヴィクトローラを分割払いで販売する広告も見られ、同社が高級芸術家の録音と家庭向けの購入条件を組み合わせて秋の需要を広げていたことが分かります。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19201004-01.1.10
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19201014-01.1.7
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=IPT19201025.1.9
Columbia
コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)は、10月1日に新型グラフォノーラ(Grafonola)の音質と家具調の外観を前面に出し、10月6日には割賦販売を強く訴える広告を出しました。10月27日にも小額頭金でコロムビア・グラフォノーラを家庭へ届ける販売方式が示されており、10月の販促は機械本体の導入障壁を下げることに重点が置かれていました。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19201001-01.1.8
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=IPT19201006.1.9
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=LCT19201027.1.3
Edison
トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)は、10月を通じてニュー・エジソン(New Edison)とトーン・テスト(Tone Test)を軸にした販売を続けていました。10月5日の広告では「公式実験室モデル」が、10月28日と30日の広告では直前の公開実演やトーン・テストの成果がそれぞれ強調されており、同社が録音再現の忠実さを実演によって示す販売方法を維持していたことがうかがえます。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=GH19201005-01.1.4
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=TSYLWWJ19201028.1.6
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=RPD19201030.1.3
Brunswick
ブランズウィック社(The Brunswick-Balke-Collender Company)は、10月1日と22日の広告でブランズウィック・レコード(Brunswick Records)と蓄音機の販売を継続していました。とくに10月22日には、ブランズウィック機が他社のレコードも再生できることを大きく掲げており、同社が互換性を競争上の強みとして押し出していたことが分かります。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19201001-01.1.19
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=GH19201022-01.1.2
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=IPT19201022.1.12
Sonora
ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)は、10月1日と15日の広告でソノラ・フォノグラフ(Sonora Phonograph)を家庭の室内空間になじむ高級機として訴求しました。10月の販促では、音だけでなく外観や室内装飾性も価値として強調されており、秋の家庭需要を狙った商品像が明確でした。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19201001-01.1.24
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19201015-01.1.22
putty
パテ・フレール・フォノグラフ社(Pathé Frères Phonograph Company)は、10月22日と28日の広告でパテ・フォノグラフ(Pathé Phonograph)とパテ・レコードを組み合わせて販売しました。10月22日には本体の1年保証が明示され、10月28日には家庭へ即納する販売文句とともに多様な音楽供給がうたわれており、機械とレコードを一体化した販促が続いていました。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=LCT19201022.1.16
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19201028-01.1.21
Vocalion
エオリアン社(The Aeolian Company)のヴォカリオン(Vocalion)は、10月12日と15日の広告でエオリアン・ヴォカリオン(Aeolian-Vocalion)本体とヴォカリオン・レコード(Vocalion Records)を一体で訴求しました。10月の時点で、エオリアン社は蓄音機本体だけでなく、専用レコードを含む家庭用音楽商品としてヴォカリオンを展開していました。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19201012-01.1.32
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19201015-01.1.39
