Music recorded in December 1913

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Music recorded in December 1913

1913年12月は、制度改革、科学の顕彰、大衆文化の拡張が同時に進んだ月でした。12月10日にはストックホルムでノーベル賞の祝典が開かれ、ラビンドラナート・タゴール(Rabindranath Tagore, 1861–1941)の文学賞受賞が世界的な話題となりました。同月にはハイケ・カメルリング・オネス(Heike Kamerlingh Onnes, 1853–1926)、アルフレート・ヴェルナー(Alfred Werner, 1866–1919)、シャルル・ロベール・リシェ(Charles Robert Richet, 1850–1935)らの受賞も広く報じられています。12月中旬には、1911年に盗まれていた『モナ・リザ』がフィレンツェで確認され、欧州文化界に強い反響を与えました。アメリカ合衆国では12月19日にレイカー法が成立し、12月23日には連邦準備法が署名されて、資源開発と金融制度の両面で長期的な転換点が築かれました。さらに12月21日には『ニューヨーク・ワールド』紙でアーサー・ウィン(Arthur Wynne, 1871–1945)による最初期クロスワードが掲載され、12月24日にはワシントンで大規模な共同体クリスマス行事が開かれました。年末の世界は、政治制度の再編と都市大衆文化の成熟が並行して進む時代の加速をはっきり示しています。

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1913年12月の録音に関する情報のまとめ

1913年12月の同時代業界資料を確認すると、年末商戦の最終局面に入った録音業界では、シリンダー盤とディスク盤の両系統がなお併存しつつ、販売戦略と流通体制の再編が進んでいました。当月の資料上で活動を明確に確認できる主要企業は、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)、コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)です。以下では、1913年12月の一次資料・同時代業界誌で確認できる動きを企業ごとに整理します。

Edison

1913年12月の『エジソン・フォノグラフ・マンスリー』(Edison Phonograph Monthly)では、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)がシリンダー盤とディスク盤を同時に前面へ押し出していたことが明確に確認できます。同号の内容は、ブルー・アンベロールの翌月発売分、クリスマス向けの曲目訴求、新しいシリンダー用販促物、新しいディスク用販促物、正式なディスク告知、さらにシリンダー型・ディスク型それぞれの広告支援で構成されており、1913年12月時点で同社がどちらか一方へ完全に移行したのではなく、年末市場に対して二系統を並行して売り込んでいたことを示しています。

同月15日付の『トーキング・マシン・ワールド』(The Talking Machine World)では、ハードマン・ペック商会(Hardman, Peck & Co.)がニューヨーク市とブルックリンでエジソン・ディスクの全ラインを扱う体制に入り、433 Fifth Avenue に最初の出荷品が到着し、防音式の試聴室も整備中であると報じられています。これは1913年12月の時点で、エジソンのディスク事業が単なる発表段階ではなく、大都市の販売現場に具体的に流れ込み始めていたことを示す同時代証言です。加えて同じ号では、エジソンのグランド・オペラ系ディスクの裏面に、短いオペラ解説と歌手紹介を載せる新方針も紹介されており、単なる録音販売だけでなく、家庭での鑑賞補助まで意識した商品設計が進んでいたことも確認できます。

Victor

1913年12月のヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)については、同月15日付の『トーキング・マシン・ワールド』(The Talking Machine World)から、年末商戦に向けた商品整理と高級機種訴求が確認できます。同号ではヴィクトローラ XVI が大きく打ち出されており、1913年末のヴィクター販売戦略が高級キャビネット型機種を正面に据えていたことがわかります。

また同号の記事では、同社が新しい総合カタログ群を直前に配布したことも報じられています。そこには作者別・分類別・曲名別のレコード索引、数値順カタログ、廃盤一覧、オペラおよび器楽分野の追加資料などが含まれており、年末需要のさなかに販売店の在庫管理と顧客案内を強化しようとしていたことが読み取れます。さらにシカゴでは、ルドルフ・ヴァーリッツァー社(Rudolph Wurlitzer Co.)が舞台作品『Romance』にヴィクトローラ XVI を登場させる宣伝連動を行っており、1913年12月のヴィクターは、商品カタログ整備と都市型の高級イメージ訴求を組み合わせていたと整理できます。

Columbia

1913年12月のコロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)は、拡販と供給逼迫が同時に進んでいたことが『トーキング・マシン・ワールド』(The Talking Machine World)で確認できます。同月号の報道では、同社の幹部マリオン・ドリアン(Marion Dorian, 生没年不明)が各地の業況を視察したうえで、事業は高水準にあり、休日需要も非常に強く、各地で新規取引や新部門の拡張が進んでいると述べています。セントルイスでは前月に二つの新部門が開かれたことも報じられており、1913年12月のコロムビアが流通網の拡張局面にあったことは明白です。

同じ12月号では、ソプラノ歌手マギー・テイト(Maggie Teyte, 1888–1976)がコロムビア専属で録音する契約を結び、その最初の録音が数日前に行われたとも伝えられています。これは1913年12月における録音面での具体的な動きとして重要です。さらに同号の広告では、コロムビア・レコードがヴィクター機でも再生できること、またグラフォノーラにトーン・コントロール機構を備えていることが強調されており、同社が当月、互換性と機能性の両面を販売上の訴求点としていたことも確認できます。