1925年4月に録音された音楽

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1925年4月に録音された音楽

1925年4月は、戦間期の文化的高揚と政治的不安定が同時に進んだ月でした。4月10日にはフランシス・スコット・キー・フィッツジェラルド(Francis Scott Key Fitzgerald, 1896–1940)の『グレート・ギャツビー』(The Great Gatsby)が刊行され、英語圏文学の代表作の一つとして後世に定着します。4月16日にはブルガリアの首都ソフィアで聖ネデリャ教会(St. Nedelya Church)爆破事件が起こり、多数の死傷者を出しました。4月26日にはパウル・フォン・ヒンデンブルク(Paul von Hindenburg, 1847–1934)がドイツ共和国大統領に選出され、4月28日にはウィンストン・チャーチル(Winston Churchill, 1874–1965)がイギリスの金本位制復帰を表明しました。さらに4月下旬にはパリで国際装飾美術・産業美術博覧会(Exposition internationale des arts décoratifs et industriels modernes)が開幕し、後年アール・デコ(Art Deco)と総称される造形潮流の国際的拡散を後押ししました。

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1925年4月の録音に関する情報のまとめ

1925年4月の録音業界は、アコースティック録音から電気録音への移行が制作現場と商品政策の両面で具体化した月として確認できます。ブランズウィック=バルク=コーレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)、コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company Inc.)、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)では、新方式の録音・再生体制への切替が4月中に明確に進みました。一方、ゼネラル・フォノグラフ社(General Phonograph Corporation)のオーケー・レコード(Okeh Records)は同月も録音と営業活動を続けており、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)では月末に再生機構の改良を示す特許出願が確認できます。

ブランズウィック

ブランズウィック=バルク=コーレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)では、マンハッタンの第7街799番地東部本部第3室に設置された装置により、1925年4月7日から電気録音による商業原盤の作成が始まりました。4月の段階では第1室と第2室で従来型のアコースティック録音もなお続いており、同社はこの月に新旧方式を並行運用しながら実務的な切替を進めていたことが確認できます。

コロムビア

コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company Inc.)では、1925年2月末から電気録音への転換が本格化し、4月にはアコースティック録音と電気録音が混在しながらも比重が後者へ傾いていました。4月9日には保留されていたアコースティック原盤が破棄され、4月29日以後はニューヨークの通常録音がすべて電気録音になったことが確認できます。1925年4月は、同社が録音現場の運用を実質的に切り替えた月でした。

ヴィクター

ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)では、1925年4月にアコースティック設備の整理と新再生機構の準備が同時に進みました。月内にはカムデンの録音室で3台のアコースティック録音機を廃棄する承認が与えられ、4月1日には既存のヴィクトローラ3機種の試料がウエスタン・エレクトリック社(Western Electric Company)へ送られて再生系統の適合試験が行われました。さらに4月の段階で、旧来のアコースティック盤在庫を整理する計画も社内で作成されており、同社が新方式への全面移行を商品面からも準備していたことがわかります。

オーケー

ゼネラル・フォノグラフ社(General Phonograph Corporation)のオーケー・レコード(Okeh Records)については、1925年4月15日号の業界誌に同社年次総会の記事が見え、同月10日および27日付のオーケー原盤も録音データベース上で確認できます。4月の同社は、電気録音移行の話題が大手各社で強まるなかでも、通常の録音活動と営業組織の維持を続けていたことが資料上確認できます。

エジソン

トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)では、1925年4月30日付でサウンドボックスの振動板取付に関する特許出願が確認できます。この出願は新譜発売一覧ではありませんが、少なくとも同月末に同社が再生機構の改良を継続していたことを示しており、録音・再生技術をめぐる企業活動がなお続いていたことを裏づけます。