1906年9月に録音された音楽

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1906年9月に録音された音楽

1906年9月は、帝国主義的な軍事介入と都市社会の緊張、そして自然災害が同時進行した月でした。9月18日、香港で台風が直撃し、ヴィクトリア湾周辺の海運・漁業を中心に甚大な人的被害が報告されました。9月20日、バリ島でオランダ王国(Kingdom of the Netherlands)の軍事行動が進み、バドゥンで多数の死者を伴う事件(ププタンとして知られる)が起きました。同じ9月20日、イギリスでロイヤル・メール・シップ・モーリタニア(RMS Mauretania)が進水し、大西洋航路の大型高速船競争を象徴する出来事となりました。9月24日–26日、アメリカ合衆国(United States of America)のジョージア州アトランタで白人暴徒による暴力が発生し、黒人住民に多数の死傷者と財産被害が生じました。9月29日には、キューバでウィリアム・ハワード・タフト(William Howard Taft, 1857–1930)が「臨時統治」を宣言し、政治秩序の再編が進められました。

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1906年9月の録音に関する情報のまとめ

1906年9月の録音関連では、ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)が「エジソン・ゴールド・モールデッド・レコード(Edison Gold Moulded Records)」の9月新譜(アドバンス・リスト)を提示し、番号9338–9361の新規レコードを出荷計画に組み込みました。楽曲は行進曲、ワルツ、ユーモア(ヴォードヴィル・スケッチ)、聖歌、描写歌などが混在し、器楽(吹奏楽・オーケストラ)と独唱・重唱を併走させる月次編成が確認できます。また同社は、従来「レコードと同時」に扱われがちだった月刊印刷物(補遺・案内類)について、9月号以降は一定条件下で前倒し配布を認める運用を通知しました。加えて、フェルト張りの新型レコード箱(カートン)に定価を設定するなど、流通・販促資材の整理も同時期の論点として現れます。

エジソン・ゴールド・モールデッド・レコード:1906年9月新譜(アドバンス・リスト)

ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)は、1906年9月向け新譜として、9338–9361の範囲でアドバンス・リストを掲示しています。例として、9338「Ride of the Valkyries」(リヒャルト・ワーグナー由来)、9345「Manhattan Beach March」(ジョン・フィリップ・スーザ作として提示)、9353「I Surrender All」(聖歌)、9361「Afloat on a Five Dollar Note Medley」(複数曲メドレー)などが含まれます。器楽(エジソン・コンサート・バンド、エジソン・ミリタリー・バンド、エジソン・シンフォニー・オーケストラ)と、独唱・重唱(例:エイダ・ジョーンズ、ビリー・マレイほか)が併記され、当時の大衆歌謡と「バンド物」の並走が読み取れます。

月刊印刷物の前倒し配布(9月号以降の運用)

販売現場からの不満(ジョバーが先に郵送準備でき、リテール・ディーラーが不利になる等)を受け、1906年9月号以降、ジョバーがディーラーへ「フォノグラム(Phonogram)」や補遺類を月内早期に渡すことを条件付きで認める旨が通知されています。条件として、ディーラー側が一定日付以前に配布・郵送しないことに同意する運用が示され、違反した場合は前倒し提供を停止する、といった統制も明記されています。

レコード用カートン(新型箱)への価格設定

フェルト張りの新型レコード箱(カートン)について、需要増を背景に、1個あたりのリスト価格を設定し、取引条件(割引率等)を付して販売する旨が告知されています。これはレコード本体だけでなく、保管・配送・陳列に関わる周辺資材を「商品」として整備していく流れの一端として位置づけられます。