1922年7月に録音された音楽
1922年7月は、内戦、労働争議、文化施設の本格始動、医療技術の量産化、国際秩序の再編が同時に進んだ月でした。アイルランドでは、6月28日に始まった四法院の戦闘が7月初めに終わり、マイケル・コリンズ(Michael Collins, 1890–1922)らが率いるアイルランド自由国側と反条約派の対立は全国的な内戦段階へ入りました。アメリカ合衆国では7月1日に鉄道工場労働者の大規模争議が始まり、戦後不況下の労働問題が広域化しました。ブラジルでは7月5日にコパカバーナで若手将校の反乱が起こり、政情不安が表面化しました。文化面では7月にハリウッド・ボウル(Hollywood Bowl)で『カルメン』公演とロサンゼルス・フィルハーモニック管弦楽団の初回演奏会が行われ、恒常的な野外音楽施設としての性格が明確になりました。医療分野では、トロント大学(University of Toronto)とイーライ・リリー社(Eli Lilly and Company)の協力によるインスリン量産体制が7月に前進し、7月24日には国際連盟理事会(Council of the League of Nations)がパレスチナ委任統治(Mandate for Palestine)を確認しました。
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1922年7月の録音に関する情報のまとめ
1922年7月の録音業界では、夏季商戦に向けた新譜販促、店頭装飾、多言語市場への広告展開、カットアウト整理、ポータブル機の販売強化が同時に進みました。7月15日号の『The Talking Machine World』では、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)、コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Company)、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)、エオリアン社(The Aeolian Company)のヴォカリオン(Vocalion)、ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)、ブランズウィック=バルク=コレンダー社(The Brunswick-Balke-Collender Company)、ペース・フォノグラフ社(Pace Phonograph Corporation)などの動きが確認できます。録音日一覧では、コロムビア・グラフォフォン社とトーマス・A・エジソン社の当月録音も確認できます。
ヴィクター
7月号では、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)が、7月新譜を載せたギリシア語、ヘブライ語、イタリア語、ポーランド語、ロシア語の5種のハンガーを告知しています。1922年7月の同社は、多言語圏の顧客を意識した店頭販促を強め、夏の新譜販売を広い市場に向けて押し出していました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1922-07.pdf
- https://archive.org/stream/talkingmachinew18bill/talkingmachinew18bill_djvu.txt
コロムビア
コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Company)については、7月号に大型のコロムビア・レコード看板をディーラー向けに供給できる旨が見え、店頭視認性の強化を進めていたことが分かります。録音日一覧では7月10日にコロムビアの録音が確認でき、同月も販促と録音制作が並行して進んでいました。
- https://archive.org/stream/talkingmachinew18bill/talkingmachinew18bill_djvu.txt
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1922-07.pdf
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1922-07-10
エジソン
トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)では、8月向けの店頭ウィンドーとして音楽と美術を主題にした展示が準備されており、7月の段階で次月販促の設計が進んでいました。録音日一覧では7月10日と7月26日にエジソンの録音が確認でき、同社が店頭演出と新録音の蓄積を同時に進めていたことが分かります。
- https://archive.org/stream/talkingmachinew18bill/talkingmachinew18bill_djvu.txt
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1922-07-10
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1922-07-26
オーケー
オットー・ハイネマン・フォノグラフ・サプライ社(Otto Heineman Phonograph Supply Co.)のオーケー・レコード(Okeh Records)については、7月号でレコードと書籍を組み合わせて売る訴求が確認できます。1922年7月の同社は、レコードを単独商品としてではなく、関連出版物と合わせて動かす販売戦略を前面に出していました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1922-07.pdf
- https://archive.org/stream/talkingmachinew18bill/talkingmachinew18bill_djvu.txt
ヴォカリオン
エオリアン社(The Aeolian Company)のヴォカリオン(Vocalion)では、7月1日発効のカットアウト計画が告知されており、人気盤カタログの一部整理が販売政策として実施されました。7月の同社は、既存在庫の整理と流通効率の改善を進める局面に入っていたことが分かります。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1922-07.pdf
- https://archive.org/stream/talkingmachinew18bill/talkingmachinew18bill_djvu.txt
ソノラ
ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)については、7月号でソノラ・ポータブルが夏季販売向けの有力商品として強く打ち出されています。1922年7月の同社は、屋外や旅行需要を意識したポータブル機の販売を前面に押し出していました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1922-07.pdf
- https://archive.org/stream/talkingmachinew18bill/talkingmachinew18bill_djvu.txt
ブランズウィック
ブランズウィック=バルク=コレンダー社(The Brunswick-Balke-Collender Company)では、7月号に機械とレコードの需要が堅調である旨の記事が載っており、夏季にも販売が鈍っていなかったことが確認できます。1922年7月の同社は、新譜個別告知よりも、継続的な店頭需要の維持が目立つ月でした。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1922-07.pdf
- https://archive.org/stream/talkingmachinew18bill/talkingmachinew18bill_djvu.txt
ブラック・スワン
ペース・フォノグラフ社(Pace Phonograph Corporation)のブラック・スワン・レコード(Black Swan Records)については、7月号で工場が能力一杯で稼働している旨が報じられています。1922年7月の同社は、需要に応えるための供給体制維持が重要課題になっていたことがうかがえます。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1922-07.pdf
- https://archive.org/stream/talkingmachinew18bill/talkingmachinew18bill_djvu.txt
