1919年2月に録音された音楽
1919年2月は、第一次世界大戦後の秩序形成が各地で具体化した月でした。2月6日にドイツ国民議会(German National Assembly)がワイマールで開会し、11日にはフリードリヒ・エーベルト(Friedrich Ebert, 1871–1925)が大統領に選出されました。14日にはパリ講和会議(Paris Peace Conference)で国際連盟(League of Nations)規約案が報告され、19日にはマリー・ユハチャツ(Marie Juchacz, 1879–1956)がドイツ議会で初めて演説した女性となりました。その一方で、21日にはクルト・アイスナー(Kurt Eisner, 1867–1919)が暗殺され、革命後ドイツの不安定さも続きました。アメリカ合衆国では2月6日–11日にシアトル・ゼネラル・ストライキ(Seattle General Strike)が行われ、26日にはグランドキャニオン国立公園(Grand Canyon National Park)が成立し、社会運動と自然保護の両面で後世に残る出来事が起こりました。
この月の確認されている録音:0曲
1919年2月の録音に関する情報のまとめ
1919年2月の録音関連資料では、新譜そのものの一覧よりも、各社の販売活動、地方販売店での実演、月賦販売、機械の機構上の特徴を強調する広告がよく確認できます。一次資料上で当月の活動を確実に追えるのは、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)、コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)、パテ・フレール・フォノグラフ社(Pathé Frères Phonograph Company)、ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)、エオリアン社(The Aeolian Company)のヴォカリオン(Vocalion)です。確認できる動きは、録音制作そのものよりも、流通網の整備と店頭販促に重心が置かれていました。
ヴィクター
1919年2月の地方紙広告では、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)の2月新譜が継続して訴求され、販売店が試聴を通じて店頭集客を行っていました。2月上旬から下旬まで同社レコードの広告が続いていることから、同月のヴィクター・トーキング・マシン社は地方販売網を通じた定期的な新譜販促を進めていたことが確認できます。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=SBNT19190208.1.5
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=SBNT19190222.1.5
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=DCDD19190228.1.5
コロムビア
1919年2月の広告では、コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)のレコード常備在庫と、コロムビア・グラフォノーラの分割払い販売が並行して訴求されていました。2月20日付の地方紙では、宝飾店でコロムビア・グラフォノーラとレコード群の取扱開始が告知されており、同月の同社が地方店頭への浸透を進めていたことが分かります。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19190206-01.1.3
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19190227-01.1.3
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=WLKI19190220.1.1
エジソン
1919年2月の『ザ・トーキング・マシン・ワールド』では、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)が販売店向けに二十八頁の冊子を用意したことが報じられています。地方紙広告でも「ニュー・エジソン」を前面に出した実演と販売が確認でき、同月の同社は販売店支援と高級機販売を並行して進めていました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/10s/Talking-Machine-1919-02.pdf
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19190208-01.1.28
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19190212-01.1.8
パテ
1919年2月の広告では、パテ・フレール・フォノグラフ社(Pathé Frères Phonograph Company)のレコードが他社製蓄音機でも再生できることと、サファイア・ボールによる耐久性が繰り返し強調されていました。アタッチメントの提供を伴う販売促進も確認でき、同月の同社は録音内容そのものと同時に、再生機構の互換性と利便性を販売の中心に置いていました。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19190226-01.1.8
- https://cdnc.ucr.edu/?a=d&d=CR19190212.2.62.1
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19190212-01.1.3
ソノラ
1919年2月の地方紙では、ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)の機械を購入前に試聴するよう促す販売店広告が、中旬から下旬にかけて連続して確認できます。資料上では新譜よりも機械そのものの音質訴求が前面に出ており、同月の同社は家庭向け高級機としての販路拡大を進めていました。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=TSYLWWJ19190213.1.1
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=TSYLWWJ19190220.1.1
ヴォカリオン
1919年2月の広告では、エオリアン社(The Aeolian Company)のヴォカリオン(Vocalion)が、専用レコードの再生とグラデュオラ(Graduola)による表現調整機構を特徴として宣伝されていました。アメリカ合衆国とオーストラリアの2月広告が確認できるため、同月のヴォカリオンは国際的な市場で独自機構を前面に出して販売されていたことが分かります。
- https://www.nyshistoricnewspapers.org/?a=d&d=suna19190202-01.1.3
- https://trove.nla.gov.au/newspaper/article/60538915
- https://trove.nla.gov.au/newspaper/article/15825241
