1924年12月に録音された音楽

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1924年12月に録音された音楽

1924年12月は、政治、科学、宗教、文化の各分野で後年に大きな影響を残す出来事が重なった月でした。12月1日にはエストニア共和国(Republic of Estonia)で共産主義勢力による武装蜂起が発生し、短時間で鎮圧されました。3日にはカルビン・クーリッジ(Calvin Coolidge, 1872–1933)がアメリカ合衆国議会(United States Congress)へ年次教書を送り、戦後の安定と繁栄を強調しました。10日のノーベル賞授与期には、カール・マンネ・ゲオルク・シーグバーン(Karl Manne Georg Siegbahn, 1886–1978)、ヴィレム・アイントホーフェン(Willem Einthoven, 1860–1927)、ヴワディスワフ・スタニスワフ・レイモント(Władysław Stanisław Reymont, 1867–1925)が各賞の受賞者として示され、化学賞と平和賞は授与されませんでした。20日にはアドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler, 1889–1945)がランツベルク刑務所(Landsberg Prison)から釈放され、24日には教皇ピウス11世(Pius XI, 1857–1939)がサン・ピエトロ大聖堂(St. Peter’s Basilica)の聖なる扉を開いて1925年の聖年(Holy Year)を開始しました。30日にはエドウィン・パウエル・ハッブル(Edwin Powell Hubble, 1889–1953)がアンドロメダ星雲(Andromeda nebula)が銀河系外にあることを公表し、宇宙観の転換を決定づけました。

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1924年12月の録音に関する情報のまとめ

1924年12月の録音業界では、放送を販売促進へ組み込む動き、レコード部門の買収、発売制度の見直し、蓄音機とラジオ関連商品の併売強化が同時に進んでいました。一次資料と同時代業界資料で当月の活動を確認できる範囲では、ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)の放送展開、エオリアン社(The Aeolian Company)のヴォカリオン・レコード部門(Vocalion Record Division)の売却、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)の発売方式変更、ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co., Inc.)の年末商戦向け広告活動が確認できます。

ブランズウィック

ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)は、1924年12月に「Brunswick Hour of Music」を開始し、ニューヨークの録音所からラジオ局WJZを通じて自社専属アーティストの演奏を直接放送する販促へ踏み出しました。12月20日号の『The Billboard』は、この新しい放送シリーズがブランズウィック録音所からの中継であり、今後も日程を告知しながら継続すると報じており、同月の時点で同社が放送を販促の軸に取り込み始めていたことが確認できます。

ヴォカリオン

エオリアン社(The Aeolian Company)のヴォカリオン・レコード部門(Vocalion Record Division)は、1924年12月15日号の『The Talking Machine World』で、ブランズウィック=バルク=コレンダー社による買収が報じられました。記事ではこの取引が1925年1月2日に発効するとされ、さらに12月20日号の『The Billboard』では、1925年1月1日以後のヴォカリオン録音がブランズウィックのニューヨーク録音所で扱われる予定であることが伝えられており、1924年12月のヴォカリオンはブランドを残したまま所有構造と録音体制が切り替わる過渡期にありました。

ヴィクター

ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)は、1924年12月20日号の『The Billboard』で、1925年1月1日以後に旧来の月次新譜方式へ戻す予定だと報じられました。記事によれば、同社は一時的に週次発売方式を試していましたが、通常の月次告知に必要な場合のみ特別発売を補う形へ戻す判断を下しており、12月の時点で販売制度の再調整を進めていたことが確認できます。

ソノラ

ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co., Inc.)は、1924年12月15日号の『The Talking Machine World』において、ソノラ蓄音機、ソノラ・ラジオ・スピーカー、リプロデューサー、ソノラジオを並べた年末商戦向け広告を出していました。12月の資料上では、同社が蓄音機専業ではなく、蓄音機とラジオ関連商品の併売を前面に出した販売活動を続けていたことが確認できます。