1898年6月に録音された音楽

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1898年6月に録音された音楽

1898年6月、スペイン=アメリカ戦争(Spanish–American War)はキューバ島での本格作戦に移り、1898年6月10日のグアンタナモ湾の戦い(Battle of Guantánamo Bay)や、1898年6月22日のダイキリとシボニーへの上陸(Landings at Daiquirí and Siboney)、1898年6月24日のラス・グアシマスの戦い(Battle of Las Guasimas)へと展開しました。東アジアでは清朝(Qing dynasty)で光緒帝(Guangxu Emperor, 1871–1908)が1898年6月11日に戊戌変法(Hundred Days’ Reform)を開始し、制度改革が急速に推し進められました。東南アジアではエミリオ・アギナルド(Emilio Aguinaldo, 1869–1964)が1898年6月12日にフィリピン独立宣言(Philippine Declaration of Independence)を発し、植民地支配の転換点となりました。北米ではカナダ(Canada)が1898年6月13日にユーコン準州(Yukon Territory)を設置し、クロンダイク・ゴールドラッシュ後の行政体制が整えられました。ヨーロッパではイギリス陸軍(British Army)の医療制度再編として1898年6月23日に王立陸軍医療隊(Royal Army Medical Corps)が設立されました。科学界では王立協会(Royal Society)で希ガス研究の報告が続き、ウィリアム・ラムゼー(William Ramsay, 1852–1916)とモリス・トラヴァース(Morris Travers, 1872–1961)が新元素の存在を示す発表を行いました。

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1898年6月の録音に関する情報のまとめ

1898年6月の録音・蓄音機文化を同時代資料でたどると、ニューヨークで活動したジャンニ・ベッティーニ(Gianni Bettini, 1860–1938)のカタログ類や、蓄音機業界を扱う雑誌『フォノスコープ(Phonoscope)』の該当号が確認できます。同月はスペイン=アメリカ戦争(Spanish–American War)の進行期でもあり、後年のアーカイブでは同戦争を主題とする円筒録音がカテゴリとして整理されています。また1898年は、エミール・ベルリナー(Emile Berliner, 1851–1929)に連なるディスク式録音事業が国際展開し、円筒式と平円盤式が併存する市場が可視化していく時期でもあります。

ベッティーニの1898年6月カタログ

『ベッティーニ・レコード・カタログ(Bettini Record Catalog)』1898年6月版には、録音商品が用途別・ジャンル別に並び、著名人・舞台人の名も掲載されています。たとえばサラ・ベルナール(Sarah Bernhardt, 1844–1923)、イヴェット・ギルベール(Yvette Guilbert, 1865–1944)、ポール・プランソン(Pol Plançon, 1851–1914)、エミリオ・デ・ゴゴルサ(Emilio de Gogorza, 1872–1949)などが挙げられ、当時の「誰の声が録音され、どのように売買の対象になっていたか」を直接示す一次資料として重要です。

雑誌『フォノスコープ』1898年6月号にみる当時の蓄音機商況

『フォノスコープ(Phonoscope)』1898年6月号(ニューヨーク)には、蓄音機・付属品・レコード販売に関する広告や記事が掲載され、当時の流通(どの会社が何を扱い、どの都市圏で販売していたか)を同時代の言葉で追うことができます。とくに複数ブランドの機械や「レコード」を並列に扱う誌面は、1890年代末の市場が単一方式ではなく、多様な商品群として成立していたことを裏づけます。

スペイン=アメリカ戦争を題材にした時事録音

スペイン=アメリカ戦争(Spanish–American War)は1898年の時事的関心を強く集め、後年の円筒録音アーカイブでは同戦争を主題とする録音がトピック(主題)として整理されています。これは、同時代に戦争を題材とした歌唱・演説・時事的内容の録音が一定量流通し、収集・保存の過程でも「1898年の出来事と録音」の結び付きが認識されてきたことを示します。

円筒式とディスク式の併存が進んだ1898年の録音産業

1898年は、円筒式録音の商業流通が続く一方で、ディスク式(グラモフォン)側の企業化・国際展開も進んだ時期として位置づけられます。エミール・ベルリナー(Emile Berliner, 1851–1929)によるグラモフォンの事業史や、録音メディア史の概説は、1890年代末に円筒式とディスク式が競合しつつ共存していた状況を説明しており、1898年6月の資料(カタログや業界誌)を読む際の背景理解として有用です。