1906年10月に録音された音楽

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1906年10月に録音された音楽

1906年10月は、政治制度・国際関係・通信規格・航空技術が同時に動いた月でした。10月1日、フィンランド大公国(Grand Duchy of Finland)で普通選挙と被選挙権を含む制度改革が進み、女性参政権の面でも画期となりました。10月3日、ベルリンで第一回国際無線電信会議(International Radiotelegraph Conference)が開幕し、海上無線を含む国際的な無線通信の取り決めづくりが本格化します。10月7日、イランで国民諮問議会(National Consultative Assembly)が開会し、モザッファレッディーン・シャー(Moẓaffar od-Dīn Shāh, 1852–1907)の治世下で立憲化の節目が可視化されました。10月11日、サンフランシスコ教育委員会(San Francisco Board of Education)が日本人学童の就学をめぐる隔離措置を打ち出し、日米通商航海条約(Treaty of Commerce and Navigation between Japan and the United States, 1894)との関係も含めて外交問題化します。10月16日には、ヴィルヘルム・フォークト(Friedrich Wilhelm Voigt, 1849–1922)が軍服を用いてケーペニックの市庁舎を掌握した事件が起き、権威への盲従を突く社会的寓話として各地で語られました。10月23日、アルベルト・サントス=デュモン(Alberto Santos-Dumont, 1873–1932)がパリ近郊で動力飛行を公的に記録され、航空の公開実験が「目撃される技術」へと踏み出します。

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1906年10月の録音に関する情報のまとめ

1906年10月は、年末商戦を見据えたレコード供給と販売統制が前面に出た時期です。ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)は『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)』1906年10月号(第4巻第8号)で「小売シーズンの本格化」を述べるとともに、12月向けの新譜(エジソン・ゴールド・モールデッド・レコード(Edison Gold Moulded Records))の事前リストを掲げ、出荷日・解禁時刻の遵守を強調しています。加えて、同社は新譜を月前倒しで流通させる一方、店頭解禁を厳密に管理する方針を明文化しており、サンプル盤の扱い(公衆への先行試聴の禁止)も含めて「統一された発売日運用」が徹底されていきます。同月の業界紙『トーキング・マシン・ワールド(The Talking Machine World)』1906年10月号は、需要増・輸出動向・販売現場の活況などを伝え、家庭内娯楽だけでなく遠隔地通信(録音メッセージ)など用途の拡張も話題にしています。

エジソン12月新譜(1906年10月号の事前リスト)

ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)は『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)』1906年10月号(第4巻第8号)に、1906年12月分のエジソン・ゴールド・モールデッド・レコード(Edison Gold Moulded Records)事前リストを掲載しています。あわせて、米国・カナダのジョバー(卸)へは11月27日以前に到着するよう出荷する一方、11月27日午前8時以前の店頭解禁や再出荷を禁止するなど、発売統制が明確に示されています。リストには季節曲や流行舞台作品由来の歌などが含まれ、年末需要を強く意識した構成であることが資料上確認できます。

新譜の販売解禁時刻とサンプル盤運用(「27日午前8時」ルール)

ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)は、月例新譜を「前月27日午前8時」まで販売・再出荷しない運用を定め、違反時の不利益(サンプル供給の停止等)に言及しています。また、サンプル盤は受注判断のためのものであり、公衆に向けて先行再生してはならない点が繰り返し注意されています。これらは、年末商戦の過熱期における価格・流通秩序の維持を目的とした統制として位置づけられます。

業界紙が伝える1906年10月の市場動向(需要増・輸出・用途拡張)

『トーキング・マシン・ワールド(The Talking Machine World)』1906年10月号(1906年10月15日付)は、各地の販売現場で秋冬需要が強いこと、機械・レコードの供給と販売活動が活発であること、港湾からの輸出統計が業界の関心事であることなどをまとめています。記事中では、パナマ運河地帯(当時の工事地域)から母親へ送られた「録音メッセージ」が紹介され、録音媒体が娯楽だけでなく通信・記録の道具として受け取られていた様子も確認できます。