1918年11月に録音された音楽
1918年11月は、第一次世界大戦(World War I)の終結が世界秩序を大きく組み替えた月でした。11月3日にオーストリア=ハンガリー帝国(Austria-Hungary)はヴィラ・ジュスティ休戦協定(Armistice of Villa Giusti)を結び、4日にイタリア戦線の戦闘が停止しました。ドイツ帝国(German Empire)ではキール水兵反乱(Kiel Mutiny)を起点とする革命が広がり、11月9日に帝政は崩壊し、11月11日にはコンピエーニュ休戦協定(Armistice of Compiègne)によって西部戦線の戦闘も停止しました。同じ11月11日にはポーランド共和国(Republic of Poland)の独立回復が進み、12日にはドイツ=オーストリア共和国(Republic of German-Austria)が民主共和国を宣言しました。その一方で、休戦祝賀と復員は1918年インフルエンザ・パンデミック(1918 influenza pandemic)の再拡大とも重なり、政治的転換と社会的不安が同時に進んだ月でもありました。
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1918年11月の録音に関する情報のまとめ
1918年11月の録音業界では、終戦直後の空気と年末商戦への準備が同時に誌面へ現れました。当月の同時代業界資料では、新譜そのものの告知だけでなく、販売店支援、店頭運営の改善、販促物の配布、販売店募集、展示の強化といった企業活動が目立ちます。そのため、この月は録音日の確定を一括で進めるというより、各社がどのような販売体制と流通政策で市場を動かしていたかを見やすい月として位置づけられます。
エジソン
トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)については、1918年11月9日付の業界誌で、販売店支援のためのセールス・アドバイザリー・ボード(Sales Advisory Board)を新設したことが確認できます。あわせて、エジソン・ブルー・アンベロール(Edison Blue Amberol)とロイヤル・パープル(Royal Purple)の12月向けクリスマス補遺も同号で告知されており、当月の同社は小売支援体制の整備と年末向け発売案内を並行して進めていました。
コロムビア
コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)については、1918年11月9日付の業界誌で、実演室用のレコード・カタログ・バインダーを販売店向けに提供したことが確認できます。また同号では、同社社長がアメリカ製造業者輸出協会(American Manufacturers’ Export Association)の副会長に選ばれたことも報じられており、11月の同社は店頭運営の支援と戦後輸出を見据えた活動の両方を示していました。
オットー・ハイネマン
オットー・ハイネマン・フォノグラフ・サプライ社(Otto Heineman Phonograph Supply Co.)については、1918年11月9日付の業界誌で、得意先に対して1919年用の「Humanity Flag」カレンダーを送付したことが確認できます。同社は同時期にオーケー・レコード(Okeh Records)を扱う事業主体であり、当月の資料上では、年末から新年に向けた販促物の配布を通じて、販売先との関係強化を進めていたことが確かめられます。
- https://elibrary.arcade-museum.com/magazines/mtr/MTR-1918-67-19/MTR-1918-67-19-39.pdf
- https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Okeh_Records
エオリアン=ヴォカリオン
エオリアン社(The Aeolian Company)のヴォカリオン(Vocalion)については、1918年11月15日付の業界誌で、ウィンドー展示と新しいレコード案内が確認できます。当月の同ブランドは、単なる継続販売ではなく、店頭展示と新譜案内を組み合わせて関心喚起を図っており、販売現場での見せ方を重視していたことがわかります。
- https://archive.org/stream/talkingmachinew14bill/talkingmachinew14bill_djvu.txt
- https://archive.org/details/talkingmachinew14bill
パテ
パテ・フレール・フォノグラフ社(Pathé Frères Phonograph Company)については、1918年11月15日付の業界誌で、販売店向け提案を前面に出した広告が確認できます。11月の同社は、製品説明にとどまらず、販路拡大を目的とした販売店募集を明確に打ち出しており、ディーラー網の拡充を営業上の重要課題としていました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/10s/Talking-Machine-1918-11.pdf
- https://archive.org/stream/talkingmachinew14bill/talkingmachinew14bill_djvu.txt
ソノラ
ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)については、1918年11月後半の新聞広告で、自動停止装置やモーター性能を具体的に示しながら販売訴求を行っていたことが確認できます。価格競争よりも機構上の利点と品質を強調する姿勢が見え、当月の同社は年末商戦に向けて家庭用高級機としての魅力を前面に出していました。
- https://idnc.library.illinois.edu/?a=d&d=RIA19181129.1.4
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=RPD19181118-02.1.10
