Music recorded in October 1928
1928年10月は、国家体制の再編、経済計画の転換、医療技術の進歩、舞台文化の展開が並行して進んだ月でした。10月1日、ソビエト連邦ではヨシフ・スターリン(Joseph Stalin, 1878–1953)の第一次五カ年計画(First Five-Year Plan)が始まり、急速な工業化と集団化への転換が制度として打ち出されました。10月2日にはホセマリア・エスクリバー(Josemaría Escrivá, 1902–1975)がスペインでオプス・デイ(Opus Dei)を創設しました。10月10日には蒋介石の主導下で中華民国国民政府(National Government of the Republic of China)が南京で正式に再編成され、北京は北平へ改称されました。同日、イングランド北東部ではジョージ5世(George V, 1865–1936)がタイン橋(Tyne Bridge)を開通させました。10月11日–15日にはグラーフ・ツェッペリン号(Graf Zeppelin)が大西洋横断商業旅客飛行を成功させ、10月12日にはボストン小児病院(Boston Children’s Hospital)で鉄の肺(iron lung)が初めて臨床使用されました。さらに10月23日にはブロードウェイで『アニマル・クラッカーズ』(Animal Crackers)が開幕し、10月28日にはハーグで国際赤十字規約(Statutes of the International Red Cross)が採択されました。
Confirmed recordings this month: 0
1928年10月の録音に関する情報のまとめ
1928年10月の同時代業界誌を見ると、秋から年末商戦へ向かう時期に合わせて、各社が新譜供給だけでなく、電気式コンビネーション機、ポータブル機、クラシック補遺目録、共同広告、販売責任者配置などを組み合わせて動いていたことが確認できます。10月号誌面で当月の活動を直接確認できる範囲では、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)、コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company)、ブランズウィック=バルケ=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)、ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co., Inc.)の動きが明瞭です。
Victor
1928年10月号の同時代業界誌では、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)の販売重点が、レコード供給と電気式コンビネーション機の双方に置かれていたことが確認できます。『ザ・トーキング・マシン・ワールド』(The Talking Machine World)10月号には、ヴィクター・コンビネーション 7-26(Victor Combination 7-26)とヴィクトローラ・ラジオラ Model 7-11(Victrola Radiola Model 7-11)が誌面に現れ、同号の販売現場報告ではヴィクター・オーソフォニック・ポータブル(Victor Orthophonic portable)が在庫を保ちにくいほど売れているとされています。『ラジオ・リテーリング』(Radio Retailing)10月号の新譜欄でも 21597–21598「Stradella-Overture-Part 1 / Part 2」などが確認でき、10月時点で機械販売と新譜供給が並行して進んでいました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1928-10.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Radio-Retailing/20s/Radio-Retailing-1928-10.pdf
Columbia
1928年10月のコロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company)は、電気録音の優位とクラシック補遺目録の訴求を並行させていました。『ザ・トーキング・マシン・ワールド』(The Talking Machine World)10月号には、ヴィヴァ・トーナル録音(Viva-tonal Recording)を前面に出した広告と、シューベルト名曲補遺目録第12号(Schubert Masterworks Supplement No. 12)の使用指示が掲載されています。『ラジオ・リテーリング』(Radio Retailing)10月号の新譜欄でも、160-M「Moment Musicale / Caprice in G Major」などが確認できるため、10月時点の同社が高級クラシック盤の販売強化を進めていたことがわかります。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1928-10.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Radio-Retailing/20s/Radio-Retailing-1928-10.pdf
Brunswick
1928年10月のブランズウィック=バルケ=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)では、レコード供給と販売店広告を結びつける動きが確認できます。『ザ・トーキング・マシン・ワールド』(The Talking Machine World)10月号には、ブランズウィック販売店が共同広告を用いて販促を行っている旨が見え、秋の商戦で流通側の宣伝を重視していたことがわかります。『ラジオ・リテーリング』(Radio Retailing)10月号の新譜欄では 4037「Pickin’ Cotton」が確認でき、新譜供給も同時に進んでいました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1928-10.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Radio-Retailing/20s/Radio-Retailing-1928-10.pdf
Edison
トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)は、1928年10月時点でも新譜供給を継続していました。『ラジオ・リテーリング』(Radio Retailing)10月号の新譜欄には、52367「Mr. Hoover and Mr. Smith / I Love to Dunk a Hunk of Sponge Cake」が掲載されており、アメリカ大統領選挙期の話題を取り込んだ時事性のある盤を出していたことがわかります。確認できる10月号資料の範囲では、同社の動きは大型の新機種発表よりも、新譜供給を通じた市場維持に重心がありました。
Sonora
ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co., Inc.)では、1928年10月に販売体制整備と携帯型機種の訴求が同時に進んでいました。『ザ・トーキング・マシン・ワールド』(The Talking Machine World)10月号には、五つの東部販売地域に向けた販売責任者の配置が報じられています。『ラジオ・リテーリング』(Radio Retailing)10月号でも、新しいソノラ・ポータブルが深い青色または茶色仕上げで告知されており、秋の需要期に向けて営業網と商品面の双方を整えていたことが確認できます。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1928-10.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Radio-Retailing/20s/Radio-Retailing-1928-10.pdf
