1907年12月に録音された音楽

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1907年12月に録音された音楽

1907年12月は、国際政治と社会制度の両面で「枠組み」を作り直す動きが目立った月でした。メキシコシティでは第三回国際衛生会議(Third International Sanitary Convention)が開かれ、黄熱やペストなど国境を越える感染症への対応を、各国が条約的な手続と検疫の運用で整えようとしました。10日にはノーベル賞(Nobel Prize)の授賞式が行われ、物理学賞はアルバート・アブラハム・マイケルソン(Albert Abraham Michelson, 1852–1931)、化学賞はエドゥアルト・ブフナー(Eduard Buchner, 1860–1917)、文学賞はラドヤード・キップリング(Rudyard Kipling, 1865–1936)に授与されました。16日にはアメリカ合衆国海軍(United States Navy)がグレート・ホワイト・フリート(Great White Fleet)を出航させ、海軍力を外交の前面に押し出す象徴的な航海が始まります。17日にはブータン王国(Kingdom of Bhutan)でウギェン・ワンチュック(Ugyen Wangchuck, 1862–1926)が即位し、王統の制度が確立します。20日には中米諸国が中米司法裁判所(Central American Court of Justice)を設けるための条約に署名し、紛争を司法で扱う国際制度の実験が進みました。

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1907年12月の録音に関する情報のまとめ

1907年12月の録音産業は、景気不安の影響を受けつつも、カタログ統制と発売日の運用変更によって流通を整える動きが確認できます。ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)の業界紙『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)』1907年12月号(第5巻第10号)では、資金繰りをめぐる市況認識、外国語録音の供給・在庫方針、1908年2月向け新譜(ゴールド・モールド・レコード)の先行リスト、そして販売解禁日の変更などがまとめて扱われています。

景気不安下の生産調整と受注見通し

1907年12月号の「Trade Conditions」では、賃金支払いに充てる現金確保の必要から、生産を一時的に落として夏季に積み上げた在庫を活用する判断が述べられています。一方で、受注と回収(orders and collections)は「満足できる水準」で、悲観論より良いとし、日を追って信頼感が戻りつつあるという認識も示されています。

ドイツ語レコード2点の供給停止(型の欠陥)

「Notice About German Records」では、欠陥のためドイツ語レコード2点のモールド(型)を廃棄したことが告知されています。対象はドイツ語レコード第15391番「O, Susanna」(演者H. Grossman)と、第15102番「Die Kappelle」(演者Meistersanger Quartette)で、海外から新しい型が届くまで供給できず、受注は取り消す扱いとされています。

1908年2月向け「エジソン・ゴールド・モールド・レコード」先行リスト(発売運用を含む)

1907年12月号には「The New Edison Gold Moulded Records Advance List for February, 1908」が掲載され、1908年1月25日午前8時までは展示・実演・販売を禁じること、ジョバー(卸)は1908年1月25日までに届くよう出荷される予定であること、ディーラーへの再出荷は前日(1月24日)午後2時以降に可能であること、さらにジョバーの発注期限は1907年12月10日であることが明記されています。掲載例として、第9746番「A Summer Evening in the Alps」(Edison Concert Band)、第9747番「Somebody’s Been Around Here Since I’ve Been Gone」(Billy Murray)が挙げられます。

レコード販売解禁日の変更(27日から25日へ)

「The New Record Selling Date」では、レコードの販売解禁日が毎月27日から25日に変更されたことが説明されています。あわせて、ジョバーがディーラーへ新譜を送れるタイミングが「前日午後2時以降」に改められ、ディーラーが解禁日の朝に即応できるよう運用を揃える趣旨が述べられています。

キューバ録音のカタログ整理(在庫は維持しつつ掲載点数を縮小)

「Cuban Records Dropped From Catalogue」では、アメリカ合衆国での販売が限定的であることを理由に、キューバ録音の“カタログ掲載リスト”を大幅に縮小し、掲載は指定の選曲に限る方針が示されています。ただし、在庫としてはキューバ録音の全リストを保持し、注文があれば供給しうること、全リストを扱うジョバー/ディーラーには印刷物も提供することが明記されています。掲載例として、バンダ・ムニシパル・デ・ラ・アバナ(Banda Municipal de la Habana)による第19025番「Almedine, Polka」、第19024番「Dame un Beso, Tango」などが挙げられます。

ボヘミア語・ドイツ語・メキシコ録音の先行出荷案内(サンプル出荷と発注期限)

1907年12月号の「Advance List of Bohemian, German and Mexican Selections」では、対象レコードの本出荷が1908年1月1日–10日頃、サンプルは1907年12月1日に出荷されること、ジョバーの在庫注文は1907年12月20日までに受領した分を優先して1908年1月以降に順次出荷することが示されています。メキシコ録音の例として「Club Verde, Vals」(R. Campodonico)や「Felix Diaz, Marcha」(Velino M. Presa)などが挙げられ、演奏主体として「Banda de Policia de Mexico」などの表記が確認できます。