1910年4月に録音された音楽
1910年4月は、科学・交通・文化の話題が同時に可視化した月でした。ハレー彗星(1P/Halley)をめぐる観測熱が各地で高まり、空ではクロード・グラハム=ホワイト(Claude Grahame-White, 1879–1959)とルイ・ポーラン(Louis Paulhan, 生没年不明)が注目を集めたロンドン=マンチェスター間飛行競争が、航空時代の到来を強く印象づけました。4月23日にはブリュッセル万国博覧会(Brussels International Exposition of 1910)が開幕し、工業・科学・芸術を結びつける国際展示の場が広がりました。同じ日にセオドア・ルーズベルト(Theodore Roosevelt, 1858–1919)がソルボンヌ(Sorbonne)で「共和国における市民権」演説を行い、政治文化の面でも強い反響を残しました。さらに4月21日にはマーク・トウェイン(Mark Twain, 1835–1910)が死去し、19世紀アメリカ文学を象徴した時代の終わりが強く意識されました。天文学、飛行技術、国際博覧会、演説文化、文学史が同じ月のなかで交差し、近代の速度と大衆的関心がいっそう鮮明になった時期といえます。
この月の確認されている録音:0曲
1910年4月の録音に関する情報のまとめ
1910年4月の録音界では、エジソン陣営の月次告知がはっきり動いており、新譜投入、四分録音普及策、グランド・オペラ路線の補強が同時進行していました。『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)』1910年4月号では、アンベロール用コンビネーション装置の販促策が4月1日発効として大きく扱われ、同号後半では1910年6月発売予定の新譜一覧が具体的に告知されています。また、1910年4月1日付の販売部門通達では、カルメン・メリス(Carmen Melis, 生没年不明)、ギュスターヴ・ユベルドー(Gustave Huberdeau, 生没年不明)、ルイジ・チッラ(Luigi Cilla, 生没年不明)の追加が発表され、高級声楽録音の補強も進められていました。つまりこの月は、単なる新譜月ではなく、媒体の普及策とレパートリー拡張が一体で進んだ月として重要です。
アンベロール装置販促策の開始
『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)』1910年4月号の巻頭では、アンベロール用コンビネーション装置の販促策が「1910年4月1日」発効として打ち出されました。記事では、特選アンベロール10本と装置を組み合わせることで、ジェム型は実質無償、スタンダード型は1ドル、その他の型は3.50ドルの追加で提供できると説明されており、四分録音媒体の普及を販売制度そのもので後押ししていたことが分かります。
- https://ia601308.us.archive.org/2/items/edisonphonograph08moor/edisonphonograph08moor.pdf
- https://archive.org/details/edisonphonograph08moor
- https://npgallery.nps.gov/AssetDetail/587ff333-6331-4d5d-b9ec-c61ce02c85ff
1910年6月発売予定の新譜告知
『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)』1910年4月号後半では、1910年6月25日解禁予定の新譜一覧が掲載されました。アンベロールでは「Dem Dear Ole Days」をアメリカ合衆国海兵隊軍楽隊(United States Marine Band)、「The Garden of Roses」をジョー・マクスウェル(Joe Maxwell, 生没年不明)らが担当し、5月下旬発送・6月25日発売という月次運用まで明記されており、発売管理がかなり精密に行われていたことが確認できます。
- https://ia601308.us.archive.org/2/items/edisonphonograph08moor/edisonphonograph08moor.pdf
- https://archive.org/details/edisonphonograph08moor
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Audio/Edison-Phonograph/Edison-Phonograph-Monthly-1910-Vol-8.pdf
グランド・オペラ歌手の補強
1910年4月1日付の販売部門通達では、カルメン・メリス(Carmen Melis, 生没年不明)、ギュスターヴ・ユベルドー(Gustave Huberdeau, 生没年不明)、ルイジ・チッラ(Luigi Cilla, 生没年不明)をグランド・オペラ歌手として新たに加えたことが告知されました。あわせて、カルメン・メリス盤はアメリカ国内定価2.00ドル、ギュスターヴ・ユベルドー盤とルイジ・チッラ盤は1.00ドルと先行提示されており、1910年4月の時点で高価格帯声楽録音の強化方針が具体的に進んでいたことが分かります。
- https://ia601308.us.archive.org/2/items/edisonphonograph08moor/edisonphonograph08moor.pdf
- https://archive.org/details/edisonphonograph08moor
- https://npgallery.nps.gov/AssetDetail/587ff333-6331-4d5d-b9ec-c61ce02c85ff
