1925年12月に録音された音楽

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1925年12月に録音された音楽

1925年12月は、国際秩序の再編、国家制度の刷新、そして前衛芸術の進展が同時に見えた月でした。12月1日にはロカルノ諸条約(Locarno Treaties)がロンドンで正式調印され、西ヨーロッパの安全保障体制が具体化しました。12月2日にはイー・ゲー・ファルベン工業社(Interessengemeinschaft Farbenindustrie AG)が発足し、ドイツ化学工業の巨大統合が現実のものとなりました。イランでは1925年12月にレザー・シャー・パフラヴィー(Reza Shah Pahlavi, 1878–1944)がシャーとなり、パフラヴィー朝(Pahlavi dynasty)が始まりました。文化面では、12月14日にアルバン・ベルク(Alban Berg, 1885–1935)の歌劇『ヴォツェック』(Wozzeck)がベルリン国立歌劇場(Berlin Staatsoper)で初演され、12月21日にはセルゲイ・エイゼンシュテイン(Sergei Eisenstein, 1898–1948)監督の映画『戦艦ポチョムキン』(Battleship Potemkin)がモスクワのボリショイ劇場(Bolshoi Theatre)で初上映されました。さらに12月26日、トルコ共和国(Republic of Turkey)は24時間制とグレゴリオ暦(Gregorian calendar)への移行を定め、翌1926年1月から新制度へ移ることになりました。

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1925年12月の録音に関する情報のまとめ

1925年12月の録音業界では、クリスマス商戦に合わせて新型再生機と新方式盤を前面に出す販促が各地で確認できます。ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)のオルソフォニック・ヴィクトローラ(Orthophonic Victrola)、ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)のパナトロープ(Panatrope)、コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Co., Inc.)系のグラフォノーラ(Columbia Grafonola)、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)のダイアモンド・ディスク機、エオリアン社(The Aeolian Company (Australia) Pty. Ltd.)のヴォカリオン(Vocalion)、ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)の製品などが、それぞれ実演、店頭告知、歳末特価、分割払い案内を通じて売り出されていました。加えて、西オーストラリア州ではパテ・アクチュエル・レコード(Pathé Actuelle Records)やチェイニー・トーキング・マシン社(Cheney Talking Machine Co.)の製品も12月の販売広告で確認でき、主要大手以外も年末需要に応じて市場に出ていたことがわかります。

ヴィクター

1925年12月17日付の広告では、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)のオルソフォニック・ヴィクトローラ(Orthophonic Victrola)とコンソレット(Consolette)が「Demonstration Daily」の対象として掲げられていました。年末贈答需要の時期に、新方式再生機を店頭実演の中心に置いていたことが確認できます。

ブランズウィック

1925年12月8日付の記事では、ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)のパナトロープ(Panatrope)がインディアナポリスで披露され、翌12月9日付紙面では、その電気録音方式が新しさとして紹介されていました。12月の段階で、同社の販促が実演と電気録音の訴求を結びつけて行われていたことがわかります。

コロムビア

1925年12月7日付の広告では、コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Co., Inc.)系のグラフォノーラ(Columbia Grafonola)と新方式のコロムビア・レコード(Columbia Records)が歳末向け商品として訴求されていました。さらに12月30日付の広告では、キャビネット型モデルの価格と分割払い条件まで示されており、12月の段階で機械本体とレコードを一体にして販売していたことが確認できます。

エジソン

1925年12月18日付の広告では、「HEAR Edison’s DIAMOND DISC」として来店が促されていました。同月の別広告では、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)の商品として、エジソン・アンベローラ(Edison Amberola)、2分シリンダー、4分シリンダー、ブルー・アンベロール(Blue Amberol)、エジソン・ダイアモンド・ディスク(Edison Diamond Disc)が並列して扱われており、1925年12月時点でもディスク商品とシリンダー系商品が併売されていたことがわかります。

ヴォカリオン

1925年12月の広告では、エオリアン社(The Aeolian Company (Australia) Pty. Ltd.)のヴォカリオン(Vocalion)が「The Dancer’s Phonograph」として売り出され、12月5日付と24日付の広告では、ヴォカリオン盤がクリスマス向けの贈答用レコードとして具体的な曲目付きで販売されていました。機械本体の訴求とレコード贈答需要の両面で、同月の活動を確認できます。

ソノラ

1925年12月17日には、ガルブランセンのデュオ・コンチェルトとソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)のソノラ・ディスク・フォノグラフ(Sonora disc phonograph)を用いた招待演奏会が報じられました。さらに12月25日付の広告では、ソノラ製品がクリスマス向け特価商品として掲げられており、同月の段階で実演と販売の双方が確認できます。

パテ

1925年12月3日付の西オーストラリア州広告では、モリス・ブラザーズ社(Morris Bros. Ltd.)が、パテ・アクチュエル・レコード(Pathé Actuelle Records)、ヒューマンフォン蓄音機、蓄音機部品を分割払い条件付きで販売していました。12月の小売市場に、パテ系レコードがなお並んでいたことを示す同時代資料です。

チェイニー

1925年12月24日付のパースの広告では、「selection of the choicest Gramophones in Perth」の一つとしてチェイニー・トーキング・マシン社(Cheney Talking Machine Co.)の製品が挙げられ、年末向けの販売対象に入っていました。12月の時点で、チェイニー系蓄音機が大手各社製品と並んで小売広告に現れていたことが確認できます。