このページには広告またはアフィリエイトリンクが含まれることがあります

1889年6月の録音・音声記録

スポンサーリンク

1889年6月の録音・音声記録

1889年6月、アメリカ合衆国では5月31日のジョンズタウン洪水(Johnstown Flood)後の救援と復旧が続き、6月6日にはシアトル大火(Great Seattle Fire)が発生しました。アイルランドでは6月12日にアーマー鉄道事故(Armagh rail disaster)が起こり、鉄道安全をめぐる議論が広がりました。フランスではパリ万国博覧会(Exposition Universelle de 1889)が開催中で、エッフェル塔(Eiffel Tower)をはじめとする近代技術と産業展示が来場者を集めていました。6月28日には、アメリカ合衆国の天文学者マリア・ミッチェル(Maria Mitchell, 1818–1889)が死去しました。

1889年6月は、音楽シリンダー制作が継続的に行われた月です。『The First Book of Phonograph Records』には、6月1日から6月29日までの日付で、フルート、クラリネット、コルネット、ピアノ、ヴァイオリン、バンドなどの録音が記録されています。曲目と件数が資料上確認できる録音は214件です。6月11日にはアントン・ザイドルズ・オーケストラ(Anton Seidl’s Orchestra)に関する記録がありますが、曲目と件数は資料上確認できないため、214件には含めていません。

この月の確認されている録音:214件

1日(3件)

1889年6月1日には、マックス・フランクリン(Max Franklin, 生没年不明)によるピアノ録音が3件記録されています。「Anniversary March Bial」「Spring Song Schumann」「Miss Lankow」が記載されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
Anniversary March BialMax Franklin
Spring Song SchumannMax Franklin
Miss LankowMax Franklin

【1889年6月1日の出来事】
ジョンズタウン洪水の被害報道
アメリカ合衆国では、前日に発生したジョンズタウン洪水の被害が新聞で大きく報じられました。鉄道や電信が寸断され、ジョンズタウンとの連絡が困難になっていたため、初期報道には確認できない情報も多く含まれていました。

3日(10件)

1889年6月3日には、フランク・ゲーデ(Frank Goede, 生没年不明)によるフルートとピッコロの録音が10件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
The Puritan March Moses Fl.Frank Goede
Berceuse (Cradle Song) RenaudFrank Goede
Little Gretto Polka PiccoloFrank Goede
Honeymoon waltz waltz FluteFrank Goede
Selections “Falka” I [flute]Frank Goede
Selections “Falka” II [flute]Frank Goede
Galop “Won’t you” BakerFrank Goede
Polka “La Cinquantaine”Frank Goede
Waltz Selection “Gipsy Baron”Frank Goede
Galop “Halter polter”Frank Goede

【1889年6月3日の出来事】
14マイルの送電と都市照明
アメリカ合衆国オレゴン州では、ウィラメット・フォールズ電力会社(Willamette Falls Electric Company)が、オレゴン・シティ(Oregon City)のウィラメット滝(Willamette Falls)から約14マイル離れたポートランド(Portland)へ電力を送り、都市部のアーク灯を点灯させました。この送電は、アメリカ合衆国における長距離電力伝送の初期の重要な成功例として位置づけられています。

5日(14件)

1889年6月5日には、ヘンリー・ギーゼ(Henry Giese, 生没年不明)によるクラリネット録音が14件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
Graziosa Mignonette EilenbergHenry Giese
Graziosa Mignonette EilenbergHenry Giese
Polonaise from MignonHenry Giese
Polonaise from MignonHenry Giese
Gavotte by WaldowHenry Giese
May-pole danceHenry Giese
Waltz Blooming YouthHenry Giese
Kladderadatsch by FliegeHenry Giese
Melodie in F RubinsteinHenry Giese
Carlotta Spanish SongHenry Giese
Birds Festival WaltzHenry Giese
Polka “Toast” FahrbachHenry Giese
Polka “Toast” FahrbachHenry Giese
“ “ Hast de gesehen (Test)Henry Giese

【1889年6月5日の出来事】
アメリカ赤十字社のジョンズタウン到着
クララ・バートン(Clara Barton, 1821–1912)が率いるアメリカ赤十字社(American Red Cross)の救援隊が、ジョンズタウン洪水の被災地に到着しました。アメリカ赤十字社にとって、これは平時の大規模災害救援として初期の重要な活動となり、救援隊は医療、物資配布、仮設住宅支援などを担いました。

6日(11件)

1889年6月6日には、ヴェーネルト(Wehnert, 生没年不明)、ローズ(Rose, 生没年不明)、ガスト(Gast, 生没年不明)によるフルート録音が11件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
Musical exchange marchMr. Wehnert
Rose
Gast
St. Valentine’s MarchMr. Wehnert
Rose
Gast
Waltz “Manuscripte” StraussMr. Wehnert
Rose
Gast
New Dance “Columbia”Mr. Wehnert
Rose
Gast
Spanish Serenade MétraMr. Wehnert
Rose
Gast
Polka Tric-Trac Waldteufel PiccMr. Wehnert
Rose
Gast
Song SchuberthMr. Wehnert
Scherzo Kuhlau for Trio (3 Flutes)Mr. Wehnert
Rose
Gast
Flute soloMr. Wehnert
Adagio Beethoven 3 flutes op. 87Mr. Wehnert
Rose
Gast
Scherzo “ “Mr. Wehnert
Rose
Gast

【1889年6月6日の出来事】
シアトル中心部の大火災
ワシントン準州シアトルでは、中心部の家具工房で発生した火災が乾燥と風により急速に広がり、市の商業中心部とウォーターフロントの大部分を焼失させました。日没までに約64エーカーが焼け跡となり、この被害を受けて市は耐火的な建築と消防体制の見直しを進めました。

7日(9件)

1889年6月7日には、ヘンリー・ギーゼによるクラリネット録音が9件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
March “Newburgh Centennial”Mr. Henry Giese
“ “Mr. Henry Giese
Selection “The Prophet”Mr. Henry Giese
“ “Mr. Henry Giese
March “Prophet”Mr. Henry Giese
Offenbach Select.Mr. Henry Giese
Polka “Rosebud”Mr. Henry Giese
Gavotte MignonetteMr. Henry Giese
Mazurka “Alpine Echoes”Mr. Henry Giese

【1889年6月7日の出来事】
シアトル大火後の復旧会議
アメリカ合衆国ワシントン準州シアトルでは、前夜から未明にかけて続いた大火の後、午前11時に600人の実業家が集まり、当面の対応と復興計画を協議しました。略奪対策として200人の特別代理人が任命され、全国から届く寄付を扱う救援委員会も設けられました。

8日(8件)

この日は、テオド・ホック(Theod. Hoch, 生没年不明)によるコルネット録音が8件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
Long notes (for phon. works)Mr. Theod. Hoch
Theme with variat. Une perle de ocean, Theo. HochMr. Theod. Hoch
“ “Mr. Theod. Hoch
Swiss song Theod. HochMr. Theod. Hoch
“ “Mr. Theod. Hoch
The mail in the forestMr. Theod. Hoch
“ “Mr. Theod. Hoch
The reed bird (La grive) Polka by Theo. HochMr. Theod. Hoch

【1889年6月8日の出来事】
ジェラード・マンリー・ホプキンズの死去
イギリスの詩人・イエズス会司祭ジェラード・マンリー・ホプキンズ(Gerard Manley Hopkins, 1844–1889)が、アイルランドのダブリンで死去しました。生前は詩人として広く知られていませんでしたが、没後に作品が評価され、強勢リズムや宗教的象徴表現によって近代英詩に大きな影響を与えました。

10日(11件)

この日は、ジョン・ミットハウアー(John Mitthauer, 生没年不明)によるコルネット録音が11件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
Non e ver sonJohn Mitthauer
L’éclair (call me thine own)John Mitthauer
Blue bells of ScotlandJohn Mitthauer
Polka “Surf”John Mitthauer
“ “ Un balJohn Mitthauer
Un bal Polka surfJohn Mitthauer
Un balJohn Mitthauer
Massa’s in the cold cold groundJohn Mitthauer
Tyrloean air with variatJohn Mitthauer
IrishJohn Mitthauer
Culver polkaJohn Mitthauer

【1889年6月10日の出来事】
ニュージーランド初の幼稚園
ニュージーランドのダニーデン(Dunedin)で、同国初の幼稚園が設けられました。この幼稚園は、ドイツの教育思想家フリードリヒ・フレーベル(Friedrich Fröbel, 1782–1852)の考えに基づく幼児教育の場として始まりました。

11日(曲目・件数未確認)

『The First Book of Phonograph Records』には、この日の項目として「Anton Seidl’s Orchestra / At Chickering Hall NY」と記されています。アントン・ザイドルズ・オーケストラとニューヨークのチッカリング・ホール(Chickering Hall)を結びつける記録ですが、曲目、録音件数、演奏者の詳細は資料上確認できません。

【1889年6月11日の出来事】
ピッツァ・マルゲリータをめぐる伝承
イタリア王妃マルゲリータ・ディ・サヴォイア(Margherita di Savoia, 1851–1926)のナポリ訪問に関連して、ナポリのピッツァ職人ラファエレ・エスポジト(Raffaele Esposito, 生没年不明)が、トマト、モッツァレッラ、バジルを用いたピッツァを献上したという伝承が知られています。この逸話は、のちにピッツァ・マルゲリータ(Pizza Margherita)の起源として語られてきましたが、史実として確定できる範囲は限られます。

12日(6件)

この日は、台帳に「Piano M.F.」としてピアノ録音が6件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
Anniversary marchM.F.
Waltz sweet dreamsM.F.
AidaM.F.
“ “M.F.
Polka mazurka “Woman’s heart”M.F.
Gavotte “Heart throbs”M.F.

【1889年6月12日の出来事】
アーマー鉄道事故
アイルランドのアーマー近郊で、日曜学校の遠足列車の一部が勾配上で後退し、後続列車と衝突しました。アーマー鉄道事故(Armagh rail disaster)は多数の死傷者を出し、イギリスの鉄道安全制度を見直す大きな契機となりました。事故後、旅客列車の連続自動ブレーキ、閉塞方式、転轍機と信号機の連動を求める制度改革が進みました。

13日(9件)

この日は、台帳に「Theod. Hoch / Cornet」としてコルネット録音が9件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
Russian Hymn by Princess KotocubyTheod. Hoch
“ “Theod. Hoch
Theme & variat. From Anna BolenaTheod. Hoch
Ireland to EnglandTheod. Hoch
Nadjy piano (solo)Theod. Hoch
Fantaisie by WeberTheod. Hoch
Sweet spirits hear my prayerTheod. Hoch
The reed bird (la grive) polkaTheod. Hoch
Little banquetTheod. Hoch

【1889年6月13日の出来事】
アドルフ・ペグーの誕生
フランスのモンフェラ(Montferrat)で、のちに航空家となるアドルフ・セレスタン・ペグー(Adolphe Célestin Pégoud, 1889–1915)が生まれました。第一次世界大戦前には曲技飛行や落下傘降下で知られ、戦時にはフランス航空部隊に所属しました。

17日(10件)

この日は、台帳に「Piano solo M.F.」および「Duffy & Imgrund’s 5th Regt. Band」として、ピアノ録音4件とバンド録音6件、計10件が記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
Polka “A delightful time” by M.F.M.F.
Waltz “Confidences” WaldteufelM.F.
“ “M.F.
Selection “Amorita”M.F.
Our naval officers marchDuffy & Imgrund’s 5th Regt. Band
Nadjy quickstepDuffy & Imgrund’s 5th Regt. Band
5th Regt. PromenadeDuffy & Imgrund’s 5th Regt. Band
Song of the rosesDuffy & Imgrund’s 5th Regt. Band
5th Regt. PromenadeDuffy & Imgrund’s 5th Regt. Band
Washington centennial paradeDuffy & Imgrund’s 5th Regt. Band

【1889年6月17日の出来事】
ヴァンゲマン渡欧の台帳注記
この日の録音台帳には、テオ・ヴァンゲマン(Theo Wangemann, 1855–1906)が6月15日にパリへ出発したことを示す注記が残されています。この注記により、6月後半の音楽シリンダー制作とパリ万国博覧会(Exposition Universelle de 1889)でのフォノグラフ展示が結びついていたことがわかります。

18日(12件)

この日は、台帳に「H. Giese Clarinet」としてクラリネット録音が12件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
Air By BergsonH. Giese
The daily question Miss StewartH. Giese
Air By DonizettiH. Giese
Slightly On The Mash SchottischeH. Giese
Waltz “Pearl Of Pekin”H. Giese
Selections “Mikado”H. Giese
Selections “Mikado” IIH. Giese
March “Volunteer” MetraH. Giese
Polka “Wiener G’schichten”H. Giese
Holter Polter GalopH. Giese
March “Dorscht No. 2”H. Giese
Waltz “The Gipsy Baron”H. Giese

【1889年6月18日の出来事】
向きを変えられる乳母車の特許
アメリカ合衆国では、ボルチモアの発明者ウィリアム・H・リチャードソン(William H. Richardson, 生没年不明)に、乳母車に関する米国特許第405,600号(United States Patent No. 405,600)が認められました。この特許は、座席部分を持ち上げて向きを変えられる構造に関するもので、子どもの顔を押し手側または進行方向側へ向けられる点を特徴としていました。

19日(11件)

この日は、台帳に「June 19th Henry Giese Clar.」としてクラリネット録音が11件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
Gavotte “Circus Renz”Henry Giese
Gavotte “Circus Renz”Henry Giese
EsmeraldaHenry Giese
EsmeraldaHenry Giese
The Owl & Pussy CatHenry Giese
Gavotte SpephanieHenry Giese
[Gavotte] PrincessHenry Giese
Galop “Lustig Im Kreise”Henry Giese
[Galop] BanditenHenry Giese
ErnaniHenry Giese
Waltz “Special Reports”Henry Giese

【1889年6月19日の出来事】
エンリコ・チェリオの誕生
スイスのティチーノ州アンブリで、のちに政治家となるエンリコ・チェリオ(Enrico Celio, 1889–1980)が生まれました。エンリコ・チェリオは、のちにスイス連邦参事会(Swiss Federal Council)の一員となり、1943年と1948年にスイス連邦大統領を務めました。

20日(10件)

この日は、台帳に「Piano Max Franklin」として、マックス・フランクリン(Max Franklin, 生没年不明)によるピアノ録音が10件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
Waltz “Theorien”Max Franklin
Selection “Nadjy”Max Franklin
Polka “Mary” BialMax Franklin
La TraviataMax Franklin
La TraviataMax Franklin
“Beggar Student” SelectMax Franklin
Waltz “Lune De Miel”Max Franklin
Selection “Black Hussar”Max Franklin
Potpourri Kladderradatsch [??]Max Franklin
Mazurka “Fata Morgana”Max Franklin

【1889年6月20日の出来事】
ブライトンでの『人形の家』上演
イギリスのブライトンにあるシアター・ロイヤル・ブライトン(Theatre Royal, Brighton)で、ノーベルティ・シアター・カンパニー(Novelty Theatre Company)によるヘンリック・イプセン(Henrik Ibsen, 1828–1906)の戯曲『人形の家(A Doll’s House)』のマチネー公演が行われました。この公演をめぐって、家庭、結婚、女性の自立を扱う同作の評価が同時代の批評で論じられました。

21日(10件)

この日は、台帳に「Pia. Viol. Fl. (Aug. Rubel, E. Zilm)」として10件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
Fanfani MarchAug. Rubel
E. Zilm
Swedish Wedding MarchAug. Rubel
E. Zilm
Yeoman Of The GuardAug. Rubel
E. Zilm
A Sweet Dream WaltzAug. Rubel
E. Zilm
Polka “Hastdegesehen” FunkensteinAug. Rubel
E. Zilm
Selection “Pete”Aug. Rubel
E. Zilm
EsmeraldaAug. Rubel
E. Zilm
For Fame $ Fortune GalopAug. Rubel
E. Zilm
Plantation EchoesAug. Rubel
E. Zilm
La GitanaAug. Rubel
E. Zilm

【1889年6月21日の出来事】
シリンダーへの台帳ページ番号記入の開始
『The First Book of Phonograph Records』には、この日以降、シリンダーに台帳ページ番号を記す運用が始まったことが記されています。録音されたシリンダーと台帳上の記録を対応させるための管理方法が、制作現場で明確に意識されていたことがわかります。

22日(11件)

この日は、台帳に「Piano M.F.」としてピアノ録音が11件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
March “Greeting To America”M.F.
Waltz “The Lagoons”M.F.
Gavotte “Heart Throbs”M.F.
Selections “Erminie”M.F.
Polka “West End” ElliottM.F.
Waltz “Du & Du”M.F.
Potpourri Kladderradatsch (2)M.F.
Selections “The Marquis”M.F.
[Selections] “The Beggar Student”M.F.
The Shephard’s PipeM.F.
Polka “Toast”M.F.

【1889年6月22日の出来事】
ルイビル・カーネルズの26連敗
アメリカ合衆国の野球では、アメリカン・アソシエーション(American Association)のルイビル・カーネルズ(Louisville Colonels)が、セントルイス・ブラウンズ(St. Louis Browns)とのダブルヘッダー第2試合に敗れ、連敗を26に伸ばしました。この敗戦は、19世紀アメリカ野球における長期連敗の代表的な記録として知られています。

24日(13件)

この日は、台帳に「Clar. Henry Giese」として、ヘンリー・ギーゼによるクラリネット録音が13件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
March “Monte Christo”Henry Giese
March “Monte Christo”Henry Giese
Theme With Variat. David IHenry Giese
Theme With Variat. David IIHenry Giese
Waltz “Abandon”Henry Giese
Exhilaration “Schottische”Henry Giese
Fantaisie “Reissiger” IHenry Giese
Theme With Viriat. “Reissiger” IIHenry Giese
Theme With Viriat. “Reissiger” IIIHenry Giese
Selection “Grand Duchesse”Henry Giese
Galop “Mazeppa”Henry Giese
[Galop] Aus Rand & BandHenry Giese
[Galop] “Wien Uber Alles”Henry Giese

【1889年6月24日の出来事】
テルライドの銀行強盗
アメリカ合衆国コロラド州テルライドでは、のちにブッチ・キャシディ(Butch Cassidy)として知られるロバート・リロイ・パーカー(Robert LeRoy Parker, 1866–1908)らが、サン・ミゲル・ヴァレー銀行(San Miguel Valley Bank)を襲いました。この事件は、ロバート・リロイ・パーカーに結びつけられる最初期の大きな銀行強盗として記録されています。

25日(11件)

この日は、台帳に「Pic. Viol. Fl. Cornet / H.G., M.F., Rubel, E. Zilm, Henke」として11件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
March Amazon. BachH. G.
Rubel
E. Zilm
Henke
Serenade, Horn & Flute. TitlE. Zilm
Henke
Dream Of The OceanH. G.
Rubel
E. Zilm
Henke
Song. Take Me To Thy Heart Again (Balfe)H. G.
Rubel
E. Zilm
Henke
Selection AidaH. G.
Rubel
E. Zilm
Henke
Quartette. RigolettoH. G.
Rubel
E. Zilm
Henke
Flute Solo RomanzeE. Zilm
[Flute Solo] PolkaE. Zilm
Polish Dance ScharwenkaH. G.
Rubel
E. Zilm
Henke
Erminie SelectionH. G.
Rubel
E. Zilm
Henke
Harlequin PolkaH. G.
Rubel
E. Zilm
Henke

【1889年6月25日の出来事】
ルーシー・ウェア・ウェブ・ヘイズの死去
第19代アメリカ合衆国大統領ラザフォード・バーチャード・ヘイズ(Rutherford Birchard Hayes, 1822–1893)の妻で、アメリカ合衆国ファーストレディを務めたルーシー・ウェア・ウェブ・ヘイズ(Lucy Ware Webb Hayes, 1831–1889)が、オハイオ州フリーモント(Fremont)で死去しました。教育、慈善活動、禁酒運動への関心で知られ、ホワイトハウスでの社交にも大きな役割を果たしました。

26日(12件)

この日は、台帳に「June 26th Clar. (Henry Giese) trombone ([??])」として12件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
March “22nd Reg. March”Henry Giese
??
Theme With Viriat. “Freischtz”Henry Giese
??
Song For Trombone (Mr. Groebler)Mr. Groebler
Waltz “Illusion” (Waudteufel)Henry Giese
??
Song For Trombone Am MeerHenry Giese
??
Polka “Harlequinade” FranklinHenry Giese
??
Overture “Orpheus”Henry Giese
??
Song “Evening Star” TannhauserHenry Giese
??
Selection “Nell Gwynne” IHenry Giese
??
Selection “Nell Gwynne” IIHenry Giese
??
Liliput Polka “Fahrbach”Henry Giese
??
Air With Variat KalliwodaHenry Giese
??

【1889年6月26日の出来事】
ジョン・ダンスフォース・ハーマン・グリーンウッドの誕生
イギリスのロンドンで、のちに作曲家となるジョン・ダンスフォース・ハーマン・グリーンウッド(John Danforth Herman Greenwood, 1889–1975)が生まれました。ジョン・ダンスフォース・ハーマン・グリーンウッドは、20世紀に映画音楽や管弦楽作品の分野で活動しました。

27日(11件)

この日は、台帳に「Theod. Hoch (Cornet)」としてコルネット録音が11件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
Song “Sleep Well Sweet Angel”Theod. Hoch
Serenade “Schuberth”Theod. Hoch
Singing bird “Fantaisie”Theod. Hoch
Song Fesca “Kehr Zurick”Theod. Hoch
Waltz “Levy Waltz”Theod. Hoch
” ” (Zuricke)Theod. Hoch
Song “My Angel Art Thou”Theod. Hoch
Polka “Only For You”Theod. Hoch
Song “The Enthusiast ” (Polish) MoniuszkoTheod. Hoch
Remembrance Of PragueTheod. Hoch
Calls InternationalTheod. Hoch

【1889年6月27日の出来事】
モローニ・オルセンの誕生
アメリカ合衆国ユタ州オグデンで、のちに俳優となるモローニ・オルセン(Moroni Olsen, 1889–1954)が生まれました。モローニ・オルセンは舞台俳優として活動した後、映画にも出演し、1930年代以降のアメリカ映画で幅広い役を演じました。

28日(12件)

この日は、台帳に「June 28th Theod. Hoch / Cornet」としてコルネット録音が12件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
Love, Ah With Thee SongTheod. Hoch
Hussars De La Garde PolkaTheod. Hoch
Carnival Of VeniceTheod. Hoch
Waltz “White Rose”Theod. Hoch
Trumpeter’s Mountain SongTheod. Hoch
Russian Song “Der Rothe Sarafan & Die Schone Minka”Theod. Hoch
The Minstrel Boy (Irish Song)Theod. Hoch
Remembrance Of PragueTheod. Hoch
The Rat-Charmere NeuendorffTheod. Hoch
The Little Fisher MaidenTheod. Hoch
Bacchus Chair HochTheod. Hoch
Y Czar Song From LortzingTheod. Hoch

【1889年6月28日の出来事】
環状日食の発生
月が太陽の手前を通過し、太陽が環状に見える環状日食(Annular Solar Eclipse of June 28, 1889)が発生しました。食の中心線はアフリカ南部から東部にかけて通過し、この日食はサロス周期125(Saros 125)に属するものとして記録されています。

29日(10件)

この日は、台帳に「June 29th Theod. Hoch (cornet)」としてコルネット録音が10件記録されています。

TitleArtistMatrixCatalog No.
Czar Song From LortzingTheod. Hoch
Polka “La Grieve”Theod. Hoch
The Heart Bowed Down BalfeTheod. Hoch
Polka “Only For You”Theod. Hoch
Song “How Fair Art Thou”Theod. Hoch
Italian Song “Fantaisie”Theod. Hoch
Love’s Dream With Var.
-” “- Then You’ll Remember
Theod. Hoch
Think Of Me Song By FescaTheod. Hoch
Waltz NilssonTheod. Hoch
Song “Mascotte”Theod. Hoch

【1889年6月29日の出来事】
第1回列国議会会議の開幕
パリでは、パリ万国博覧会(Exposition Universelle de 1889)に合わせて、第1回列国議会会議(First Inter-Parliamentary Conference)が開かれました。この会議には、国際仲裁に関心を持つ各国議員が集まり、のちの列国議会同盟(Inter-Parliamentary Union)につながる国際議員会議の出発点となりました。

1889年6月の録音に関する情報

1889年6月の録音記録からは、音楽シリンダーの制作だけでなく、在庫、出荷、管理方法、公開実演、商業化をめぐる動きも確認できます。6月13日にはパリ万国博覧会向けに654本のシリンダーが送られ、6月15日にはテオ・ヴァンゲマンがパリへ向かいました。6月21日以降は、シリンダーに台帳ページ番号を記す運用も始まっています。

同時代の新聞・雑誌では、ノース・アメリカン・フォノグラフ社(North American Phonograph Company)による商業展開、ジョージ・エドワード・グーロー(George Edward Gouraud, 1842–1912)による公開実演、王立協会(Royal Society)でのフォノグラフ展示、パリ万国博覧会でのフォノグラフとグラフォフォン(Graphophone)の紹介も報じられていました。1889年6月は、音楽録音の制作台帳、国際博覧会、商業用フォノグラフ、公開実演が結びついていく月でした。

1889年6月の音楽シリンダー制作と録音台帳

1889年6月の音楽シリンダー制作は、『The First Book of Phonograph Records』に日付ごとに記録されています。この台帳には、演奏者や楽器、曲目、録音数量がまとめられており、6月1日から6月29日までのあいだに、ピアノ、フルート、クラリネット、コルネット、ヴァイオリン、バンドなどによる録音が続けて行われていたことがわかります。

曲目と件数が資料上確認できる録音は214件です。6月11日にはアントン・ザイドルズ・オーケストラに関する記録がありますが、曲目と録音件数は資料上確認できないため、この件数には含めていません。台帳には同一曲目の反復、引用符による繰り返し表記、使用できる録音機の台数、追加の新しいワックス、シリンダー不足などを示す注記も見られます。1889年6月の記録は、音楽シリンダーが単発の実験ではなく、日々の制作単位として管理されていたことを示しています。

1889年6月13日のパリ万国博覧会向けシリンダー出荷

『The First Book of Phonograph Records』の1889年6月13日付記録には、パリ万国博覧会向けに654本のシリンダーが送られたことを示す注記があります。この記録は、6月の音楽シリンダー制作が、研究所内の録音作業にとどまらず、国際博覧会での展示や試聴に接続していたことを示しています。

台帳には、出荷対象のシリンダーについて、A、B、Cの区分と割合が記されています。ただし、それぞれの区分が何を意味するのかは資料上確認できません。確認できるのは、1889年6月中旬の時点で、まとまった数量のシリンダーがパリ万国博覧会へ向けて準備されていたことです。この注記は、初期の音楽シリンダーが個別の実験記録ではなく、展示用・試聴用のまとまった音源群として扱われていたことを示す重要な記録です。

ヴァンゲマンの渡欧とパリ万国博覧会への接続

『The First Book of Phonograph Records』の1889年6月17日付記録には、ヴァンゲマンが6月15日にパリへ出発したことを示す注記があります。この注記は、6月の音楽シリンダー制作が、パリ万国博覧会でのフォノグラフ展示と時間的に結びついていたことを示しています。

同じ台帳には、6月13日に654本のシリンダーがパリ万国博覧会へ向けて送られた記録もあります。出荷記録とヴァンゲマンの渡欧は、1889年6月に制作された音楽シリンダーが、アメリカ合衆国内の録音作業だけで完結していたのではなく、国際博覧会での展示・試聴に接続していたことを示す資料です。ただし、ヴァンゲマンがどのシリンダーを携行したのか、また現地でどの録音が実際に再生されたのかは、この台帳からは確認できません。

シリンダーへの台帳ページ番号記入の開始

『The First Book of Phonograph Records』の1889年6月21日付記録には、この日を含めて以後、シリンダーに台帳のページ番号を記すことが書かれています。それ以前の記録では、日付ごとに演奏者、曲目、録音数量が整理されていましたが、この注記によって、録音されたシリンダーそのものと台帳上の記録をページ単位で結びつける運用が始まったことがわかります。

この変更は、1889年6月後半の音楽シリンダー制作が、単に録音を重ねる段階から、制作物と記録を対応させて管理する段階へ進んでいたことを示しています。初期の音楽シリンダーは、曲目、演奏者、数量だけでなく、どの台帳ページに対応するかという情報も付けられるようになり、録音物の整理と追跡がより明確に意識されるようになりました。

ノース・アメリカン・フォノグラフ社と音楽シリンダーの流通

1889年6月の音楽シリンダー制作は、ノース・アメリカン・フォノグラフ社の地域会社制度と結びつくものでした。同社はフォノグラフを単体の商品として売り切るのではなく、地域会社を通じてリースし、各地域で業務用・展示用に利用する仕組みを整えていました。音楽シリンダーは、この制度のなかで、装置を動かすための実演用・試聴用の内容として重要になっていきました。

『The First Book of Phonograph Records』に記録された1889年6月の録音は、演奏者、曲目、数量を日付ごとに整理しており、音楽シリンダーを継続的に供給するための制作管理と結びついています。ただし、この台帳だけでは、各シリンダーがどの地域会社へ送られたのか、どの場所で実際に再生されたのかまでは確認できません。確認できるのは、1889年6月時点で、音楽録音が研究所内の実験にとどまらず、地域会社制度、公開実演、展示利用を支える音源として扱われ始めていたことです。

商業用フォノグラフをめぐる期待と待機

1889年6月の『テレグラフィック・ジャーナル・アンド・エレクトリカル・レビュー(The Telegraphic Journal and Electrical Review)』には、商業用フォノグラフをめぐる期待と停滞感が続けて現れています。6月7日付の同紙は、話題になっていたフォノグラフがその後どうなったのかという問いを立て、グーローがヨーロッパでフォノグラフを称賛し、トーマス・アルヴァ・エジソン(Thomas Alva Edison, 1847–1931)も商業用の装置が準備できたと伝えている一方で、アメリカ合衆国でフォノグラフ事業のために組織された30社または40社ほどの会社が、目立った動きを見せていないと述べています。

6月21日付の同紙も、商業用フォノグラフが大量に到着すると繰り返し予告されながら、実際にはなお待たれていると報じています。記事は、グーローとその助手たちが期待に応えるための調整を続けていると見なし、エジソンがシリンダー・カバーの改良によって発音をさらに完全にしたと発表したことにも触れています。

これらの記事からは、1889年6月時点で、フォノグラフが大きな期待を集める商業技術として報じられる一方、装置の供給と地域会社による実用化がまだ待機状態にあると受け止められていたことがわかります。音楽シリンダー制作や公開実演が進む一方で、商業用フォノグラフの流通は、同時代の電気技術専門誌においても慎重に見られていました。

王立協会の公開会合で実演されたフォノグラフ

1889年6月21日付の『テレグラフィック・ジャーナル・アンド・エレクトリカル・レビュー』は、ロンドンのバーリントン・ハウス(Burlington House)で開かれた王立協会の第2回コンヴァルサツィオーネを報じています。この会合では、会長のジョージ・ガブリエル・ストークス(George Gabriel Stokes, 1819–1903)が出席者を迎え、会場内には科学・電気・光学・機械技術に関する展示が並びました。

同記事によれば、グーローは、アーカイヴ室でエジソン式フォノグラフを作動状態で示しました。この実演は、フォノグラフが娯楽興行や商業宣伝だけでなく、科学者や技術者が集まる公開会合でも紹介されていたことを示しています。ただし、この記事からは、会場で音楽録音が再生されたことや、特定のシリンダーが使用されたことまでは確認できません。

パリ万国博覧会におけるフォノグラフの試聴と録音

パリ万国博覧会では、エジソン式フォノグラフが来場者に向けて紹介されました。国立国会図書館の博覧会資料に掲載された図版では、来場者がフォノグラフを聴く場面と、フォノグラフに向かって声を記録する場面が確認できます。ここから、会場のフォノグラフ展示が、録音済みの音を聴かせる試聴だけでなく、来場者の声を記録する実演としても受け止められていたことがわかります。

この展示は、6月13日にパリ万国博覧会へ向けて送られた654本のシリンダーや、ヴァンゲマンの渡欧とも時期的に重なります。ただし、図版資料だけでは、会場で再生された個別の曲目、演奏者、シリンダー番号、録音日までは確認できません。1889年6月のパリ万国博覧会では、フォノグラフが保存された音を聴く装置であると同時に、その場の声を記録する装置としても一般来場者に示されていました。

電話館におけるオペラの遠隔聴取とフォノグラフ試聴

パリ万国博覧会では、ソシエテ・ジェネラル・デ・テレフォン(Société Générale des Téléphones)の展示館で、電話を用いた音楽聴取が紹介されました。この電話展示では、パリの劇場で行われるオペラなどの上演を、電話回線と聴取用の管を通じて会場内で聴くことができました。これは、録音された音を再生するフォノグラフとは異なり、遠隔地で発生している音をほぼ同時に聴かせる仕組みでした。

この展示は、ギャラリー・デ・マシーヌ(Galerie des Machines)で紹介されたエジソン式フォノグラフと並び、パリ万国博覧会における音響技術の大きな見どころになりました。来場者は、フォノグラフによって保存された声や音を聴く一方で、電話展示では劇場の音を離れた場所から聴くことができました。1889年6月のパリ万国博覧会では、音楽や声を「保存して聴く」技術と、「遠隔から聴く」技術が、同じ博覧会空間のなかで示されていました。

フォノグラフとグラフォフォンの並行展開

パリ万国博覧会では、エジソン式フォノグラフだけでなく、フォノグラフとは別系統の録音・再生装置であるグラフォフォンも紹介されていました。同博覧会の公式公報には、グラフォフォンの構造や記録方式を説明する記事が掲載されており、1889年時点で、音声を記録・再生する技術が一つの方式だけに限られていなかったことがわかります。

グラフォフォンは、蝋を用いた円筒記録を前提とする装置として紹介され、音声を刻み、再生する仕組みを持っていました。これは、同じ博覧会で来場者に試聴や録音実演として示されたフォノグラフと並び、音声記録技術が複数の方式で競合しながら発展していたことを示しています。ただし、この資料からは、1889年6月にグラフォフォンで制作された個別の音楽録音、曲目、演奏者、録音日までは確認できません。

References