1889年に録音された音楽

【1889年5月24日の出来事】
・ピッツバーグ・アレゲニーズの三塁手ビル・キューネ（Bill Kuehne, 1858–1921）が、1試合で13回の守備機会を無失策で処理するという異例の記録を残しました。

【1889年5月25日の出来事】
・ロシア帝国キエフにてイーゴリ・シコルスキー（Igor Ivanovich Sikorsky, 1889–1972）が誕生しました。彼はのちにヘリコプター実用化の父と呼ばれ、航空技術史に決定的な革新をもたらしました。

【1889年5月28日の出来事】
・エジソン・レコードなどによる蝋管録音（wax cylinder）技術が商業的に発表され、音楽と録音技術の融合が本格化しました。
・フランス・クレルモン＝フェランで Michelin 社が設立され、タイヤとゴム産業を中心に交通インフラの近代化を促す一歩となりました。

【1889年5月29日の出来事】
・スウェーデンの劇作家オーギュスト・ストリンドベリ（August Strindberg, 1849–1912）の戯曲『ヘムセー島の人々（Hemsöborna, 1887）』がコペンハーゲンで初演され、北欧自然主義文学を舞台芸術へと発展させる契機となりました。
・アメリカ・テキサス州フォートワースでは農業と移民振興を目的とした地域博覧会「Texas Spring Palace」が開場し、西部開拓と産業発展の象徴的イベントとして注目を集めました。

【1889年5月31日の出来事】
・アメリカ・ペンシルベニア州ジョンスタウン（Johnstown, Pennsylvania）で、南フォーク・ダム（South Fork Dam）が決壊し、洪水「Johnstown Flood」が発生。約2,200人以上の死者を出す大災害でした。

【1889年6月1日の出来事】
・前日（5月31日）発生したダムの破裂による大洪水（ジョンスタウン洪水）が国内外に大きく報道され、6月1日付新聞ではその被害の全容が初めて広く伝わり、「19世紀末アメリカ史上最悪級の災害」として国際的にも注目を集めました。

【1889年6月3日の出来事】
・アメリカ・オレゴン州でウィラメット滝の水力発電所から約22km離れたポートランド市まで電力が送られ、街灯を点灯させる長距離送電が実用化しました。これは米国初の本格的送電成功として記録され、都市電化と電力インフラ時代の幕開けを告げる出来事となりました。

【1889年6月5日の出来事】
・ジョンスタウン洪水後の救援と検証が一気に制度化された日でした。クララ・バートン（Clara Barton, 1821–1912）率いるアメリカ赤十字社（American Red Cross）が本格的な災害救援のモデルを打ち立て、同時にアメリカ土木学会（American Society of Civil Engineers）が原因究明に入ることで、「公共インフラの失敗は社会全体の問題だ」という近代的な考え方が表面化しました。

【1889年6月6日の出来事】
・アメリカ・ワシントン準州シアトル中心部で大火災が発生し、約25ブロックが焼失しました。これを契機に都市は耐火建築と公営水道を導入し、近代的な市政とインフラ再建へ大きく転換しました。
・ドイツ・ベルリンで総合スポーツクラブ「BFC Viktoria 1889」が設立され、サッカーやラグビーなどを統合した近代クラブの先駆けとなりました。後にドイツサッカー協会（DFB）創設メンバーの一つとなり、独サッカー発展の礎を築きました。

【1889年6月7日の出来事】
・シアトル大火の炎がようやく鎮まり、市中心部の約25ブロックが焼失した被害の全容が明らかになりました。市はこの日から復興計画を本格化させ、耐火建築と公営水道を軸にした近代都市再建が始動しました。

【1889年6月8日の出来事】
・イギリスの詩人ジェラード・マンリー・ホプキンズ（Gerard Manley Hopkins, 1844–1889）がダブリンで没しました。彼の革新的な強勢リズムと宗教的象徴表現は後のモダニズム詩に大きな影響を与え、その死は英詩史の節目とされています。
・アーサー・コナン・ドイル（Arthur Conan Doyle, 1859–1930）の『シャーロック・ホームズ』短編「ボスコム谷の謎（The Boscombe Valley Mystery）」が雑誌掲載を開始し、探偵小説を連載型大衆娯楽として確立する契機となりました。

【1889年6月10日の出来事】
・日本の俳優・映画監督 早川雪洲（Sessue Hayakawa, 1889–1973）が誕生しました。彼はハリウッド初期に国際的スターとして成功し、異文化表現の先駆者として映画史に名を残しました。

【1889年6月12日の出来事】
・イギリス・アーマー郡でアーマー鉄道惨事（Armagh Rail Disaster）が発生。日曜学校の遠足列車が坂道で暴走して前方車両に衝突しました。約80人が死亡、260人以上が負傷し、英国の鉄道安全法制定の契機となりました。

【1889年6月13日の出来事】
・イタリアではアマデオ・ボルディガ（Amadeo Bordiga, 1889–1970）が誕生しました。ボルディガはのちにイタリア共産党創設メンバー・指導者となり、20世紀前半の共産主義運動に強い理論的影響を与える存在となります。
・フランスではアドルフ・ペゴー（Adolphe Pégoud, 1889–1915）が生まれています。彼は第一次世界大戦期のフランス軍パイロットで、曲技飛行（アクロバティック・フライト）の先駆者、そしてエース・パイロットとして知られる存在となります。
・中国では高奇峰（Gao Qifeng, 1889–1933）が生まれました。高奇峰は後に嶺南派（れいなんは）と呼ばれる近代中国絵画の革新運動に関わり、伝統水墨と近代的写実の融合を試みた画家として評価されます。

【1889年6月17日の出来事】
・アメリカン・アソシエーション所属のルイビル・コロネルズ（Louisville Colonels）の選手たちが、監督ビリー・バーニー（Billy Barnie, 1858–1900）との協議を経てストライキから復帰しました。彼らは同日のダブルヘッダーに出場しましたが、試合内容は惨敗に終わり、当時のプロ野球がすでに労使対立を抱える産業化された興行であったことを示しました。

【1889年6月18日の出来事】
・ニューサウスウェールズ植民地（New South Wales Colony）のタムワース補欠選挙が行われ、ロバート・ヘンリー・レヴィーン（Robert Henry Levien, 1849–1938）が不祥事後に無投票で再選されました。
・アメリカでは発明家ウィリアム・H・リチャードソン（William H. Richardson）が改良型ベビーカー特許（U.S. Patent No. 405,600）を取得したとされ、生活技術の近代化が進みました。

【1889年6月19日の出来事】
・アメリカの外野手ウィリアム・エルスワース・“ダミー”・ホイ（William Ellsworth “Dummy” Hoy, 1862–1961）が、センターから本塁への送球で3走者を連続刺殺する前例のない守備記録を達成しました。

【1889年6月20日の出来事】
・イギリスのブライトンにあるシアター・ロイヤル（Theatre Royal, Brighton）で、ノーベルティ・シアター・カンパニー（Novelty Theatre Company）がヘンリック・イプセン（Henrik Ibsen, 1828–1906）の戯曲『人形の家（A Doll’s House）』を上演しました。この公演は家庭・結婚・女性の自立を主題とする社会劇として物議を醸し、イギリス演劇界で道徳と検閲の是非をめぐる論争を引き起こしました。

【1889年6月21日の出来事】
・アメリカ合衆国シアトルで起きたシアトル大火（Great Seattle Fire, 1889年6月6–7日）の原因報道が訂正され、地元紙シアトル・ポスト・インテリジェンサー（Seattle Post-Intelligencer）がビクター・クレアモン（Victor Clairmont）の作業場から出火したと発表しました。

【1889年6月22日の出来事】
・アメリカン・アソシエーション（American Association）のルイビル・コロネルズ（Louisville Colonels）がセントルイス・ブラウンズ（St. Louis Browns）に敗れ、連敗を26に伸ばしました。この試合はメジャーリーグベースボール史上最長級の連敗記録として知られ、チームの労使対立と経営崩壊を象徴する出来事とされています。

【1889年6月24日の出来事】
・明治政府は第1回地方官会議を開催し、内務省主導で地方行政・財政・警察などの全国的な統治課題を協議しました。これは大日本帝国憲法公布後の中央集権体制を整備し、近代的な地方行政制度を確立する重要な節目となりました。
・アメリカ合衆国コロラド州テルライドのサン・ミゲル・バンク（San Miguel Valley Bank）が武装強盗に襲撃され、犯人の一人は後に無法者として知られるブッチ・キャシディ（Butch Cassidy, 本名Robert Leroy Parker, 1866–1908）とされました。この事件は彼の初期の銀行強盗として知られ、アメリカ西部における無法伝説と近代的銀行制度の対立を象徴する出来事とされています。

【1889年6月25日の出来事】
・明治政府は第1回地方官会議を開催し、内務省主導で地方行政・財政・警察などの全国的な統治課題を協議しました。これは大日本帝国憲法公布後の中央集権体制を整備し、近代的な地方行政制度を確立する重要な節目となりました。
・アメリカ合衆国コロラド州テルライドのサン・ミゲル・バンク（San Miguel Valley Bank）が武装強盗に襲撃され、犯人の一人は後に無法者として知られるブッチ・キャシディ（Butch Cassidy, 本名Robert Leroy Parker, 1866–1908）とされました。この事件は彼の初期の銀行強盗として知られ、アメリカ西部における無法伝説と近代的銀行制度の対立を象徴する出来事とされています。

【1889年6月26日の出来事】
・ジョン・ダンスフォース・ハーマン・グリーンウッド（John Danforth Herman Greenwood, 1889–1975）誕生 — イギリスの作曲家。映画『四羽の羽根（The Four Feathers）』などのスコアで知られる。
・セルゲイ・ペトロヴィチ・ユージン（Sergei Petrovich Yudin, 1889–1963）誕生 — ロシアのオペラ歌手（テノール）。ボリショイ劇場（Bolshoi Theatre）で活躍し、ロシア声楽史に名を残す。

【1889年6月27日の出来事】
・カルロッタ・パッティ（Carlotta Patti, 1835–1889）— イタリアのソプラノ歌手。1889年6月27日、パリで死去。広い音域で知られ、妹に大歌手アデリーナ・パッティ（Adelina Patti）がいます。
・ウィットニー・ユージーン・セイヤー（Whitney Eugene Thayer, 1838–1889）— 米国のオルガニスト／作曲家。1889年6月27日、バーモント州バーリントンで死去。米国初期の管風琴文化に足跡を残しました。
・モローニ・オルセン（Moroni Olsen, 1889–1954）— 米国の俳優。1889年6月27日生（ユタ州オグデン）。舞台・映画で長く活躍し、『白雪姫（Snow White and the Seven Dwarfs）』では“鏡の精”の声でも知られます。

【1889年6月28日の出来事】
・月の遠地点通過直後に環状日食（Annular Solar Eclipse of June 28, 1889）が発生し、アフリカ南部から東部にかけて観測されました。
この現象は食の等級0.9471で、NASAのサロス周期125（Saros 125）に属する記録的な日食です。

【1889年6月29日の出来事】
・フランス・パリで第1回国際議会会議（First Inter-Parliamentary Conference）が開催されました。この会議は後に列国議会同盟（Inter-Parliamentary Union）へ発展し、国際仲裁と平和外交の礎となりました。

【1889年7月1日の出来事】
・1889年7月1日、ロンドンで第13回ウィンブルドン選手権（1889 Wimbledon Championships）が開幕しました。男子シングルスではウィリアム・レンショー（William Renshaw, 1861–1904）が兄弟のアーネスト・レンショー（Ernest Renshaw, 1861–1899）を破り、7度目の優勝を果たしました。
・米国ワシントンD.C.でスミソニアン天体物理観測所（Smithsonian Astrophysical Observatory）が正式に設立されました。同観測所は太陽放射の測定を目的に活動を開始し、後に地球物理学と宇宙観測の基盤機関となりました。

【1889年7月2日の出来事】
・アメリカ・バージニア州サクストン近郊で列車が脱線・炎上する重大事故（Thaxton Train Wreck）が発生しました。大雨による路盤の崩壊が原因で、少なくとも18人が死亡し、21人が負傷しました。
・イギリス・ロンドンで指揮者エフ・チャールズ・アドラー（F. Charles Adler, 1889–1959）が誕生しました。彼は後にマーラーやブルックナー作品の録音で知られ、20世紀前半の管弦楽界に足跡を残しました。

【1889年7月3日の出来事】
・ロシア帝国の精神科医ヴィクトル・カンディンスキー（Victor Kandinsky, 1849–1889）がサンクトペテルブルクで死去しました。彼は「偽幻覚（pseudo-hallucination）」の概念を提唱し、精神病理学の基礎を築いた研究者として知られています。

【1889年7月5日の出来事】
・1889年7月5日、フランスの詩人・劇作家・映画作家ジャン・コクトー（Jean Cocteau, 1889–1963）がメゾン＝ラフィットで誕生しました。彼はのちに象徴主義と前衛芸術を結び、映画『美女と野獣（La Belle et la Bête）』などで20世紀フランス文化を代表する存在となりました。

【1889年7月6日の出来事】
・ロンドン警視庁が男性売春宿を摘発し、上流階級の関与が明るみに出ました（Cleveland Street scandal）。この事件はヴィクトリア朝社会の性的偽善を暴くきっかけとなり、英国史上屈指のスキャンダルとして記録されています。

【1889年7月8日の出来事】
・米国ニューヨークで経済紙（The Wall Street Journal）が創刊されました。
創刊号は4ページ建て・価格2セントで、創設者（Charles Henry Dow, 1851–1902）と（Edward D. Jones, 1856–1920）が編集を担当しました。
・1889年7月8日、米国ミシシッピ州リッチバーグ近郊で世界ヘビー級素手ボクシング選手権（Sullivan–Kilrain fight）が行われました。試合は（John L. Sullivan, 1858–1918）が（Jake Kilrain, 1859–1937）を75ラウンドで破り、素手ボクシング時代の終焉を象徴する歴史的勝負となりました。

【1889年7月9日の出来事】
・米国の（Overman Wheel Company）が（Overman Wheel Company Safety Bicycle）を開発し、特許を取得しました。これは前後同径の車輪・チェーン駆動・空気タイヤを備えた初の実用的「安全型自転車」で、現代自転車の原型とされています。

【1889年7月10日の出来事】
・アメリカ・インディアナポリスでジャズ作曲家ノーブル・シスル（Noble Sissle, 1889–1975）が誕生しました。彼は後にピアニストのユービー・ブレイク（Eubie Blake, 1887–1983）とともにミュージカル（Shuffle Along, 1921）を創作し、黒人音楽をブロードウェイに広めた先駆者となりました。

【1889年7月11日の出来事】
・中央アジアで大地震（（1889 Chilik earthquake））が発生しました。現地時刻15:14、推定M7.9–8.0、最大震度X（MSK・ロッシ＝フォレル相当）で、現在のカザフスタン・キルギス・中国に被害が及び、少なくとも92名の死亡が報告されています。
・メキシコの国境都市ティフアナが都市としての発祥日とされる協定締結の日を迎えました（（Founding of Tijuana / Fundación de Tijuana））。公式系資料・自治体サイトおよび事典系では1889年7月11日を市の創設日として扱っています。

【1889年7月12日の出来事】
・パリで「（American Concert）」が開催され、アメリカの作曲家エドワード・マクドウェル（Edward MacDowell, 1860–1908）が出演し、オペラ・コミック管弦楽団（Orchestre de l’Opéra-Comique）が共演しました。この公演はアメリカ音楽がヨーロッパで本格的に紹介された初期の例として、国際音楽交流史に重要な位置を占めます。

【1889年7月13日の出来事】
・スウェーデン王妃となるルイーズ・マウントバッテン（Louise Mountbatten, 1889–1965）が、ドイツのユーゲンハイムの（Schloss Heiligenberg）で誕生しました。彼女は後にグスタフ6世アドルフと結婚し、スウェーデン王妃（Queen of Sweden consort）として在位しました。

【1889年7月15日の出来事】
・オスマン帝国の帆走フリゲート艦エルトゥールル（Ottoman frigate Ertuğrul）が、日本への親善航海に向けイスタンブールを出航しました。日本側・トルコ側の公的・研究資料では1889年7月中旬出航が確認でき、和歌山県資料は7月15日出港と記しています。

【1889年7月16日の出来事】
・ラウリ・ポハヤンパー（Lauri Pohjanpää, 1889–1962）がフィンランド・ヘルシンキで誕生しました。詩人・聖職者として活躍し、多数のテキストが歌曲や合唱曲の歌詞として採用されています。

【1889年7月17日の出来事】
・推理作家アール・スタンリー・ガードナー（Erle Stanley Gardner, 1889–1970）が米国マサチューセッツ州モールデンで誕生しました。法廷探偵小説「ペリー・メイスン」シリーズの作者として知られ、20世紀ミステリ史に大きな影響を与えました。

【1889年7月18日の出来事】
・米国ノースカロライナ州ファーガソン付近に隕石「ファーガソン」（Ferguson meteorite）が落下した日として米国の隕石カタログに記録されています。19世紀末の米南部で観測された比較的まれな隕石落下です。

【1889年7月19日の出来事】
・カナダやニュージーランド、米オハイオ州サンダスキーの新聞が、ロンドンで新たに届いた「ジャック・ザ・リッパー」署名の脅迫状を7月19日付で紹介しており、1888年の連続殺人から1年近く経っても恐怖が国際ニュースの素材になっていたことが分かります。

【1889年7月20日の出来事】
・ワイオミング準州で女性入植者エレン・リディ・“エラ”・ワトソン（Ellen Liddy “Ella” Watson, 1860–1889）と同居のジェームズ・アヴェレル（James Averell, 1851–1889）が大牧場主側により牛泥棒とされて私刑にかけられる事件（Lynching of Ella Watson and James Averell, Sweetwater River, 20 July 1889）が起き、のちのジョンソン郡戦争の導火線になりました。

【1889年7月22日の出来事】
・ジェームズ・ホエール（James Whale, 1889–1957）は英国ウースターシャー州ダドリーで生まれ、後に『フランケンシュタイン』（Frankenstein, 1931）や『姿なき男』（The Invisible Man, 1933）を撮る映画監督になります。ゴシック的イメージで20世紀映画を変える人がこの日に誕生しています。

【1889年7月23日の出来事】
・ブルックリンの地方史では、この日をドイツ系屋台主チャールズ・フェルトマン（Charles Feltman, 1841–1910）がコニーアイランドで「ホットドッグ（hot dog）」を売り出した日として記憶しており、移民の軽食が観光産業に結びつく転機と位置づけられています。ただし実際は1860年代の営業開始説もあり、日付は後年の回想に基づくものです。

【1889年7月24日の出来事】
・アグネス・メイヤー・ドリスコル（Agnes Meyer Driscoll, 1889–1971）は米国でこの日に生まれ、のちに米海軍の民間暗号解読者として日本海軍暗号「D」の解読などに貢献しました。女性でありながら海軍暗号解読の中心に立った人物です。

【1889年7月25日の出来事】
・豪州の歌手ドロシー・ジェーン・アデール・ヘルムリッヒ（Dorothy Jane Adele Helmrich, 1889–1984）がこの日に生まれました。シドニー・ウラーラ生まれでロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックなどで学び、リート（歌曲）の実演家として知られました。第二次大戦期にはニューサウスウェールズ芸術協会（のちArts Council of Australiaの母体）を立ち上げ、地方や学校にも音楽・演劇を巡回させる仕組みを作ったことで20世紀オーストラリア文化行政の草分けとされています。

【1889年7月26日の出来事】
・パリでは執達吏トゥーサン＝オーギュスタン・グーフェ（Toussaint-Augustin Gouffé, 1843–1889）がこの日に行方不明になり、のちに「ミルリーの血のトランク事件（Affaire de la malle sanglante de Millery）」として欧州中に報道されました。パリ警視庁は即日捜査を開始し、事件は翌月以降フランス最大級の犯罪スキャンダルになります。

【1889年7月29日の出来事】
・日本時間7月28日23時40分の熊本地震は、欧米では29日付の地震として伝えられ、熊本城石垣の崩落や家屋倒壊で20名が死亡したと報じられました。外国の地震観測所もこの揺れを記録しており、日本の近代的地震観測が国際的に注目を集めるきっかけになりました。

【1889年7月30日の出来事】
・ドロシー・ヴァイオレット・ウェルズリー（Dorothy Violet Wellesley, 1889–1956）は英国貴族ウェルズリー家の出身で詩人・編集者として活動し、後に第7代ウェリントン公爵夫人となりました。20世紀英国詩壇でT.S.エリオットらと交流した女性文化人の誕生日です。

【1889年7月31日の出来事】
・スコットランド自由教会の賛美歌作者ホレイシャス・ボナー（Horatius Bonar, 1808–1889）がエディンバラでこの日に没し、同日の教会・宗教紙は「スコットランド福音派の詩人」の死を報じました。19世紀英語賛美歌の一大源流がここで一つ終わります。

【1889年8月1日の出来事】
・スイス生まれの時計師ヘンリー・A・ルグラン（Henry A. Lugrin, 生没年未詳）は、この日付でアメリカ合衆国特許庁にストップウォッチ機構の特許を出願しました（Stopwatch Patent）。後に同年12月31日に特許が認可され、精密な経過時間測定が求められるスポーツや技術用途で使われる近代的ストップウォッチの一形態となります。
・室生犀星（むろう さいせい 、1889–1962、本名 室生照道）は、石川県金沢で8月1日に生まれた日本の詩人・小説家です。孤児院育ちの体験や、北陸の風土を背景とした抒情的・内省的な作風で知られ、「抒情小曲集」や「性に目覚める頃」などで近代文学史に大きな足跡を残しました。

【1889年8月2日の出来事】
・エドゥアルド・グティエレス（Eduardo Gutiérrez, 1851–1889）は、ガウチョを主人公とする小説『フアン・モレイラ（Juan Moreira）』で知られるアルゼンチンのガウチェスコ文学の作家です。
ブエノスアイレス生まれで、連載小説や新聞記事の形で暴力や不正義に抗うアウトロー像を描き、1889年8月2日に亡くなるまでに多くの歴史風俗小説を残しました。

【1889年8月13日の出来事】
・アメリカ合衆国では、コネチカット州ハートフォードの発明家ウィリアム・グレイが、硬貨を投入すると通話ができる『電話用硬貨制御装置』（Coin-controlled apparatus for telephones, US Patent No.408,709）の特許を取得しました。これにより、公衆の場に設置されるコイン式公衆電話（ペイフォン）の商業化に向けて重要な一歩が刻まれました。

【1889年8月15日の出来事】
・エイネアス・マッケンジー（Æneas MacKenzie, 1889–1962）は、スコットランド・ストーノウェイ生まれの脚本家で、のちにハリウッドで歴史スペクタクル映画『十戒（The Ten Commandments）』などの脚本を手がけました。若くしてアメリカに渡り、古代史・聖書物語を題材とした脚本で知られるようになりました。

【1889年8月17日の出来事】
・ロンドン東部の新聞『イースト・ロンドン・オブザーヴァー（East London Observer）』1889年8月17日号は、「ジャック・ザ・リッパー事件」の一環と見なされたアリス・マッケンジー殺害について、検視の終了と「犯人不詳」の評決を報じました。検視官バクスターはスピタルフィールズ一帯の劣悪な住宅環境と貧困を厳しく批判し、ロンドン東端地区の再開発と道徳的・社会的救済策の必要性を訴えています。
・ララ・カールセン（本名ハラルダ・ペトレア・クリステンセン, Haralda Petrea Christensen）は、1889年8月17日にノルウェーのスヴェルヴィクで生まれた歌手・女優です。レビュー劇場チャット・ノワール（Chat Noir）などで活躍し、20世紀前半のノルウェーを代表する女性レヴュー・スターとして知られています。コロムビアやオデオンなどに録音された多数の78回転盤として残っており、「Han Jon」「Norge i rødt, hvitt og blått」などの代表的音源が確認できます。これらの録音は後年LP・CDや配信サービス（Spotifyなど）で復刻されており、現在でも比較的容易に彼女の歌声を聴くことができます。
・ジョルジュ・タコネ（Georges Taconet, 1889–1962）は、1889年8月17日にフランスのモン＝サン＝テニャンで生まれ、ル・アーヴルを拠点に活動した作曲家です。多くの歌曲や室内楽を残し、ノルマンディー地方の作曲家に与えられるグッシエ賞（Prix Gossier）を1926年に受賞しました。

【1889年8月20日の出来事】
・1889年8月20日、スコットランド出身でメルボルンに赴任していた電気技師アーサー・ジェームズ・アーノット（Arthur James Arnot, 1865–1946）と鉱山技師ウィリアム・ブランチ・ブレイン（W. Blanch Brain）は、世界初の電動ドリルの特許を取得しました。重機用に設計されたこの電動ドリルは、のちの工業用・家庭用電動工具の原型となり、電動工具産業の発展に大きな影響を与えました。
・ヴィトルト・フリーマン（Witold Friemann, 1889–1977）は、ポーランドの作曲家・ピアニストで、コンインに生まれ、ワルシャワ音楽院などで学び、多くのピアノ曲や管弦楽曲を残し教育者としてもポーランド音楽界の後進育成に貢献しました。
彼の作品は歌曲集『Selected Songs』や《Witold Friemann: Works for Clarinet & Piano》、Orphée Classicsレーベルの歌曲集などとして録音されており、CDや配信で現在も聴くことができます。