1926年3月に録音された音楽

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1926年3月に録音された音楽

1926年3月は、外交、社会不安、科学技術が同時に動いた月でした。国際連盟(League of Nations)では3月8日–17日の特別総会でドイツ加盟が協議されましたが、理事会常任議席をめぐる対立により結論は先送りとなりました。イギリスでは石炭産業ロイヤル・コミッション(Royal Commission on the Coal Industry)報告の扱いが3月10日と19日に議会で問題となり、石炭産業をめぐる緊張がいっそう表面化しました。アメリカ合衆国(United States of America)とキューバ共和国(Republic of Cuba)の間では、3月4日と11日に密輸取締りに関する条約が署名されました。北京では3月18日の三・一八事件(March 18 Incident)で多数の死傷者が生じ、同日ギリシアではアカデミー・オブ・アセンズ(Academy of Athens)が創設されました。また、3月10日にはベル電話研究所(Bell Telephone Laboratories, Incorporated)が電話発明50周年行事を実施し、3月16日にはロバート・ハッチングス・ゴダード(Robert Hutchings Goddard, 1882–1945)が液体燃料ロケットの初飛行に成功しました。

この月の確認されている録音:0曲

1926年3月の録音に関する情報のまとめ

1926年3月の録音関連資料を再点検すると、コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Company)、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)、ブランズウィック=バルケ=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)、ゼネラル・フォノグラフ社(General Phonograph Corporation)のオーケー・レコード(Okeh Records)、スター・ピアノ社(Starr Piano Co.)のジェネット・レコード(Gennett Records)で、当月の録音実施または当月付で進んだ商品整理を確認できます。コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Company)、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)、スター・ピアノ社(Starr Piano Co.)のジェネット・レコード(Gennett Records)は日付入りのマトリクスが比較的豊富で、ゼネラル・フォノグラフ社(General Phonograph Corporation)のオーケー・レコード(Okeh Records)では3月17日付録音と月内録音の両方が確認でき、ブランズウィック=バルケ=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)では3月録音に加えてヴォカリオン(Vocalion)向け整理も確認できます。

コロムビア

コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Company)では、3月10日にフレッド・リッチ・ホテル・アスター・オーケストラ(Fred Rich Hotel Astor Orchestra)の「”Gimme” a little kiss will “ya” huh?」、3月17日に「He ain’t done right by Nell」と「It’s too late to be sorry now」、3月30日に「I found a round-about way to heaven」と「Luntananza」が確認できます。3月中の記録だけでも、ホテル系ダンス楽団、流行歌独唱、外国語声楽が同時に並んでおり、同社が当月も複数市場向けの録音を継続していたことが分かります。

ヴィクター

ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)では、3月3日にノースカロライナ大学グリー・クラブ(University of North Carolina Glee Club)の「Go down, Moses」と「Ma little banjo」の試験録音、3月17日にハーキュリーズ・パスカリディス(Hercules Pascalidis, 生没年不明)によるギリシア語曲「Layarni」、3月30日にホピ・インディアン・チャンターズ(Hopi Indian Chanters)の「Chant of the eagle dance」が確認できます。大学合唱、移民向け外国語録音、先住民系レパートリーが同じ月内に並んでおり、当月のヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)が主流ポピュラー市場以外にも広い対象を持っていたことが読み取れます。

エジソン

トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)では、3月15日にヴェネチアン・オーケストラ(Venetian Orchestra)の「Nocturne」、3月17日に「For heaven’s sake」、3月19日に「Sympathy waltz (Just a bit of sympathy)」、3月30日に「The prisoner’s sweetheart」が確認できます。少なくとも3月中旬から月末にかけて、器楽、ダンス楽団、流行歌独唱を含む録音が継続しており、同社の月内スタジオ活動は断続的ではなく連続的でした。

ブランズウィック

ブランズウィック=バルケ=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)のブランズウィック・レコード(Brunswick Records)では、3月17日に「Coming home」と「It don’t do nothing but rain」、3月29日に「Saw ye my Saviour」が確認できます。さらに、同社原盤の一部には3月付でヴォカリオン(Vocalion)番号が付与されており、当月は新規録音だけでなく系列レーベル向けの商品整理も並行して進められていました。

オーケー

ゼネラル・フォノグラフ社(General Phonograph Corporation)のオーケー・レコード(Okeh Records)では、3月17日にフィドリン・ジョン・カーソン(Fiddlin’ John Carson, 1868–1949)による「Everybody works but Father」と、題名未確認の録音が確認できます。加えて、月内録音として「Run away blues」と「After the ball」も確認でき、3月の段階で同レーベルがオールドタイム系とブルース系の双方を継続していたことが分かります。題名未確認のものは、資料上そのまま未確認として扱うほかありませんが、3月17日の録音実施自体は確認できます。

ジェネット

スター・ピアノ社(Starr Piano Co.)のジェネット・レコード(Gennett Records)では、3月19日に「Gimme a li’l kiss, will ya, huh?」、3月29日に「Unexpectedly」、3月30日に「Florida stomp」と「(You’ve got those) “Wanna go back again” blues」が確認できます。月末にかけて連続してジャズとダンス音楽の録音が残っており、同社が当月も電気録音時代の流行レパートリーを積極的に取り込んでいたことが分かります。