Music recorded in June 1928
1928年6月は、東アジアの政局変動と航空・機械技術の進展が並行して進んだ月でした。中国では六月四日、張作霖(Zhang Zuolin, 1875–1928)が皇姑屯事件(Huanggutun Incident)で死亡し、満洲と北中国の政治秩序が大きく揺れました。イギリスでは六月十四日にエメリン・パンクハースト(Emmeline Pankhurst, 1858–1928)が死去し、女性参政権運動史の一時代が終わりました。六月十七日–十八日にはアメリア・イアハート(Amelia Earhart, 1897–1937)が大西洋横断飛行で国際的注目を集め、六月十八日にはロアール・アムンセン(Roald Amundsen, 1872–1928?)がウンベルト・ノビレ(Umberto Nobile, 1885–1978)救助飛行中に消息を絶ちました。オーストラリアでは六月上旬、サザン・クロス号(Southern Cross)が太平洋横断飛行を成し遂げ、ドイツでは六月二十三日にオペルRAK 3(Opel RAK 3)が高速鉄道車両の記録を更新しました。
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1928年6月の録音に関する情報のまとめ
1928年6月の同時代業界誌では、レコード単体の話題よりも、電気再生蓄音機、ラジオ兼用機、販売網整備をめぐる動きが目立ちました。『ザ・トーキング・マシン・ワールド(The Talking Machine World)』六月号で確認できる範囲では、コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company)とブランズウィック=バルケ=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)が新型電気式機種を押し出し、ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)はラジオ機と蓄音機の併売体制を拡げ、オーケー・フォノグラフ社(Okeh Phonograph Corp.)周辺では経営体制の動きが報じられました。六月の録音業界は、録音そのものの公表よりも、電気化と流通整備が企業活動の中心にあったことが読み取れます。
Columbia
1928年6月の『ザ・トーキング・マシン・ワールド(The Talking Machine World)』では、コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company)のコロムビア=コルスター・ヴィヴァトーナル(Columbia-Kolster Viva-tonal)電気再生蓄音機が、同時期の有力新製品として扱われていました。誌面では、ブランズウィックの新型機と並んで、最近業界向けに導入され、市場で相応の成功を収めている製品として取り上げられており、六月時点で同社が電気式機器を中心商材として強く押し出していたことが確認できます。
- https://archive.org/stream/talkingmachinewo24bill/talkingmachinewo24bill_djvu.txt
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1928-06.pdf
Brunswick
ブランズウィック=バルケ=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)については、六月号でパナトロープ・コンビネーション・モデルPR 17-18(Panatrope Combination Model PR 17-18)が最近導入された機種として紹介され、コロムビア機と並んで好調な反応を得ている製品として扱われていました。さらに同じ六月資料では、ブランズウィックが「純電気式再生の楽器」を最初に提供した会社としてパナトロープ(Panatrope)を訴求し、周辺商品としてパナトロープ・ミュージカル・エフェクツ(Panatrope Musical Effects)も広告しており、同社が電気再生機本体と関連商品を組み合わせて販売線を拡張していたことが分かります。
- https://archive.org/stream/talkingmachinewo24bill/talkingmachinewo24bill_djvu.txt
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1928-06.pdf
Sonora
ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)については、六月号でソノラの蓄音機とラジオ機が良い需要を得ており、地域フランチャイズの付与が急速に進んでいることが報じられていました。六月時点の誌面からは、同社が単一機種の宣伝よりも、蓄音機とラジオを並行して扱う商品線と販売網の拡大を重視していたことが確認できます。
- https://archive.org/stream/talkingmachinewo24bill/talkingmachinewo24bill_djvu.txt
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1928-06.pdf
OK
オーケー・フォノグラフ社(Okeh Phonograph Corp.)に関する六月号の掲載面では、ゼネラル・フォノグラフ社(General Phonograph Corp.)の社長兼総支配人辞任が報じられていました。六月の同社周辺では、新製品広告よりも経営体制の変化が業界誌上の話題となっており、録音関連企業の動きが販売や製品だけでなく組織面にも及んでいたことを示しています。
