1917年3月に録音された音楽
1917年3月は、第一次世界大戦のただ中で政治と統治の転換が連鎖した月でした。ロシア帝国(Russian Empire)では3月8日にペトログラードで抗議行動が拡大し、3月15日にはニコライ2世(Nicholas II, 1868–1918)が退位してロマノフ朝の統治が終わりました。アメリカ合衆国では、ドイツ帝国外務大臣アルトゥール・ツィンメルマン(Arthur Zimmermann, 1864–1940)の電報内容が3月初旬に広く知られ、対ドイツ関係はさらに緊張しました。3月2日にはウッドロウ・ウィルソン(Woodrow Wilson, 1856–1924)がジョーンズ=シャフロス法(Jones-Shafroth Act)に署名し、プエルトリコ(Puerto Rico)の法的地位が改められました。戦場では、スタンリー・モード(Stanley Maude, 1864–1917)率いる英印軍が3月11日にバグダードを占領しました。アメリカ合衆国では3月19日、連邦最高裁判所がアダムソン法(Adamson Act)を支持する判断を示し、鉄道労働をめぐる国家介入の範囲を確認しました。さらに3月31日にはデンマーク領西インド諸島(Danish West Indies)がアメリカ合衆国へ移管され、後のアメリカ領ヴァージン諸島(United States Virgin Islands)へつながる統治の転換が実施されました。
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1917年3月の録音に関する情報のまとめ
1917年3月の録音関連業界は、確認できる当月資料を見る限り、新録音の制作そのものよりも、月次発売、店頭広告、販売店向け通達、在庫訴求といった企業活動が前面に出た月でした。トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)ではブルー・アンベロルの3月発売告知が確認でき、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)では販売店向け通達と月末の新譜実演広告が見えます。コロンビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)、ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)、エオリアン社(Aeolian Company)についても、1917年3月付の広告や業界誌記事によって、その月の販売活動を確認できます。
エジソン
トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)では、1917年3月の『エジソン・アンベロラ・マンスリー』に3月のブルー・アンベロル一覧が掲載されており、当月の新規発売運用が継続していたことが確認できます。さらに3月23日付の新聞には「Edison Blue Amberol Records for March」という見出しで当月発売分の告知があり、3月28日付の地方紙でも最新のダイアモンド・アンベロラとブルー・アンベロルを揃える販売広告が見えます。1917年3月のトーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)は、シリンダー新譜の月次供給と店頭販促を並行して進めていました。
- https://archive.org/download/edisonphonograph12moor/edisonphonograph12moor.pdf
- https://paperspast.natlib.govt.nz/newspapers/EP19170323.2.44.1
- https://www.nyshistoricnewspapers.org/lccn/sn84031968/1917-03-28/ed-1/seq-8/
ヴィクター
ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)については、1917年3月号の『ザ・トーキング・マシン・ワールド』に、販売店へ向けて注文方法と配布方法を示す回状を送ったことが確認できます。また、3月28日付の新聞では、新しいヴィクター・レコードをその月の28日に全販売店で実演するという広告が見えます。1917年3月のヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)は、新譜の店頭展開と販売網への情報統制を同時に進めていたことが確認できます。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/10s/Talking-Machine-1917-03.pdf
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19170328-01.1.5
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19170312-01.1.4
コロンビア
コロンビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)については、1917年3月21日付の『インディアナポリス・ニュース』にコロンビア・グラフォノーラ(Columbia Grafonola)の広告が確認でき、さらに3月28日付の同紙でも、価格帯を示した別の広告が確認できます。今回確認できた範囲では、1917年3月の同社について、その月の企業活動をもっとも確実に示せるのは店頭広告と販売継続の事実です。したがって、1917年3月のコロンビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)は、少なくとも販売現場で継続的に商品を押し出していたことが確認できます。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19170321-01.1.3
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19170328-01.1.3
ブランズウィック
ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)については、1917年3月9日付および3月16日付の『インディアナポリス・ニュース』に、ブランズウィック・トーキング・マシン(Brunswick Talking Machine)の在庫をうたう広告が確認できます。広告は小売店によるものですが、少なくともこの時点で同社製機械が都市部の販売現場に継続して流通していたことは確かです。1917年3月のブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)は、販売網の現場で製品存在を明確に確認できる段階にありました。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19170309-01.1.21
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19170316-01.1.11
エオリアン=ヴォカリオン
エオリアン社(Aeolian Company)については、1917年3月15日付および3月28日付の『インディアナポリス・ニュース』に、エオリアン=ヴォカリオン(Aeolian-Vocalion)の広告が確認できます。また、1917年3月号の『ザ・トーキング・マシン・ワールド』には、エオリアン=ヴォカリオン関係者の動きが載っており、同月の業界内活動も確認できます。1917年3月のエオリアン社(Aeolian Company)は、地方紙広告と業界誌記事の両面で活動をたどることができます。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19170315-01.1.3
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19170328-01.1.9
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/10s/Talking-Machine-1917-03.pdf
