Blue Amberol cylinders—Ethnic markets
画像出典:Wikimedia Commons(CC0 1.0)
Blue Amberol(ブルー・アンベロール)は、エジソン社が1912–1929年に製造・販売したセルロイド製4分円筒レコード(Blue Amberol cylinder)です。本ページの「Ethnic markets」は、そのBlue Amberolのうち、主流の米国国内向け(英語中心)とは別に、移民コミュニティ向けの外国語タイトル群や、海外市場向けに編成された番号帯をまとめた区分を指します。ここでの区分名は、当時の社内呼称をそのまま再現するというより、ディスコグラフィ/アーカイブ側が「市場セグメントとしての外国語・海外向け」を整理するために用いる性格が強い点に注意が必要です。なお、A–Kの個別解説は本シリーズとは別枠で扱う前提のため、本ページでは取り上げません。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/index?Objects%5BLabelName%5D=Edison&Objects_sort=publicDomain.desc
- https://www.archeophone.com/downloads/notes/10003.pdf
- https://adp-assets.library.ucsb.edu/edison_4m-cyls.pdf
- https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cylinderscolors.JPG
シリーズの概要
Ethnic marketsは「外国語・海外向け」という編集方針が中核ですが、媒体としてはあくまでBlue Amberol(セルロイド製4分円筒)です。Blue Amberol全体では、1914–1915頃からディスク録音を再生して円筒側へ再記録する方式(ディスクからのダビング)が製造上の主流になったとされ、音質や由来(直接録音か、ダビングか)が混在します。また、旧Amberol由来の再発売では、1914年の工場火災で多くの制作記録が失われた事情もあり、原録音日の確定が難しい例が生じます。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/index?Objects%5BLabelName%5D=Edison&Objects_sort=publicDomain.desc
- https://www.archeophone.com/downloads/notes/10003.pdf
用語と範囲(Ethnic markets)の位置づけ
本ページでいうEthnic marketsは、Blue Amberolのうち、英語中心の国内向け主系列とは別に、外国語タイトルや海外市場向けに編成されたリリース群をまとめた呼称です。一次資料では、同趣旨の枠がForeign Selections(外国語選曲)などの語彙で示されることがあり、資料ごとに表記が揺れます。ディスコグラフィ/アーカイブの整理では、言語名や地域名を冠した番号帯(例:Norwegian、Danish/Swedish、Cubanなど)として実務的に区分されるのが一般的です。
- https://adp-assets.library.ucsb.edu/edison_4m-cyls.pdf
- https://www.press.uillinois.edu/books/?id=c017223
番号体系と区分
Blue Amberolの番号は、基本的に「製品カタログ番号(=注文・流通のための番号)」として円筒と箱に表示され、同一媒体内での整理軸になります。国内向けの主流(Popular, Domestic)は1501–5719の範囲で展開したと説明される一方、Ethnic marketsでは、言語・市場別に離れた番号帯が割り当てられます。アーカイブの区分(Issue Sub Series)として提示される代表的なレンジは次のとおりです(レンジ名は整理側の表記に従います)。
- 9225–9252(Norwegian):13点
- 9425–9462(Danish/Swedish):23点
- 9850–9871(Czech):4点
- 10750–10760(Polish):2点
- 11225–11234(Russian/Ukrainian):3点
- 11700–11712(Finnish):2点
- 22560–22595(Cuban):35点
- 23001–23401(”British”):7点
- 26001–26215(German):14点
- 27001–27219(French):37点
また、整理体系によっては、Blue Amberol cylinders—Ethnic marketsの下位に、外国語レンジだけでなく、28101–のConcert seriesや29001–のRoyal Purple Amberol seriesが同列に配置される場合があります。
上記は、言語/市場ごとに番号帯を“塊”として運用する設計であり、カタログ編集・販売案内・棚管理(同言語をまとめて提示)に適した構造です。なお、別資料ではBlue Amberolの外国語番号帯として追加レンジが挙げられることもあり、どこまでを「Ethnic markets」に含めるかは、ディスコグラフィや整理方針に依存し得ます。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/index?Objects%5BLabelName%5D=Edison&Objects_sort=publicDomain.desc
- https://cylinders.library.ucsb.edu/history-blueamberol.php
- https://cylinders.library.ucsb.edu/detail.php?query=990025272410203776&query_type=mms_id
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/detail/245605/Edison_22560
シリーズの特徴
画像出典:Wikimedia Commons(Public Domain / PD-1923)
Ethnic marketsは「外国語・海外向け」という編集方針が中核ですが、媒体としてはあくまでBlue Amberol(セルロイド製4分円筒)です。Blue Amberol全体の製造史としては、初期の一部に直接録音由来が残る一方、のちにディスク母型からのダビング(円筒化)が主流になったこと、また工場火災等により録音日情報が欠落しやすいことが指摘されています。したがって、Ethnic markets各タイトルの「録音日/録音形態」を精密に詰めるには、個票(各番号のディスコグラフィ記述)を参照して、由来(旧Amberol由来か、ディスク由来か等)を一件ごとに確認する必要があります。
- https://adp-assets.library.ucsb.edu/edison_4m-cyls.pdf
- https://www.archeophone.com/downloads/notes/10003.pdf
- https://commons.wikimedia.org/wiki/File:BlueAmberolRim.jpg
市場背景と流通
画像出典:Wikimedia Commons(Public Domain / Public Domain Mark 1.0)
20世紀初頭の米国レコード産業では、移民の言語圏ごとに音楽需要が存在し、各社が外国語・地域コミュニティ向けの録音を商品化していきます。エジソン社のEthnic marketsも、この需要(移民コミュニティ向けの歌、器楽、宗教曲、語り物等)と、海外市場向けの供給を、番号帯の分離という形でカタログ運用に落とし込んだものと理解できます。とりわけ22560–22595(Cuban)のように一定の点数がまとまるレンジは、特定市場への継続的投入(継続供給・まとまった品揃え)を示唆します。
- https://www.press.uillinois.edu/books/?id=c017223
- https://www.library.ucsb.edu/news/early-20th-c-mexican-cuban-cylinders-added-cylinder-audio-archive
- https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Landing_at_Ellis_Island_LCCN97501086.jpg
史料上の留意点
Ethnic marketsの個別タイトルは、同じBlue Amberolでも、番号帯(Issue Sub Series)・市場ラベル(言語/地域)・リリース時期(掲載月・年)・由来(旧Amberol由来/ディスク由来など)の情報が別々の史料に分散しやすい点が特徴です。とくにBlue Amberolは、同一作品が他媒体(Amberol、Diamond Discなど)と相互に関係する場合があり、番号だけで制作年代が一意に定まるとは限りません。したがって、各タイトルの注記(アーカイブの個票)に現れる由来情報と、カタログ上のリリース情報を突き合わせる形で整理すると、誤差を抑えやすくなります。
- https://adp-assets.library.ucsb.edu/edison_4m-cyls.pdf
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/index?Objects%5BLabelName%5D=Edison&Objects_sort=publicDomain.desc
シリーズの歴史的意義
Blue Amberol cylinders—Ethnic marketsは、円筒メディアが衰退局面に入った後も「市場の細分化(言語・地域・コミュニティ)」に応じて商品を組み直し、流通させ続けた例として重要です。主流の国内Popular帯とは別に番号帯を確保している点は、単なる付録的展開ではなく、カタログ運用上の独立性を持つ販売線(市場別ライン)として設計されたことを示します。また、エスニック録音研究の観点では、各言語圏の歌唱様式・編成・レパートリーが商業録音として残ることで、移民文化史・音楽史・録音史の交点を具体的な音源(番号単位)で追跡可能にします。
- https://www.press.uillinois.edu/books/?id=c017223
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/index?Objects%5BLabelName%5D=Edison&Objects_sort=publicDomain.desc
- https://www.archeophone.com/downloads/notes/10003.pdf
