1912年3月に録音された音楽

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1912年3月に録音された音楽

1912年3月は、政治・社会・科学技術・探検の各分野で動きの多い月でした。3月上旬には航空機からの実用的なパラシュート降下が成功し、飛行技術の安全面に新しい段階が開かれました。中旬にはジュリエット・ゴードン・ロウ(Juliette Gordon Low, 1860–1927)がジョージア州サバンナで最初のガールスカウト隊を組織し、女性青少年活動の一つの起点が生まれました。同じ月、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ローレンスの繊維争議は賃金と労働条件をめぐる大規模な労働運動として決着し、月末にはロバート・ファルコン・スコット(Robert Falcon Scott, 1868–1912)の南極探検隊が最後の日記を残しました。さらに3月27日にはワシントンD.C.で日米友好を象徴する桜の植樹が行われ、3月30日にはフェズ条約(Treaty of Fes)が結ばれてモロッコの政治秩序が大きく変化しました。

この月の確認されている録音:0曲

1912年3月の録音に関する情報のまとめ

1912年3月に月内で確定できる録音関係の動きとしては、エジソン系の一次資料に残る新譜告知と販売準備が中心です。3月25日には4月補充分のエジソン・アンベロール・レコードとエジソン・スタンダード・レコードの販売開始が予定され、同時にエジソン・アンベロール・コンサート・レコードではオリーヴ・ミード弦楽四重奏団(Olive Mead String Quartet)による「Hymn to the Emperor—“Kaiser Quartet”」などが打ち出されていました。さらに3月号では5月新譜の案内が出され、3月10日までの発注が求められており、月内の録音商業活動が継続的な補充新譜の告知と受注で動いていたことが確認できます。

4月新譜の発売準備

『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)』1912年2月号では、4月新譜を1912年3月25日に店頭発売すると明記していました。エジソン・アンベロール・コンサート・レコードの欄には、オリーヴ・ミード弦楽四重奏団(Olive Mead String Quartet)の「Hymn to the Emperor—“Kaiser Quartet”」、チャールズ・ハケット(Charles Hackett, 生没年不明)の「Beloved, It Is Morn」、マリー・ラッポルド(Marie Rappold, 生没年不明)の「Sing, Smile, Slumber」が並び、3月下旬に向けてクラシック寄りの補充新譜が準備されていました。

5月新譜の受注告知

同じく『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)』1912年3月号では、5月新譜の受注締切を3月10日としていました。エジソン・アンベロール・コンサート・レコードには、新たにパウロ・グルッペ(Paulo Gruppe, 生没年不明)、アーマンド・ヴェーツェイとそのハンガリー管弦楽団(Armand Vecsey and his Hungarian Orchestra)、マーガレット・キース(Margaret Keyes, 生没年不明)が登場し、チェロ独奏、管弦楽ワルツ、歌曲という異なる編成でラインアップが拡充されていました。

3月商戦の店頭販促

1912年の年初資料では、3月は風が強く人びとが屋内に集まりやすい時期であり、レコード販売に適した月として意識されていました。『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)』1912年1月号は、3月用の店頭ディスプレー「Footlight Favorites」を前倒しで案内し、レコード販売増につなげるよう勧めています。また同号には、ユタ州オグデン峡谷で蓄音機が約5,000頭の羊を引き寄せたという逸話も載っており、1912年当時の蓄音機がなお強い見世物性と宣伝効果を持っていたことも読み取れます。