1917年12月に録音された音楽
1917年12月は、第一次世界大戦とロシア革命の余波が各地で同時に現れた月でした。12月6日にはフィンランド議会が独立宣言を承認し、同日にはカナダのハリファクスで弾薬船の爆発事故が起きて港湾都市に甚大な被害が生じました。中東では、エドマンド・ヘンリー・ハインマン・アレンビー(Edmund Henry Hynman Allenby, 1861–1936)率いるイギリス軍の進撃の中で、エルサレムが12月9日に降伏しました。東部戦線では、ブレスト=リトフスク(Brest-Litovsk)で12月15日に休戦が成立し、12月22日には講和交渉が始まりました。ロシアでは12月20日に全ロシア反革命・サボタージュ取締非常委員会(All-Russian Extraordinary Commission for Combating Counter-Revolution and Sabotage)が設置され、アメリカ合衆国ではウッドロウ・ウィルソン(Woodrow Wilson, 1856–1924)政権が12月26日に鉄道を連邦管理下に置きました。さらに12月19日にはナショナル・ホッケー・リーグ(National Hockey League)が最初の公式試合を行い、戦時下でも新しい大衆娯楽の制度化が進みました。
この月の確認されている録音:0曲
1917年12月の録音に関する情報のまとめ
1917年12月の録音業界は、公開同時代資料の上では、個々の録音日そのものよりも、当月新譜案内、学校向け需要、軍隊向け利用、歳末商戦、売場拡張の動きとして確認できます。『The Talking Machine World』1917年12月号では、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)とコロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)の12月新譜案内が掲載され、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)では軍向け機種の利用と販売人員募集が見えます。加えて、エオリアン=ヴォカリオン社(Aeolian-Vocalion Co.)とブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)についても、同月号の業界記事や広告から、年末需要と販路拡張の動きが確認できます。
ヴィクター
ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)については、『The Talking Machine World』1917年12月号に「RECORD BULLETINS FOR DECEMBER, 1917」として当月新譜案内が掲載されています。また同号では、同社教育部門がこの秋の学校向けヴィクトローラとレコード販売の増加を報告しており、教育用途での需要拡大も確認できます。1917年12月のヴィクターは、娯楽用新譜の供給と学校市場の拡大を同時に進めていたと整理できます。
- https://manuals.plus/m/6e341109a172d41ae206e40d74d1289246e92bf2933ace698430f025a7ac8218
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/10s/Talking-Machine-1917-12.pdf
- https://archive.org/details/victorrecordsnov00vict_1
コロムビア
コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)についても、『The Talking Machine World』1917年12月号に12月新譜案内が掲載されています。さらに同号には、マサチューセッツ州ニュー・ベッドフォードのスティーガー=ダッジオン社が、コロムビア・グラフォノーラとレコードを扱う新しい売場を開設し、8つの防音試聴室と定期演奏会を備えたことが報じられています。1917年12月のコロムビアは、新譜供給と小売現場での実演販売強化の両面で活動を確認できます。
- https://manuals.plus/m/6e341109a172d41ae206e40d74d1289246e92bf2933ace698430f025a7ac8218
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/10s/Talking-Machine-1917-12.pdf
エジソン
トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)については、『The Talking Machine World』1917年12月号に、兵士たちがエジソン陸海軍用フォノグラフを楽しんでいる記事が掲載されています。記事中では、アーサー・フィールズ(Arthur Fields, 1888–1953)が歌唱し、その再現がニュー・エジソンで比較再生されたことも記されています。また同号の求人欄には、カンザスシティ地区でニュー・エジソンの営業責任者を求める告知があり、同月の時点で軍向け用途と販売体制の維持拡大が並行していたことが確認できます。
- https://manuals.plus/m/6e341109a172d41ae206e40d74d1289246e92bf2933ace698430f025a7ac8218
- https://www.loc.gov/static/collections/edison-company-motion-pictures-and-sound-recordings/articles-and-essays/history-of-edison-sound-recordings/history-of-the-edison-disc-phonograph.html
エオリアン=ヴォカリオン
エオリアン=ヴォカリオン社(Aeolian-Vocalion Co.)については、『The Talking Machine World』1917年12月号の地域記事で、ミルウォーキーのエドマンド・グラム社が同社製品の専売店として、発売以来で最も大きい休日商戦を見込んでいたことが報じられています。記事では、同年各月の売上が前年同月を上回ってきたことも述べられており、1917年12月時点でエオリアン=ヴォカリオンの販売拡大基調が続いていたことが確認できます。
ブランズウィック
ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)については、『The Talking Machine World』1917年12月号の広告で、全レコード再生、二つのサウンドボックス、自動停止装置などを前面に出した販促が行われています。さらに同号の地域記事では、ソルトレイクシティでワサッチ・フォノグラフ社が設立され、「ブランズウィック・ショップ」を開いてブランズウィックのフォノグラフとパテ盤を扱い始めたことが報じられています。1917年12月のブランズウィックは、製品特徴を強調した広告展開と新規販売拠点の整備の両面で動いていました。
- https://manuals.plus/m/6e341109a172d41ae206e40d74d1289246e92bf2933ace698430f025a7ac8218
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/10s/Talking-Machine-1917-12.pdf
