1922年9月に録音された音楽
1922年9月は、戦後秩序の再編と新しい通信文化の広がりが同時に進んだ月でした。ブラジルでは9月7日、独立百周年記念式典に合わせて公式なラジオ放送が行われ、エピタシオ・ペソア(Epitácio Pessoa, 1865–1942)の演説と音楽が遠距離で受信されました。アイルランドでは9月9日に第三議会(Third Dáil)が初会合を開き、新国家体制の整備が本格化しました。国際連盟理事会(Council of the League of Nations)は9月16日、パレスチナ委任統治条項第25条に関する覚書を承認し、トランスヨルダンの扱いを定めました。アメリカ合衆国では9月21日にフォードニー=マッカンバー関税法(Fordney-McCumber Tariff)が成立し、高関税路線がいっそう明確になりました。小アジアではスミルナ大火(Great Fire of Smyrna)が深刻な避難民危機を引き起こし、さらにギリシャでは敗戦の余波のなかでコンスタンティノス1世(Constantine I, 1868–1923)が9月27日に退位し、東地中海の政治情勢は大きく揺れました。
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1922年9月の録音に関する情報のまとめ
1922年9月の録音業界では、秋の新譜商戦に向けた広告展開と録音実務が並行して進みました。新聞広告からは、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)、コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Company)、ブランズウィック=バルケ=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)が、9月中に新譜販売や翌月盤の告知を継続していたことが確認できます。これに加えて、後年のディスコグラフィでは、ジェネラル・フォノグラフ社(General Phonograph Corporation)のオーケー・レコード(Okeh Records)、パテ・フレール・フォノグラフ社(Pathé Frères Phonograph Company)系のパテ・アクチュエル(Pathé Actuelle)とパーフェクト(Perfect)、エオリアン社(The Aeolian Company)のヴォカリオン(Vocalion)について、9月録音または9月に結び付く活動が整理されています。
ヴィクター
ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)は、9月初旬の地方紙広告で「September Victor Records Now Selling」や「The September Victor Records have arrived」と告知されており、月初の新譜投入が販売店段階で明確に確認できます。さらに月末の広告でも新しいヴィクター盤の訴求が続いており、同社が1922年9月を通じて月例の新譜販売サイクルを維持していたことが分かります。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=SBNT19220901.1.24
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=IPT19220906.1.6
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=RPD19220929.1.2
コロムビア
コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Company)は、9月20日付と9月23日付の広告で「The October offering of new Columbia Records」や「October Record Release」を掲げていました。9月の段階で翌月盤を先行告知していたことから、同社が秋の販売更新を当月中に進めていたことは確実です。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=LCT19220920.1.4
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=RPD19220923.1.14
ブランズウィック
ブランズウィック=バルケ=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)は、9月1日付広告で「Brunswick Records Play on Any Phonograph」を打ち出し、9月28日には「October Brunswick Records On Sale」とする広告も確認できます。互換性の訴求と翌月盤の告知を組み合わせた販促が月内に続いており、同社が9月の販売攻勢を積極的に展開していたことが分かります。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=DCDD19220901.1.5
- https://historicalnewspapers.lib.purdue.edu/?a=d&d=PE19220928-01.2.23.4
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=LCT19220929.1.6
オーケー
ジェネラル・フォノグラフ社(General Phonograph Corporation)のオーケー・レコード(Okeh Records)については、後年のディスコグラフィで、メイミー・スミスの関連セッションとして1922年9月6日ニューヨーク録音が整理されています。販売広告ではなく録音日ベースの確認ですが、少なくとも同社が1922年9月上旬に新規録音を行っていたことを示す材料です。
- https://archive.org/stream/brian-rust-jazz-records-free-edition-6/Brian%20Rust_jazz-records_free-edition-6_djvu.txt
- https://mainspringpress.org/2025/11/08/free-download-brian-rusts-jazz-and-ragtime-records-1897-1942-sixth-edition/
パテ
パテ・フレール・フォノグラフ社(Pathé Frères Phonograph Company)系のパテ・アクチュエル(Pathé Actuelle)とパーフェクト(Perfect)については、後年のディスコグラフィで、オリジナル・メンフィス・ファイヴの1922年9月11日録音がパテ・アクチュエル盤、同月の録音がパーフェクト盤として整理されています。したがって、同系列の廉価盤ラインが9月にも実際に動いていたことは確認できます。
- https://archive.org/stream/bub_gb_EnArfgT2vXUC/bub_gb_EnArfgT2vXUC_djvu.txt
- https://archive.org/stream/brian-rust-jazz-records-free-edition-6/Brian%20Rust_jazz-records_free-edition-6_djvu.txt
ヴォカリオン
エオリアン社(The Aeolian Company)のヴォカリオン(Vocalion)については、後年のディスコグラフィで、カリフォルニア・ランブラーズの1922年9月13日ニューヨーク録音がヴォカリオン14436として整理されています。広告だけでなく録音日をともなう形で9月の活動を追えるため、同社が当月も新規録音を継続していたことが分かります。
- https://archive.org/stream/bub_gb_EnArfgT2vXUC/bub_gb_EnArfgT2vXUC_djvu.txt
- https://archive.org/stream/brian-rust-jazz-records-free-edition-6/Brian%20Rust_jazz-records_free-edition-6_djvu.txt
エジソン
トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)については、9月30日付地方紙に「Edison Amberol Records, October list」の販売告知が確認できます。少なくとも月末時点で翌月シリンダー盤の流通準備が進んでいたことは確実であり、同社が1922年9月にもシリンダー販売を継続していたことを示しています。
