1923年11月に録音された音楽

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1923年11月に録音された音楽

1923年11月は、交通、外交、政治、経済、考古学の各分野で重要な動きが重なった月でした。11月1日にはフィンランドでアエロ株式会社(Aero O/Y)が設立され、北欧民間航空の出発点の一つとなりました。3日にはジュネーブで国際税関手続簡易化条約(International Convention relating to the Simplification of Customs Formalities)が調印され、通商手続の国際的整理が進みました。8日–9日にはアドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler, 1889–1945)らによるミュンヘン一揆(Beer Hall Putsch)が失敗し、ドイツ政局の不安定さが改めて露呈しました。15日にはドイツでレンテンマルク(Rentenmark)が導入され、激しいハイパーインフレーション収束への転機となりました。11月後半にはハワード・カーター(Howard Carter, 1874–1939)らによるツタンカーメン(Tutankhamun, 生没年不明)の墓の第2シーズン作業が本格化し、考古学への国際的関心も引き続き高まりました。

この月の確認されている録音:0曲

1923年11月の録音に関する情報のまとめ

1923年11月の録音資料では、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)、コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)、ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)、ジェネラル・フォノグラフ社(General Phonograph Corp.)のオーケー・レコード(Okeh Records)、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)、スター・ピアノ社(Starr Piano Co.)のジェネット・レコード(Gennett Records)で当月の録音活動を確認できます。11月1日に複数社の録音が集中している一方、8日、13日、16日、17日、20日にも追加録音が見え、年末商戦前の制作が継続していたことが分かります。声楽、ダンス音楽、バンド、朗読、ブルースまで幅広いレパートリーが並行して録音されていた点も、この月の特徴です。

ヴィクター

ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)では、11月1日に朗読、男声独唱、カルテット、軍楽、ジャズ/ダンス音楽、試験録音がまとまって進められていました。同日の資料にはマリアン・アンダーソン(Marian Anderson, 1897–1993)の試験録音も含まれており、商業録音と試験録音を並行していたことが分かります。さらに11月8日にはB-28919などの新規録音、11月17日にも試験録音が確認でき、月初から中旬まで継続的に制作していました。

コロムビア

コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)では、11月8日に81331「Spring song」の録音が確認できます。さらに11月17日には81360の録音も見えており、同社が11月中旬まで新録音を続けていたことは確実です。今回確認できる11月資料では、同社も他社と同様に月内の通常制作サイクルを維持していました。

ブランズウィック

ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)では、11月1日に11767–11776のまとまった録音群が確認できます。この日の録音にはキャッスルウッド・マリンバ・バンド(Castlewood Marimba Band)によるマリンバ・バンド録音、アレン・マッキュー(Allen McQuhae, 生没年不明)とセオ・カール(Theo Karle, 1884–1972)による男声独唱が含まれており、器楽と声楽を並行して制作していました。月初段階で複数系列の原盤をまとめて作っていた点が、この月の同社の特徴です。

オーケー

ジェネラル・フォノグラフ社(General Phonograph Corp.)のオーケー・レコード(Okeh Records)では、11月1日にサラ・マーティン(Sara Martin, 1884–1955)とクラレンス・ウィリアムズ(Clarence Williams, 1893–1965)による「I’m cert’ny gonna see ‘bout that」「Squabbling blues」が録音されていました。さらに11月20日にはS-72078「Marcia reale」とS-72079「Il contrasto」が確認でき、同月の前半と後半の双方で録音が行われていたことが分かります。ブルース系から別系統のレパートリーまで扱っていた点に、同社の幅広い制作方針が表れています。

エジソン

トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)では、11月8日にグレゴール・スコルニク管弦楽団(Gregor Skolnik Orchestra)による「Just for to-night」などが録音されていました。11月13日にはロバート・デニング(Robert Denning, 生没年不明)による「Happy and go-lucky in my old Kentucky home」、11月20日にはオリジナル・メンフィス・ファイヴ(Original Memphis Five)による「Back o’ town blues」が確認でき、月内を通じて声楽とダンス音楽の双方を継続制作していたことが読み取れます。

ジェネット

スター・ピアノ社(Starr Piano Co.)のジェネット・レコード(Gennett Records)では、11月16日に6673「Azurini」、6676「Laura, part 1」、6677「Laura, part 2」が確認できます。月内の現時点で確認できる11月資料では、この中旬セッションが同社の具体的な活動として最も明瞭です。少なくとも11月中旬には新規原盤の制作を進めていたことが確実です。