1899年3月に録音された音楽
1899年3月は、自然保護の制度化と大規模災害、医薬・通信技術の節目、そして植民地戦争の進展が同時に見える月です。3月2日、アメリカ合衆国(United States)でマウント・レーニア国立公園(Mount Rainier National Park)が設置されました。3月4日–5日、オーストラリア(Australia)北東部のバサースト湾(Bathurst Bay)周辺はサイクロン・マヒナ(Cyclone Mahina)の高潮を伴う被害に見舞われ、多数の死者を出した災害として記録されています。3月6日、ベルリン(Berlin)のドイツ帝国特許庁(Kaiserliches Patentamt)でアスピリン(Aspirin)が商標登録されました。3月3日にはリヒャルト・シュトラウス(Richard Strauss, 1864–1949)の交響詩『英雄の生涯(Ein Heldenleben)』がフランクフルト・アム・マイン(Frankfurt am Main)で初演され、3月27日にはグリエルモ・マルコーニ(Guglielmo Marconi, 1874–1937)が英仏海峡(English Channel)横断の無線通信を実施しました。3月31日、フィリピン=アメリカ戦争(Philippine–American War)ではフィリピン第一共和国(First Philippine Republic)の拠点マロロス(Malolos)がアメリカ合衆国(United States)側に制圧されたことが記録されています。
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1899年3月の録音に関する情報のまとめ
以下は、業界誌ザ・フォノスコープ(The Phonoscope)1899年3月号に掲載された記事・通信欄・業界ニュースにもとづき、同号の誌面で確認できる録音・蓄音機ビジネスに関する話題を整理したものです。同号では、アメリカン・グラフォフォン・カンパニー(American Graphophone Company)とナショナル・グラモフォン・カンパニー(National Gramophone Company)などの係争に関する記述、ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)による取引停止をめぐる卸売業者側の反論、コロンビア・フォノグラフ・カンパニー(Columbia Phonograph Company)の「グランド(Grand)」系価格設定の告知、ベッティーニ・フォノグラフ・ラボラトリー(Bettini Phonograph Laboratory)での著名人録音に関する紹介などが扱われています。ここで挙げる各トピックは、同誌1899年3月号の本文に記載された範囲で事実として確認できる内容に限っています。
グラフォフォン対グラモフォン訴訟
ザ・フォノスコープ(The Phonoscope)1899年3月号は、アメリカ合衆国巡回裁判所南部ニューヨーク地区(United States Circuit Court for the Southern District of New York)におけるアメリカン・グラフォフォン・カンパニー(American Graphophone Company)対ナショナル・グラモフォン・カンパニー(National Gramophone Company)およびフランク・シーマン(Frank Seamann, 生没年不明)の係争について、「暫定差止め(preliminary injunction)の申立て」に対する被告側書面(Defendant’s Brief)の続き(Concluded)を掲載しています。本文では、エコフォン(Echophone)がグラモフォン(Gramophone)のタブレットとグラフォフォン(Graphophone)の円筒の双方で使えるとされる点など、機構差に関する技術論点が扱われています。執筆者としてグスタフ・ビッシング(Gustav Bissing, 生没年不明)が明記されています。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Phonoscope/1899/Phonoscope-1899-03.pdf
- https://www.loc.gov/collections/emile-berliner/articles-and-essays/gramophone/
取引停止リストと卸売業者の反論
ザ・フォノスコープ(The Phonoscope)1899年3月号の通信欄では、ホーソーン・アンド・シーブル(Hawthorne & Sheble)が、ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)が発行した「取引停止(suspended)取扱業者リスト」に自社名が掲げられたことを受け、経緯説明と反論を掲載しています。書簡中では、価格破壊業者(price cutters)への対応をめぐる問題提起のほか、「新型コンサート・フォノグラフ(New Concert Phonograph)」の原型制作(models)に関する言及も見られます。
コロンビアのグランド価格改定
ザ・フォノスコープ(The Phonoscope)1899年3月号は、コロンビア・フォノグラフ・カンパニー(Columbia Phonograph Company)が「グランド(Grand)」レコードを1本2.50ドル、「グランド(Grand)」ブランクを1本1.50ドルとし、1899年6月1日に新価格を適用すると報じています。同じ段落で、ホーム・グランド・グラフォフォン(Home Grand Graphophone)が小売価格100ドルとして触れられ、同種レコードが十分な数量で求められることで低価格生産が採算に合う可能性が述べられています。
著名人の肉声記録
ザ・フォノスコープ(The Phonoscope)1899年3月号には、ベッティーニ・フォノグラフ・ラボラトリー(Bettini Phonograph Laboratory)を紹介するニューヨーク・イヴニング・テレグラム(New York Evening Telegram)由来の文章が掲載され、同ラボで著名人の肉声が記録された旨が述べられています。具体例として、ベンジャミン・ハリソン(Benjamin Harrison, 1833–1901)と、サミュエル・ラングホーン・クレメンズ(Samuel Langhorne Clemens, 1835–1910)(筆名:マーク・トウェイン(Mark Twain))の名が挙げられています。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Phonoscope/1899/Phonoscope-1899-03.pdf
- https://georgewbush-whitehouse.archives.gov/history/presidents/bh23.html
- https://www.britannica.com/summary/Mark-Twain
