1925年2月に録音された音楽
1925年2月は、公衆衛生、交通、国際政治、文化が同時に動いた月でした。アメリカ合衆国のアラスカ準州(Territory of Alaska)では、ジフテリア流行下のノーム(Nome)へ血清が届けられ、寒冷地輸送と感染症対策の象徴的事件となりました。二月二日にはアメリカ合衆国でエアメール法(Air Mail Act of 1925)が成立し、民間航空輸送の制度的基盤が整えられました。ジュネーヴでは二月十九日に国際阿片条約(International Opium Convention)が調印され、麻薬統制の国際協調が前進しました。ドイツでは二月二十七日にアドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler, 1889–1945)が国家社会主義ドイツ労働者党(Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei)の再建を宣言し、二月二十八日には大統領フリードリヒ・エーベルト(Friedrich Ebert, 1871–1925)が死去しました。アメリカ合衆国では二月二十一日付で『ザ・ニューヨーカー』(The New Yorker)が創刊され、都市文化を映す新しい週刊誌が登場しました。
この月の確認されている録音:0曲
1925年2月の録音に関する情報のまとめ
1925年2月の録音業界では、既存の機械式録音が続く一方で、電気録音への移行が制作現場で現実のものになり始めていました。コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company, Inc.)とヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)では二月中の録音活動と新方式導入の動きが確認でき、ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)、ゼネラル・フォノグラフ社(General Phonograph Corporation)のオーケー(OKeh)、スター・ピアノ社(Starr Piano Co.)のジェネット・レコード(Gennett Records)も同月の録音活動を追うことができます。さらに、廉価盤市場を支えたプラザ・ミュージック社(Plaza Music Company)も同月の業界誌に現れており、1925年2月は録音制作と販売流通の両面で業界の動きが見える月でした。
コロムビア
コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company, Inc.)では、1925年2月5日の録音活動が確認でき、同月の通常録音は継続していました。加えて二月下旬には、後に発売へつながる電気録音の試験原盤群が現れており、同社がこの月に新方式の実用化へ踏み出していたことがうかがえます。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1925-02-05
- https://mainspringpress.org/tag/columbia-western-electric-experimental-test-recordings-pressings/
ヴィクター
ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)では、1925年2月3日に試験盤を含む録音活動が確認でき、二月下旬には後に発売されることになる電気録音実験盤も作られました。二月のヴィクターは、通常録音を維持しながら、新しい録音方式へ移る過渡期にありました。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1925-02-03
- https://mainspringpress.org/2024/01/23/western-electric-test-recordings-the-victor-talking-machine-company-test-pressings-1924-1925/
ブランズウィック
ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)では、1925年2月3日と2月11日の録音活動が確認できます。同月の業界誌でもブランズウィック・レコード(Brunswick Records)の広告展開が見られ、制作と販売の双方で活動していたことがわかります。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1925-02-03
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1925-02-11
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1925-02.pdf
エジソン
トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)では、1925年2月3日の録音活動が確認できます。少なくともこの時点で、同社は二月中も引き続き録音制作を継続していました。
オーケー
ゼネラル・フォノグラフ社(General Phonograph Corporation)のオーケー(OKeh)では、1925年2月3日の録音活動が確認できます。二月の時点で同ブランドが引き続き新規録音を重ねていたことが、日付別ディスコグラフィーから追えます。
ジェネット
スター・ピアノ社(Starr Piano Co.)のジェネット・レコード(Gennett Records)では、1925年2月5日の録音活動が確認できます。二月のジェネットも継続的に原盤を作成しており、中西部系レーベルの活動がこの月にも続いていました。
プラザ・ミュージック
プラザ・ミュージック社(Plaza Music Company)は製造社ではなく販売流通側の企業ですが、1925年2月号の業界誌に社名と所在地が確認できます。二月時点で同社が廉価盤流通を支える拠点として業界内に位置していたことは、この月の同時代資料から確認できます。
