28101-(Concert series)

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28101-(Concert series)

Edison phonograph, 1913

画像出典:Wikimedia Commons(CC0)

28101-(Concert series)は、エジソンの4分シリンダー「Blue Amberol(セルロイド製)」のうち、クラシック/オペラ寄りの「Concert and Grand Opera」系統に属する番号帯(28000 Series)の一部として整理できるサブシリーズです。28101–28111は1912年(主に10月・12月)に発売された初期群で、4分ワックスAmberol期の既発録音をBlue Amberolへ載せ替える再発売と、Blue Amberol向けに直接ワックス原盤へ録音した直録が同一ブロック内に併存します。直録法はBlue Amberol初期に用いられたのち1914年末に中止され、以後はディスク原盤からのダビングが標準化していくため、本番号帯は「導入期のカタログ構築」と「工程移行の前提条件(混在)」を同時に読み取れる範囲になっています。

シリーズの概要

本サブシリーズ(28101–28111)は「Blue Amberol Concert and Grand Opera Records(28000 Series)」の中で、発売初期(1912年)の“上質録音(声楽・器楽・合奏)”をまとめて示す番号帯です。内容は、オペラ抜粋(デュエット等)・器楽独奏・宗教曲(四重奏)・サロン的歌曲(バラードやセレナーデ)などで構成され、当時のエジソン録音における看板歌手/演奏家が配置されています。

また、各項目には「Amberolからの再発売(Reissue)」と「Blue Amberol向けの直録(Direct recording)」が混在しており、同じ“Concert”枠の中でも、制作経路が単線ではないことが読み取れます。したがって28101–28111は、曲目そのものだけでなく、同社のカタログ編成と製造工程の実態を同時に観察できる、資料性の高いブロックです。

シリーズの特徴

第一に、レパートリーが「舞台・宗教・器楽・歌曲」を横断しており、“大衆歌のヒット集”というより「鑑賞用の格調」を前面に出した設計です。オペラではオッフェンバックやマスネ、器楽では「タイスの瞑想曲」、宗教曲ではハイドン(弦楽四重奏による賛歌)、歌曲では「Love’s Old Sweet Song」「The Day Is Done」など、当時の家庭鑑賞に適した定番が並びます。

第二に、伴奏編成の幅が広い点が特徴です。オーケストラ伴奏だけでなく、ピアノ伴奏(器楽独奏)、合唱+オーケストラ、フルート/チェロ/ハープのような室内楽的な伴奏指定も見られ、Blue Amberol初期の“音の作り分け”が意識されていることがうかがえます。さらに、28110のようにエジソン自身のメモが注記として付される例もあり、録音を単なる音源ではなく、別用途(映像連動など)へ展開しうる素材として見ていた側面が表面化します。

番号体系とカタログ運用

Blue Amberolシリンダーのリム(刻印部)のクローズアップ

画像出典:Wikimedia Commons(Public domain)

このディスコグラフィでは、各番号の行に発売情報(R: …)が示され、再発売の場合は「Reissue of Amb ####」として、元になったAmberol番号(ワックス4分)が併記されます。つまり、Blue Amberolのカタログ番号(2810x等)と、元のAmberol番号が別管理であること、そして製品としては再発売でも番号体系は独立していることが読み取れます。

一方で「Direct recording」と注記されるものは、直接ワックス原盤へ録音されたがAmberolとしては発売されなかった直録群として扱われます。UCSBのガイドでは、この直録法はBlue Amberol初期に用いられたものの1914年末に中止され、以後はディスク原盤からシリンダーへダビングする手順が標準になったと説明されます。また直録の記録簿が失われているため、録音日が周辺資料の突き合わせで推定されている点も重要です。さらに一部の番号に付く後年注記(例:D: Spring 1923)は、同一番号でも後年に版(供給形態やマスター処理)が置き換わり得ることを示す手がかりであり、番号は「曲目」だけでなく「製造史」を含めて読む必要があることを示しています。

Royal Purple(29000)との接続

Royal Purple Amberol(29000 Series)は、Blue Amberol後期に導入された上位ラインとして位置づけられます。UCSBの整理では、Blue Amberol 29001–29006が1917–1918年にRoyal Purpleとして再プレスされ(番号は維持)、それ以外の29000番台はディスク原盤からのダビングによって供給されたと説明されています。つまりRoyal Purpleは、外観・商品設計としての“デラックス化”と、供給工程としての“ディスク由来の標準化”が強く結びついたシリーズです。

この接続関係を28101–28111と合わせて見ると、Blue Amberol初期の「再発売と直録の混在」に始まり、直録法の中止(1914年末)を経て、後段の上位ライン(Royal Purple)ではダビング供給が前提となる、という長い移行線が見えてきます。したがって28101–は、のちのRoyal Purpleへ続く“上位(Concert/Grand Opera)枠”の出発点として、カタログ戦略と製造工程の両面から重要な位置を占めます。

シリーズの歴史的意義と注記の読み方(28101–28111)

28101–28111は、Blue Amberolの「Concert and Grand Opera」系統(28000 Series)に属する導入期(1912年)のまとまりとして位置づけられます。この範囲は、当時のエジソンが“鑑賞用の格調”を担うレパートリー(オペラ抜粋、器楽名曲、宗教曲・歌曲など)を、どのような演者・編成で提示したかを具体的に示します。同時に、同一の番号帯の中に、過去のAmberol(ワックス4分)からの再発売と、Blue Amberol向けの直録(新規供給)が併存している点が特徴です。

このため28101–28111は、曲目の集合としての意味に加えて、供給形態の混在という“製品史”の側面を読み取れる範囲でもあります。資料上の注記として、再発売は元になったAmberol番号が示され、直録は新規供給として区別されます。さらに一部に見られる後年注記(例:D)は、同一番号でも後年に版(供給形態やマスター処理)が置き換わり得ることを示す重要な手がかりです。したがって本サブシリーズは、Blue Amberol初期の上級カタログの成立と、のちの製造・マスター運用の変化が同時に見える、導入期ブロックとして歴史的意義を持ちます。