1893年6月に録音された音楽

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1893年6月に録音された音楽

1893年6月は、世界各地で「近代の大衆社会」を象徴する出来事が目立ちます。アメリカ合衆国ではリジー・ボーデン(Lizzie Borden, 1860–1927)の裁判が社会の注目を集め、同時期のシカゴではシカゴ万国博覧会(World’s Columbian Exposition)の巨大観覧車が公開され、都市の娯楽と技術の結びつきを強く印象づけました。海上では戦艦ヴィクトリア(HMS Victoria)の衝突沈没が起き、軍事技術の進展と運用上の危うさも露呈します。またオーストラリア西部ではカルグーリー(Kalgoorlie)の金鉱発見が報じられ、資源開発と移住・都市形成を促す動きが加速していきます。

この月の確認されている録音:0曲

1893年6月の録音に関する情報のまとめ

1893年6月の録音文化をたどるうえでは、コロンビア・フォノグラフ・カンパニー(Columbia Phonograph Company)が同月1日付で「4月カタログの補遺」を出している点が、流通面の確かな手がかりになります。また同時期の同社資料には、シカゴ万国博覧会(World’s Columbian Exposition)を題材にした滑稽寸劇を含む「ユーモラス・トーキング・レコード」の枠組みが確認でき、博覧会という同時代的イベントが「話芸レコード」の題材として取り込まれていたことがうかがえます。

コロンビアの1893年6月1日補遺

コロンビア・フォノグラフ・カンパニー(Columbia Phonograph Company)の資料では、1893年4月のカタログに続く形で、1893年6月1日付の「Supplement to April catalog」が掲げられています。月単位で更新されるカタログ群の中で、この日付付き補遺は、1893年6月時点の同社のレコード流通(少なくとも頒布物の編成)が動いていたことを直接示す一次的な手がかりになります。

ユーモラス・トーキング・レコード

同社資料の「1893B – Humorous talking records supplement」には、ダン・ケリー(Dan Kelly, 生没年不明)の「Pat Brady Records」の演目として「Pat Brady and the World’s Fair at Chicago」が挙げられており、シカゴ万国博覧会(World’s Columbian Exposition)が寸劇レコードの題材に組み込まれていたことが確認できます。ラッセル・ハンティング(Russell Hunting, 生没年不明)の「Casey Series」なども同じ枠内で扱われており、1893年前後の「話芸・寸劇」系レパートリーが、カタログ上でシリーズとして整理されていた状況が読み取れます。