1896年5月に録音された音楽
1896年5月は、政治・社会・技術・報道の各領域で転機が重なった月でした。ロシア帝国(Russian Empire)ではニコライ2世(Nicholas II, 1868–1918)とアレクサンドラ・フョードロヴナ(Alexandra Feodorovna, 1872–1918)の戴冠式が1896年5月26日(新暦)にモスクワで挙行され、祝賀行事のさなかにホディンカ惨事(Khodynka Tragedy)が1896年5月30日(新暦、旧暦では1896年5月18日)に発生しました。アメリカ合衆国(United States of America)ではアメリカ合衆国最高裁判所(Supreme Court of the United States)がプレッシー対ファーガソン裁判(Plessy v. Ferguson)を1896年5月18日に判決し、分離すれども平等の理屈が制度化されました。イギリス(United Kingdom)ではデイリー・メール(Daily Mail)が1896年5月4日に創刊され、大衆紙のモデルが強化されました。アメリカ合衆国(United States of America)では1896年5月27日に1896年セントルイス=イーストセントルイス竜巻(1896 St. Louis–East St. Louis tornado)が発生し、都市災害として記録に残りました。科学技術面では、サイエンティフィック・アメリカン(Scientific American)が1896年5月の誌面で新規特許を紹介し、発明と産業の加速を読者に可視化しました。
この月の確認されている録音:0曲
1896年5月の録音に関する情報のまとめ
1896年5月の録音を「月単位」で確定できる例として、平面円盤録音では、盤面刻印やコレクション目録により1896年5月の日付が明示される資料が確認できます。一方、シリンダー録音(当時の主流)については、1896年5月“だけ”に限定した網羅的な録音日程・録音地・演目一覧を、公開資料から即断できる形では確認できません。
ベルリナー盤に残る1896年5月の録音日付(例)
エミール・ベルリナー(Emile Berliner, 1851–1929)の円盤録音では、1896年5月の録音日付が資料上明示される例があります。たとえば、ジョージ・W・グラハム(George W. Graham, 1866–1903)によるベルリナー盤「Imitation of a Street Fakir」(E. Berliner’s Gramophone 638 Y)は、資料上「1896年5月23日録音」とされ、広告・口演系レパートリーが初期円盤で重視された様子がうかがえます。また同じくジョージ・W・グラハム(George W. Graham, 1866–1903)による「Advertising Plant’s Baking Powder」(E. Berliner’s Gramophone 641)は、ワシントン特別区(Washington, D.C.)で1896年5月26日に録音された旨を掲げる資料が確認できます。
- https://findingaids.loc.gov/db/search/xq/searchMferDsc04.xq?_id=loc.mbrsrs.eadmbrs.rs011001&_lines=125&_start=926
- https://phonographia.com/PhonoRefs/1896%20Programme.htm
- https://phonographia.com/Onthisday_Factola/OTD_Calendar.htm
初期円盤録音の保存・参照基盤(コレクションと解説)
1890年代の円盤録音は現存数が限られ、同一タイトルでも複製や再プレス、出所不詳が混在します。そのため、録音日付を確定できる根拠としては、主要機関のコレクション(たとえばアメリカ議会図書館(Library of Congress)のエミール・ベルリナー関連コレクション)に付随する目録情報・解説が実務上の基盤になります。1896年5月録音例のように、個別アイテム単位で日付が付与されている場合、月ページでは「日付が資料上明示される録音例」として扱うのが安全です。
- https://www.loc.gov/collections/emile-berliner/articles-and-essays/berliner-recordings/
- https://findingaids.loc.gov/db/search/xq/searchMferDsc04.xq?_id=loc.mbrsrs.eadmbrs.rs011001&_lines=125&_start=926
シリンダー録音(主流)についての1896年5月限定情報は資料上未確認
1896年時点で産業的中心にあったのはシリンダー録音ですが、1896年5月に限定して「どこで/誰が/何を録音したか」を一括で確定できる公開一次資料(当時の社内台帳や日次ログに相当するもの)を、今回参照できた範囲では確認できません。ただし、コロムビア・フォノグラフ・カンパニー(Columbia Phonograph Company)の1889–1896年録音を整理したディスコグラフィは存在し、1896年の録音活動を俯瞰する入口としては利用できます。
- https://archive.org/stream/ColumbiaPhonograph1889-1896/Columbia%20Phonograph%201889-1896_djvu.txt
- https://archive.org/details/ColumbiaPhonograph1889-1896
