1917年7月に録音された音楽

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1917年7月に録音された音楽

1917年7月は、戦争の長期化と政治体制の揺れが各地で同時に進んだ月でした。ロシアでは七月蜂起ののちにロシア臨時政府(Russian Provisional Government)が再編され、アレクサンドル・ケレンスキー(Aleksandr Kerensky, 1881–1970)を中心とする体制が強まりました。イギリスでは7月17日、ジョージ5世(George V, 1865–1936)が王家の家名をウィンザー家(House of Windsor)に改め、反ドイツ感情の高まりが王室制度にも反映されました。7月20日にはコルフ宣言(Corfu Declaration)が出され、戦後の南スラヴ統合国家構想が示されました。7月22日にはサイアム王国(Kingdom of Siam)がドイツ帝国(German Empire)とオーストリア=ハンガリー帝国(Austria-Hungary)に宣戦し、連合国側に加わりました。アメリカ合衆国では全米女性党(National Woman’s Party)のサイレント・センチネルズ(Silent Sentinels)に対する逮捕が続き、女性参政権運動は戦時下の政治問題として可視化されました。7月31日には第三次イーペル会戦(Third Battle of Ypres)が始まり、西部戦線の消耗はいっそう深まりました。

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1917年7月の録音に関する情報のまとめ

1917年7月の録音業界では、新譜供給、販促カタログの配布、広告展開、販売店網の維持が続いていました。当月の活動が確認できる企業としては、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)、コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)、パテ・フレール・フォノグラフ社(Pathé Frères Phonograph Co.)、ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)、エオリアン=ヴォカリオン社(Aeolian-Vocalion)、ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)が挙げられます。レコード会社だけでなく、蓄音機販売や流通を担う企業も、それぞれの形で夏季商戦に動いていました。

ヴィクター

1917年7月のヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)は、販売と録音の両面で動いていました。7月の新聞広告には、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)の製品とヴィクトローラ(Victrola)の展示、実演、カタログ配布が見えます。録音面では、コンウェイズ・バンド(Conway’s Band, 生没年不明)による「Naval Reserve March」が1917年7月13日録音として確認でき、同月中も録音業務が継続していました。

コロムビア

1917年7月のコロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)は、月刊カタログの継続発行と録音活動の両方が確認できます。1917年7月のカタログ実物が残っており、コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)が毎月の新譜と商品案内を継続していたことがわかります。また、1917年7月31日付のコロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)系録音記録も残っており、月末まで録音活動が続いていました。

エジソン

1917年7月のトーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)では、4分シリンダーの新商品供給が続いていました。アーサー・フィールズ(Arthur Fields, 1888–1953)によるエジソン・ブルー・アンベロール(Edison Blue Amberol)3197「Everybody Loves a “Jass” Band」は1917年7月盤として整理されており、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)がこの時期にも流行を意識したシリンダー商品を市場に出していたことがわかります。

パテ

1917年7月のパテ・フレール・フォノグラフ社(Pathé Frères Phonograph Co.)は、7月向け新譜を打ち出していました。パテ・ダンス・オーケストラ(Pathé Dance Orchestra, 生没年不明)による20156「Myona / Honeymoon Inn」や、アメリカン・リパブリック・バンド(American Republic Band, 生没年不明)による20161「America, I Love You / The Donkey Trot」は、1917年7月向け新譜として整理されており、パテ・フレール・フォノグラフ社(Pathé Frères Phonograph Co.)が流行舞曲と愛国色のある器楽盤を継続販売していたことがわかります。

ブランズウィック

1917年7月のブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)は、蓄音機の販売広告を積極的に展開していました。7月の新聞広告では、ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)の蓄音機が自社工場で製造されていること、毎日の実演を行っていること、各種ディスク盤を再生できることが訴求されており、同社が店頭実演と機能訴求を重視していたことがわかります。

エオリアン・ヴォカリオン

1917年7月のエオリアン=ヴォカリオン社(Aeolian-Vocalion)は、機種広告とカタログ訴求を続けていました。7月の広告には、エオリアン=ヴォカリオン社(Aeolian-Vocalion)の新機種とその音量調整機構が前面に出されており、同社が夏季にも蓄音機市場で存在感を保とうとしていたことがうかがえます。

ソノラ

1917年7月のソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)は、販売店向けの供給促進に動いていました。1917年7月の業界誌記事では、ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)の販売店に対して戦時による価格上昇を見越した早期発注が促されており、同社が販売網の維持と夏季商戦への対応を進めていたことがわかります。